妊娠中の貧血ははやめの対策を!

column

妊婦さんはなぜ貧血になりやすいの?

おなかの赤ちゃんは、お母さんの血液から酸素や栄養などを得て成長します。
お母さんは、自分と赤ちゃんの分、血液を全身に送る必要があります。
ですから、お母さんの体は血液中の血しょう量を増加させて対応しようとします。

妊娠初期から血しょう量が増加し、8~12週では10~20%増加、妊娠30週以降は約50%増加となるため、血液が薄められ見かけ上の貧血が認められます。
ところが、それに比例して赤血球が増えるわけではありません。
その上、赤ちゃんはお母さんから発育に必要な鉄分を補充しようとするため、お母さんは鉄分不足の貧血になりやすいのです。
妊婦の約30~40%は鉄欠乏性の貧血になる、とのデータもあるようです。

どんな状態になるの? 治療はどうするの?

自覚症状として、めまいや動悸、息切れ、疲労感といった貧血の症状が現れます。
貧血が悪化すると、おなかの赤ちゃんの発育に影響を及ぼし、未熟児になったり、体が弱い子どもになることも心配されます。とにかく、貧血が疑われるときは早期の治療が肝心です。

貧血の治療は、基本的には鉄剤の服用をします。鉄剤だけでなく、その他の栄養素(ビタミンCやたんぱく質、葉酸)も考慮し、治療が行われます。

このような治療があるとはいえ、できれば、妊娠前から栄養には気をつかってほしいと思います。また、鉄剤が飲みにくい、という場合はサプリメントでの補充も可能ですよ。

食事の注意点は?

鉄分には肉や魚など動物性食品に含まれるヘム鉄と、大豆や海藻類などに含まれる非ヘム鉄の2種類があります。

ヘム鉄の方が非ヘム鉄よりも倍以上吸収率が良いのですが、ヘム鉄を多く含むレバーはビタミンAも多量に含んでいるので、妊娠初期の過剰摂取は赤ちゃんには悪影響と言われています。週に1回少量の摂取を目安にしましょう。レバー以外には、卵黄やあさり、干し海老、煮干などがあります。含有量はレバーに劣りますが、日常的に摂取しやすい食材ですね。

非ヘム鉄を含む食材は乾燥青のり、乾燥ひじき、乾燥きくらげ、切干大根、パセリ、納豆、小松菜、ほうれん草などがあります。
食卓でおなじみのものばかり、たくさん召し上がって下さいね。

このページの上部へ