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はしか流行緊急レポート

流行の原因とその背景にあるもの

10代・20代ではしかにかかる人が増えています

これまで、はしかは主に乳幼児を中心にしてかかる病気と考えられており、全国約3000か所の小児科で行っている定点調査では、0〜4歳の子の感染が例年6割以上を占めていました。ですが、今回の流行の特徴は、10代から20代の人たちの感染が目立っていることです。

特に15歳以上の“成人麻疹(ましん)”は、定点調査で前回2001年の流行以降今年が最も多く、5月13日までにすでに208人となっています。これは全国約450か所の医療機関の報告を集計した数値ですから、実際にはしかにかかった人はもっと多いでしょう。

感染症発生動向調査によると、今回の流行は2006年末に埼玉県を中心に始まりました。それが今年に入って東京都、千葉県、神奈川県へと広がり、さらにその周辺の近県や、北海道、宮城県、山梨県、長野県、愛知県、大阪府、兵庫県、徳島県、香川県、鹿児島県など全国に拡大しつつあります。

大人は乳幼児と違って、多少熱があったり体調が悪かったりしても、仕事ややむを得ない用事があれば無理をしてでも外出して人と接触します。それが結果として麻疹ウイルスを広げてしまっているのです。また、年末年始から春先にかけては公私ともにイベントが多数あり、卒業式や入学式、始業式、試験と、人が集まる機会が比較的多い時期に当たっていたことも感染が広がった一因だと考えられます。

さらに、今指摘されているのが、先のゴールデンウィーク中の感染拡大です。ゴールデンウィークの期間中、はしかを発症していることに気が付いていない人が国内外を移動したり、はしかの流行地域に来て感染し、全国各地に戻ってからはしかを発症し、その地域ではしかの感染が広がるのではないかと懸念されているのです。はしかのウイルスの潜伏期間は10日間前後と長く、各地ではしかの症状が現れる人がさらに増えてくるかもしれません。

麻しんの年別・週別発生状況
麻しんの報告症例の年別・年齢群別割合
今回の流行の原因は?

今回のはしかの流行については、いくつかの原因が考えられます。

子どもの頃、麻疹ワクチンの予防接種を受けもらし、自然感染もしたことがない人は、はしかの抗体を持っていません。今回の流行ではこういった人がはしかを発症しています。また、麻疹ワクチンを接種すると95%以上の人は抗体ができますが、たまたま十分な抗体ができなかった人が数%います。こうした人たちは、麻疹ウイルスにさらされるとはしかにかかってしまいます。

さらに、逆説的ですが、予防接種の普及ではしかにかかる人が激減したことも、原因の一つに。以前は、ワクチンを接種して抗体ができた後に、麻疹ウイルスに接することで抗体が強化されていたと考えられます。しかし、はしかの流行が少なくなり麻疹ウイルスに接する機会が減って、そうした増強効果(“ブースター効果”と言います)が得られなくなりました。そのため、時間の経過とともに抗体が減少して感染しやすい状態になります。こうした人たちの中にも今回はしかにかかった人がいると考えられています(こうしたケースでは軽い症状で終わる場合もありますが、他の人への感染源にはなってしまいます)。ちなみにこれは、アメリカやカナダなどほかの国でもかつて見られた現象です。

日本は“はしか大国”!?

日本ははしか大国!?日本では、はしかにかかる人はかつてより大幅に減少していますが、それでも数年おきに地域的に小規模な流行を繰り返しているのが現状です。先進国では、ほかにこうした国は見当たりません。

案外知られていませんが、日本は先進国の中で例外的にはしかの多い国。数年前には、アメリカで「日本ははしかの輸出国」と非難されたこともあります。アメリカでははしかの排除に成功し、国内から発症者が出ることはなく、感染源は海外からの渡航者だからです。

アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなど欧米の主な国々では、麻疹ワクチンを含むMMRワクチンを2回接種しています。これに対して日本では、医療関係者を中心に2回接種制を望む声は強かったものの、1978年に麻疹ワクチンの定期接種が始まって以降、1回接種が続き、2回接種制が導入されたのは2006年からです。しかし、2回接種を導入しただけで、予防接種率が十分でない場合、はしかを排除することはできません。

2001年の流行の後、全国の小児科医や行政による積極的な麻疹ワクチン接種勧奨により、ワクチンの接種率が向上し、2歳から小学校低学年の子ども達の接種率は著明に上昇しています。その結果として、今年の流行の特徴として、小児、特に2〜5歳の患者数が激減しています。。現在の1歳の子の接種率は約80%。これが95%以上になることが目標です。

今後の流行状況に注意を

今後の流行状況に注意を現在のところ、今の流行は0歳、1歳、10代、20代が中心。近年のワクチン接種率の向上もあり、2歳から就学前の子どもたちの発症は多くありません。今後、周囲ではしかにかかる大人が増えるにつれ、赤ちゃんがウイルスにさらされる機会がさらに多くなることが予想されます。赤ちゃんがまだ麻疹ワクチンを接種していないママは、十分な注意が必要です。地域の流行状況に目を配るとともに、後に述べるように、ワクチンを接種できる年齢になったら、できるだけ早く接種を受けてください。

なお、国立感染症研究所感染症情報センターのHPでは、最新の発症状況をチェックできるほか、はしかについての詳しい情報を提供しています。是非ご覧になってみてください。
http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/index.html

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