ピジョン研究員が着目した
「フィラグリン」とは?

ピジョン研究員:黒河 正司
ピジョン研究員:黒河 正司

ピジョンといえば、赤ちゃんの哺乳研究、というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実はピジョンでは赤ちゃんの肌研究も行っています。

そんな肌研究の中で、ピジョンが新しく着目したのが「フィラグリン」。

フィラグリンは赤ちゃん、特に新生児期からのスキンケアに大切だと考えています。
ピジョンに在籍するスキンケアの研究員がそんなフィラグリンについてご紹介します。

【こちらの研究に関する論文が医学誌に掲載されました】
今回の研究成果は、医学誌である「診療と新薬」57巻3月号(奥付発行日 2020年3月28日)にて掲載されました。

目次

  1. フィラグリンとは
  2. フィラグリンの産生を促進する成分とは?
  3. フィラグリンの産生と働きをサポートする保湿成分
  4. 肌トラブルで悩む赤ちゃんとご家族を減らしたい
  5. 最新の肌研究「フィラグリン」とは?赤ちゃんの肌を守るために大切なこと

フィラグリンとは?

フィラグリンとは、肌の角層細胞内にある「天然保湿因子(NMF)」の元となり、肌の保湿のキーとなる重要なタンパク質です。

フィラグリンは肌の内側でつくられ、2つの働きを持ちます。

はたらき①角質細胞の頑丈な骨格を保つ

肌の内側で細胞内の骨格タンパク質(ケラチン繊維)を束ねることで、細胞を頑丈にします。

はたらき②保湿成分として働く

肌の内側で分解されることで、天然の保湿成分(NMF※)として働き、保湿に役立ちします。

*天然保湿因子(Natural Moisturizing Factor; 略称NMF)

いうなれば、フィラグリンは乾燥からお肌を守るための自然のバリア機能なのです。バリア機能をサポートし、肌トラブルを防ぐことができます。

また、アトピーの症状がある子には、
お肌のフィラグリンが不足している、ということも研究結果からわかっています。

肌トラブルを未然に防ぐためには、保湿はもちろんですが、このフィラグリンの産生促進が重要だと考えました。

*参考論文:Skin Barrier Dysfunction and Low Antimicrobial Peptide Expression in Cutaneous T-cell Lymphoma
DOI: 10.1158/1078-0432.CCR-14-0077

フィラグリンの産生を促進する成分とは?

ピジョンでは肌の内側に働きかけ、フィラグリンの産生を促進する成分はないかと研究を重ねました。

そこで着目したのは

  • サガラメエキス(海藻由来)
  • マンダリンオレンジ果皮エキス(オレンジ由来)

という、2種類の保湿成分です。

サガラメエキスとは?

サガラメエキス
サガラメエキス
(海藻由来)

サガラメは「相良布(サガラメ)」というコンブ科の海藻です。サガラメから抽出されたのが「サガラメエキス」です。ピジョンは伊勢志摩の海でとれたサガラメエキスに着目しました。

サガラメエキスは、保湿効果があり、お肌を乾燥から守り、それによって肌のバリア機能も向上させます。

また、肌の細胞間脂質の一つである「セラミド」や「フィラグリン」の産生を促進する働きがあります。

マンダリンオレンジ果皮エキスとは?

マンダリンオレンジ果皮エキス
マンダリンオレンジ果皮エキス
(オレンジ由来)

マンダリンオレンジは、いわゆる「温州みかん」の一種で、ミカン科の果実です。その果実の皮から抽出されたのが「マンダリンオレンジ果皮エキス」です。

マンダリンオレンジ果皮エキスは、角層のキメとツヤを保つ効果があり、お肌に透明感を与える美容成分として注目されていますが、それ以外にもフィラグリン分解酵素の産生促進作用があり、それによって天然の保湿成分(NMF)を増やします。

*Natural Moisturizing Factor; 略称NMF

フィラグリンの産生と働きをサポートする保湿成分

フィラグリンの産生を促し、その働きサポートする2つの保湿成分からピジョンが開発したのが「フィルベビーEX」という保湿成分です。

「サガラメエキス」と「マンダリンオレンジ果皮エキス」を配合した成分で、肌本来の機能を高めて内側からうるおうお肌へ導くことを目指しています。

フィルベビーEX

サガラメエキス
サガラメエキス
(海藻由来)
マンダリンオレンジ果皮エキス
マンダリンオレンジ果皮エキス
(オレンジ由来)
フィラグリン産生促進効果に有意な差
フィラグリン産生促進効果

方法:ヒト皮膚3次元モデルの角層上に各試料を添加して24時間培養後、フィラグリンmRNAをリアルタイムPCR法で定量した。
2019年1月 第三者機関

フィルベビーEXを配合することで、フィラグリンの遺伝子発現量が増加

24時間後も高い保湿力
角層水分量

方法:成人男女(n=10)に対して左右両腕4か所塗布し、皮膚水分量を測定した。
2019年1月 第三者機関

赤ちゃんの皮フモニターでも、2週間でお肌の水分量が増加
角層水分量

方法:乳児男女(n=38)に対して塗布群と無塗布群に無作為に分け、塗布群については2週間毎日塗布し、最終日は前日入浴後に塗布した。塗布前と2週間後の皮膚水分量を測定した。
2019年3月 第三者機関

お肌表面の状態も向上

生後3ヵ月の男の子

使用前乾燥して肌がめくれている状態
乾燥して肌がめくれている状態の写真
「フィルベビーEX」配合ローション使用後お肌のキメが整っている状態
乾燥して肌がめくれている状態の写真

生後8ヵ月の女の子

使用前乾燥して粉をふいている状態
乾燥して粉をふいている状態の写真
「フィルベビーEX」配合ローション使用後お肌がつやっとふくらんでいる状態
お肌がつやっとふくらんでいる状態の写真

肌トラブルで悩む赤ちゃんとご家族を減らしたい

乳児湿疹等の肌トラブルが起きていると、そこから、アレルギーの原因物質であるアレルゲンが入ってきて、アレルギー症状が起きるリスクが高まるといわれています。

そのため、アレルゲンが侵入しないように、新生児期から適切な保湿を行い、肌のバリア機能を高め、健康に保つことが大切です。

また、新生児・乳児期にアトピー性皮膚炎や食物アレルギーがあると、幼児期に気管支喘息、思春期にアレルギー性鼻炎と、成長にともなってアレルギーが連鎖的に生じる確率が高くなることがわかっています。 これを、アレルギーマーチといいます。

新生児期からはじまる
アレルギーマーチ(※)

  1. 新生児・乳児期

    • アトピー性皮膚炎
    • 乳児湿疹
    • 食物アレルギー
  2. 幼児期

    • 気管支喘息
  3. 思春期

    • アレルギー性鼻炎
    • アレルギー性結膜炎
  4. 成人期

    • 成人型気管支喘息
    • 花粉症
  5. 胎児期

    • アレルギー体質
      (遺伝要因)
※発症する確率が高くなる可能性が示唆されているもので、必ず発症するというものではございません。

新生児・乳児期のお肌の健康はその時だけのものではなく、その後大人になるまで続く健康のカギを握っているといえます。

そんなお肌の未来を育てるために、ピジョンではこれからも赤ちゃんのお肌を研究を続けてまいります。

〔引用文献〕水野克己, 下条直樹, 馬場直子. : 子どものアレルギー×母乳育児×スキンケア. 南山堂, 2016, 156p.