授乳は赤ちゃんとのスキンシップの時間。目を見てやさしく話しかけてあげましょう。
母乳で育てているけれど乳首が切れたなど、おっぱいのトラブルで直接母乳をあげられないときや、ママの体調がつらいときなどには、さく乳した母乳を哺乳びんであげるという方法があります。また、母乳だけでは足りないとき、母乳があげられないときは、ミルクを足す「混合栄養」という方法も。哺乳びんでの授乳なら、ママだけでなく、パパや家族が飲ませることができます。授乳は赤ちゃんとのコミュニケーションタイム。ぜひパパも授乳を通して赤ちゃんとの触れ合いを楽しんでください。
育児用の粉ミルクをお湯で溶いてミルクを作ることを、調乳といいます。
哺乳びんで飲ませるときも、必ず赤ちゃんを抱っこして飲ませます。おっぱいを飲むときと同じように、赤ちゃんが大きく口を開けて、乳首をしっかりくわえていることが大切。
なお、調乳した後、哺乳びんを下に向けると、はじめはミルクが勢いよく出ることがあります。しばらくそのままにして、ミルクがポタポタと落ちるようになってから、赤ちゃんに飲ませるようにしてください。飲ませた後は、赤ちゃんを縦抱きにして、背中をやさしくさすってゲップをさせます。
生まれてしばらくは、母乳と同じでミルクの場合も、1回で飲める量が少ないので授乳回数が多く、授乳間隔も不規則です。成長とともに飲み方が上手になって、1回で飲む量も増え、授乳間隔があいて回数が減り、規則的な授乳リズムになっていきます。だんだん飲む量は増えていきますが、離乳食が始まって食べる量が増えてくると、減っていきます。
1回に飲む量やペースは、赤ちゃんの成長に応じて変わります。乳首は乳首サイズの表示を目安に、成長に合わせて取り替えましょう。同じ月齢でも個人差がありますから、飲む様子をよく見て、赤ちゃんに合ったサイズを選んでください。
赤ちゃんはひとつの乳首になじんでしまうと新しい乳首を嫌がることがあるので、乳首は2個以上を用意し、交互に使いましょう。なお乳首は、古くなったら使用回数に関わらず取り替えてください。
哺乳びんは、耐熱ガラス製・プラスクック製などの材質、容量によっていろいろな種類があります。付属の乳首のサイズやタイプも異なるので、確認して選びましょう。
哺乳びんや乳首にミルクの残りかすが付いていると雑菌が繁殖しやすくなります。授乳が終わったら、哺乳びんと乳首はすぐに水につけましょう。その後、専用洗剤で洗ったら、流水でしっかり洗い流して水気を振り切ります。洗い終わったら消毒を。
主な消毒方法は、2種類あります。
水をたっぷり入れた大きめの鍋に、哺乳瓶や消毒可能なパーツを入れて、3~5分沸騰させて高温で消毒する方法です。手間はかかりますが経済的に消毒することができます。湯は100度ですが、鍋肌はそれ以上の高温となっているため、プラスチック製品など素材によっては底に触れると変形することがあるので注意しましょう。
用意するもの
・大きめの鍋
・トング
薬液に一定時間以上つけるだけで消毒ができる手軽な方法です。哺乳瓶や消毒可能なパーツが完全に浸るサイズの容器を用意し、消毒液の表示通りに水道水で消毒溶液を作ります。哺乳瓶などを一定時間以上つけたら、清潔な手やトングなどで取り出して溶液を振り切りましょう。すすぐ必要はなく、そのまま使うことができます。
用意するもの
・消毒液
・水で薄めた消毒溶液をいれる容器
・トング(必須ではありません)
なお、消毒した器具をすぐに使用しない場合は、カバーをかけて清潔な場所に保管することが大切です。哺乳びんを完全に組み立てておくと、哺乳びんの内側や乳首の内側と外側からの汚染を防ぐことができます。使用の際は、再汚染を防ぐため、使用の直前に哺乳瓶や調乳器具を取り出すようにしましょう。
高杉絵理
看護師、助産師、保健師の資格を取得。総合周産期母子医療センターの産科やNICU、産科クリニックで経験を積む。現在は世田谷区の保健センターで妊婦さんやママたちの相談業務に携わる。助産師にオンラインで相談できる「助産師サロン」も運営。自身も1児の母として育児に奮闘中。オンライン助産師サービス「助産師サロン」