赤ちゃんの健康管理

普段からの健康チェックが大切

赤ちゃんは、体調が悪くても言葉で伝えることができません。だから、ちょっとした体調の変化にも、大人が早めに気付いてあげることが大切です。普段から赤ちゃんの様子をチェックして、体調に気を付けてあげましょう。

大人と違う、赤ちゃんの体

赤ちゃんは病気にかかると進行が早く、重症化しやすい傾向が

赤ちゃんは体重の約70~80%が水分で、大人に比べて体内の水分量が多くなっています。そのため発熱や下痢を起こすと体の水分が急速に不足し、脱水状態になりやすいのが特徴。しかも、赤ちゃんの体はさまざまな器官や機能が未熟。そのため、赤ちゃんが病気にかかると進行が早く、重症化しやすい傾向があるのです。

ママからもらった免疫抗体は、生後半年くらいまで

赤ちゃんはママのお腹の中にいる時に、胎盤を通じてママの免疫抗体をもらいます。母乳から赤ちゃんに移行する抗体もあり、初乳(出産後、3日から5日まででる母乳)には特に多く含まれています。生後しばらくは、ママがかかったことのある病気に対しては抗体があるのでかかりにくい傾向にあります。(ママがかかっていない病気や、抗体を移行できない病気にはかかる可能性があります)

しかし、ママからもらった抗体は徐々に減っていき、生後5~6ヵ月ごろにはほとんどなくなってしまいます。そのころには外出する機会も増え、それだけウイルスなどの病原体に接触する機会も増加します。そのため生後半年ごろ以降は、風邪などの感染症にかかりやすくなるのです。外出するときはできるだけ混雑する場所や時間帯を避けるなどの工夫をしましょう。

健康管理のチェックポイント

基本の健康チェック~体温を測り、全身の状態を確認

1.体温

普段(平熱)と比べて、高くないか

2.いつもと違う様子はないか

● 機嫌
あやせば反応するか、泣きぐずってばかりいないか

● 食欲
母乳やミルクの飲み具合、離乳食の食べ具合はどうか

● 睡眠
ぐずってばかりで眠らない、逆にずっと眠ってばかりなど、気になることはないか

● 顔色
赤くほてっていたり、青白くなっていたり、変わった様子はないか

着替えやおむつ替えの時に~肌やうんち・おしっこをチェック~

1.肌の様子

・湿疹やおむつかぶれなどがないか
・発疹がないか(発疹から病気に気づくことも少なくありません)

2.うんち・おしっこの状態

・量や回数はいつもと同じか
・色はおかしくないか、下痢便などいつもと違う様子はないか
・うんちやおしっこをする時に痛がる様子がないか

● 健康なうんち
黄色・茶色・緑色

● 心配なうんち
赤色・赤黒色・白色
※生後1週間以内の、のりのつくだ煮のような黒緑色の便は胎便と呼ばれ、心配のないうんちです。

● 健康なおしっこの色
薄い黄色

●心配なおしっこの色
赤色・赤黒色・白色

いざというときに備えて~医療機関を確認し、救急箱も用意~

1.医療機関を確認

予防接種、乳幼児健診などの機会を利用して、かかりつけの小児科を決めておくと安心。夜間や休日の救急医療機関も調べておきましょう。いざという時にあわてなくて済みます。

2.救急箱もチェック

救急箱の中身も、赤ちゃんに合わせて用意しておきましょう。体温計や経口補水液、綿棒、保冷アイテム、医薬品は赤ちゃん用のものを。鼻水吸い器、服薬用スポイトなどもそろえておくと便利です。

健康状態をしる手がかり・体温

普段の体温(平熱)を知っておきましょう

体温で体調を確認するには、普段の健康な時の体温(平熱)を知っておくことが必要です。体温は個人差があり、赤ちゃんは概して大人よりも高め。また、授乳時や泣いた時など、赤ちゃんの体温はちょっとしたことであがりやすい傾向があります。

同じ赤ちゃんでも日によっても微妙に違います。朝方低めで夕方高めというように、1日の中でも体温が変化しています。その子なりの体温を大まかにつかむとともに、1日の中の体温の動きも知っておきましょう。

体温を把握するための検温のタイミングとポイント

・体調のいい時に
・授乳時や泣いた時、入浴後は体温が上がるので避け、できるだけ安静時に
・検温する部位、体温計は同じに
・室温などもだいたい同じような条件下で
・朝・昼・晩など1日3回くらいを2~3日間、測ってみる

熱が出たら

個人差はありますが、おおむね38度以上なら発熱と考えられます。発熱が見られたら、他にもいつもと違う様子がないか、よく注意して体調をチェックしましょう。

また、赤ちゃんは39度以上といった高熱を出すこともめずらしくありません。これは脳にある体温調節中枢が未発達なためで、必ずしも症状が重いわけではありません。熱がなくても症状が重いこともあり、熱の高さだけで症状の重い軽いは判断できないのです。高熱でもあわてずに、機嫌や食欲など全身の状態を見ることが大切です。病気によっては熱の出方に特徴的なパターンを示すものがあり、発熱の経過は病気の診断の参考になります。小児科を受診の際は、いつからどれくらいの熱が出てどう変化したかを医師に伝えましょう。

体温計の種類

体温計にはいくつかの種類があり、種類によって表示体温は微妙に異なります。発熱かどうか、体温に変化があるかどうかは、同じ体温計・同じ部位で測った体温で比べることが大切です。大人用とは別に、赤ちゃん用のものを用意しましょう。

電子体温計

測りはじめの測定値から体温を予測します(予測式)。比較的短時間で測れるのが特長。時間をかけて実測値を測定することもできます(実測式)。

耳式体温計

耳の中から出ている赤外線をセンサーでキャッチして、体温を瞬時に測ります。

保田典子
監修してくれた先生

保田典子

小児科 | 高円寺こどもクリニック院長
2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務等を経て現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。

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