産後、母乳の出がよくないのは自然なこと?助産師が教える母乳の出をよくするコツとは

「出産したら母乳が出ると思っていたのに、なかなか出ない…」こんな風に悩んでいませんか?出産して思うように母乳が出ないと不安になったり焦ったりしてしまいますよね。

そこで母乳が出る仕組みや母乳が出るコツを、助産師で杏林大学の准教授である加藤先生に教えていただきました。母乳育児は最初からうまくいかないのは自然なことで、気長にコツコツ続けるのが成功の秘訣のようです。

母乳が出る仕組みはホルモンにあり!

ママと赤ちゃん

妊娠中から母乳を作る準備が始まっていますが、母乳が分泌されるホルモンバランスになるのは出産後。出産すると、プロラクチンとオキシトシンというホルモンが分泌され、そこから指令を受けることにより母乳が出るようになります。

おおまかに区分すると、プロラクチンは母乳を作るはたらき、オキシトシンは母乳を出すはたらきをするホルモンです。赤ちゃんがママのおっぱいを吸うと、その刺激によってこれらのホルモンが分泌されるのです。

このホルモンがはたらくことにより母乳が作られ、母乳を出そうとします。

さらに詳しく⇒ 母乳育児が勧められる本当の理由から母乳分泌のメカニズムまでを知ろう。

母乳の出をよくするための5つのコツ

母乳を出すホルモンが分泌されるように赤ちゃんにおっぱいをたくさん吸ってもらうことが母乳を出すためのポイントです。また、母乳は血液で作られているので血流を良くすることなども意識するとよいでしょう。それらをふまえて、具体的なコツをお伝えします。

【コツ1】とにかく吸ってもらう

授乳中のママと赤ちゃん

ホルモンの分泌を増やすために、頻繁に赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらいましょう。赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうと、その刺激によって母乳分泌を促進するホルモンが分泌され、母乳がでてくるようになります。

新生児の場合は1日10回ほど、2~3時間おきが目安ですが、赤ちゃんが欲しがったときには欲しがるだけあげるようにしましょう。

産後の間もない時期は赤ちゃんもまだ上手に吸えないことが多く、なかなか母乳は出ないものです。思うように出なくても気を落とさずコツコツ吸わせ続けてください。このときにたくさん吸わせることで分泌が徐々に増えていきます。

産後3ヵ月ぐらいは母乳育児の練習期間なのだとゆったり構えて、気長に継続できるといいですね。

【コツ2】水分をたくさんとる
母乳の88%が水分でできているので、ママは積極的に水分補給をする必要があります。1日2Lぐらいを目安に、こまめに水分を補給してください。

授乳をするたびに水分をとる、食事にみそ汁や野菜スープなどのスープ類を必ず献立に含めるなど、こまめにとれるよう工夫しましょう。

さらに詳しく⇒ 赤ちゃんに適した母乳って?よく出る?栄養素がたっぷり入っている?お母さんの飲み物は関係する?管理栄養士おすすめの飲み物6選!

【コツ3】食生活を見直して、栄養バランスをよくする
母乳はママの血液で作られているので、ママが食べた食品の栄養素がおっぱいの原料です。

おいしい母乳を作るためにはバランスのとれた食事が基本。とはいえ、特別な食生活をするということではなく、気を付けることは妊娠中と同じです。カロリーを摂取しすぎていないか、甘いものや脂っぽいものを食べすぎていないか、良質なたんぱく質や野菜がしっかりとれているかなどを振り返ってみるとよいでしょう。

バランスの良い食事は母乳をおいしくするだけでなく、ママの体力を維持し、精神的な安定をもたらします。赤ちゃんのお世話に追われる毎日ですので、冷凍食品や総菜を取り入れるなど工夫してくださいね。

また、食事に加えて母乳育児中のママ向けのサプリメントも上手に活用しましょう。

さらに詳しく⇒ ママの体と母乳栄養をWサポートするサプリメントとは?

【コツ4】ストレスをためない

家事中のママ

産後は赤ちゃんのお世話に追われたり、睡眠不足になったりと、生活が劇的に変わります。生活の変化にストレスを感じるママは多いでしょう。しかし、ストレスを抱えすぎると、オキシトシンの分泌量が減少するので、母乳が出にくくなってしまいます。

ストレスを解消するのは簡単ではないと思いますが、家族に相談して家事を分担したり、行政のサポートを利用したり、赤ちゃんが寝ているときに一緒に横になったり、湯船にゆっくりつかったりしてストレスを緩和するよう心がけましょう。

【コツ5】おっぱいマッサージ(母乳マッサージ)をする
おっぱいマッサージ(母乳マッサージ)は、乳房の血液循環をよくすることを目的に、おっぱい(乳房)と胸の筋肉(大胸筋)の境界をよく動かして分泌促進をはかるものです。また、赤ちゃんが乳首をくわえやすくなる乳頭と乳輪部のマッサージもあります。

乳頭マッサージをすることによって乳頭に刺激を与え、ホルモンの分泌を増やすことができるので、赤ちゃんの吸う力が弱く、吸わせていても乳頭の刺激が得られないときなどにも効果があります。

マッサージの方法は、助産師訪問などを利用して助産師に教えてもらうと安心です。あるいは、近くの母乳外来や助産院に通うという方法もあります。

なお、乳頭マッサージは妊娠中から始めることができます。ただし、マッサージをすることで子宮が収縮しておなかが張りやすくなるため、始める目安は妊娠34週頃。

妊娠の経過によっては行わないほうがよい場合があるので、妊婦さんは自己判断で始めず、必ずかかりつけの医師や助産師に相談してくださいね。

まとめ

おっぱいを飲む赤ちゃん

母乳が出る仕組みや母乳が出るようになるコツをお伝えしましたが、最初の頃は赤ちゃんの吸う力が弱かったりしてうまくいかないのは当たり前です。母乳育児を軌道に乗せるためにもぜひ、あせらずに頻回授乳を続けてみてください。

母乳の量や、母乳が出ない原因はママや赤ちゃんによって異なります。いろいろ試しても変わらないときは、一人で悩まず近くの助産師や母乳外来などに相談をしてくださいね。

【プロフィール】

加藤千晶先生

加藤千晶
杏林大学保健学部看護学科 准教授
助産師として約10年大学病院にて勤務。その後、看護・助産教育に約15年携わり、産科病院にて看護部長を経験。現在、杏林大学保健学部看護学科准教授として助産師教育に携わっている。

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