

【妊娠線対策】原因から予防法・クリーム選びまで徹底解説

妊娠中の悩みとして多いのが、おなかや太ももなどに出る妊娠線ですよね。
妊娠するとおなかをはじめとしたさまざまな部位が大きくなり、皮膚が引き伸ばされることで生じる妊娠線。一度できると消えにくいとされる妊娠線ですが、現時点では確実に予防できる方法は明らかになっていません。
ただし、日常生活の中で保湿、体重管理(食事、運動)を心がけることで妊娠線の重症化を低減できる可能性があります。
また、急激な体重増加やホルモンバランスの変化によっても妊娠線のリスクが高まるため、早めに妊娠線対策を始めることが大切です。
この記事では、妊娠線の原因や予防法、クリームの選び方、そしてアフターケアまでを徹底解説します。日頃からケアをしっかりと行い、妊娠線を予防しましょう。
教えてくれたのはこの方
- 助産師Suiさん
周産期母子医療センターに勤務し、ローリスクからハイリスクまで幅広い妊婦の妊娠・出産・産後に携わっている。根拠のない情報がSNSを中心に拡散する状況を踏まえ、X(旧Twitter)やnoteで科学的根拠に基づいた妊娠・出産・育児情報を発信している。オンライン助産院「wellness」を運営し、zoomやLINEを通した個別相談やバースプラン作成、授乳相談を行っている。
https://www.midwife-sui.com/
妊娠線とは?その特徴と消えにくい理由
妊娠線は、妊娠期に急激に皮膚が伸びることで生じる線状の痕です。なぜ一度できると消えにくいのか、まずはその仕組みを詳しく見ていきましょう。
妊娠線の仕組み
妊娠線は、おなかや太もも、バストなど脂肪がつきやすい部位を中心に、多くの妊婦さんに見られる変化です。妊娠に伴って皮膚が急激に引き伸ばされることで、肌の中のエラスチンやコラーゲン繊維が断裂し、弾力が失われることで現れます。できてしまった妊娠線はすぐに消えるものではありませんが、時間の経過とともに徐々に薄くなる傾向があります。そのため、過度に心配しすぎず、できる範囲でのスキンケアを続けていくことが大切です。
一度できてしまった妊娠線を完全に消すことは難しいとされていますが、スキンケアの一環として保湿を続けることで、肌の乾燥を防ぎ、皮膚をやわらかく保つことができます。
現時点で、保湿によって妊娠線の予防効果が確実に高まるという科学的根拠は明確ではありません。ただし、肌の状態を整えることは妊娠中の快適な生活にもつながるため、リラックスタイムやおなかをいたわる気持ちで、心地よくケアを続けることが大切です。
妊娠線ができるメカニズム
妊娠線は、皮膚の真皮層が急激な伸びについていけず、小さな裂け目が生じることでできるものです。さらにホルモンバランスの変化でコラーゲン生成が低下すると、皮膚の弾力も落ちて亀裂が起きやすくなります。
真皮層には毛細血管が通っているため、できたばかりの妊娠線は赤みを帯びるのが特徴です。しかし、産後は白くなり、時間の経過とともに薄くなります。
妊娠線のできやすい時期と、できやすい人の特徴
妊娠線は、個人差もありますがおなかが急激に大きくなり始める妊娠29~36週頃からできやすくなるものです。
妊娠線はすべての妊婦さんに起こりうる変化のひとつです。中でも、妊娠中に急激に体重が増えた場合や、非妊時のBMIが高い方(25以上)ではリスクが高まる傾向があるといわれています。
ただし、体重の増え方や皮膚の状態には個人差が大きく、年齢や妊娠回数との関係についても研究によって見解が別れています。ご自身のBMIに応じた体重増加の目安を参考にしながら、無理のない範囲で体と赤ちゃんの変化に寄り添い、安心して過ごすことが大切です。
そのため、現時点では、妊娠線を確実に予防できる方法は確立されていませんが、非妊時のBMIに応じた適切な体重増加を意識したり、保湿などのスキンケアを取り入れたりすることで、妊娠線のリスクを軽減できる可能性があるといわれています。
あくまで“予防できるかもしれない”という視点で、無理のない範囲で日々のケアを続けていくことが大切です。
妊娠期向けボディクリームの選び方

妊娠期にぜひ取り入れたいのが、妊娠期向けのボディクリームです。選び方のポイントを押さえて、しっかりケアしましょう。
●科学的根拠に基づく“過度な期待”は避けて
ヒアルロン酸やコラーゲン、セラミドなどの保湿成分が配合されたクリームについて、妊娠線を確実に防ぐ・改善する効果があるという科学的根拠は、現時点では十分に確立されていません。
ただし、保湿によって肌の乾燥を防ぎ、柔軟性を保つことは、妊娠中の快適さやスキンケアとして意味があります。
●肌にやさしく“続けやすい”ことが大切
妊娠中は肌が敏感になりやすいため、無香料・低刺激処方など、やさしさに配慮された処方のクリームがおすすめです。加えて、ベタつきにくく、少量でも伸ばしやすい使用感であれば、全身ケアも負担なく続けられます。気持ちよく続けられることが、日々のリラックスにもつながりますよ。
妊娠期向けボディクリームと一般的なボディクリームの違い

妊娠中のデリケートな肌に使うことを想定して開発された「妊娠期向けのボディクリーム」は、一般的なボディクリームと比べて、よりやさしい使い心地や保湿感に配慮された設計になっているのが特徴です。
低刺激処方であることが多く、日々のスキンケアを心地よく続けられるよう、塗りやすさやベタつきにくさなど、使用感にもこだわって作られています。
また、つわりの時期でも香りや使用感で気分が悪くならないよう、香料の強さを抑えた製品も多く用意されていますよ。
ポンプタイプなど、塗りやすさを考慮して作られているものが多いのもメリットですね。妊娠期向けボディクリームを塗る際は、おなかをやさしくマッサージすることも大切なので、塗りやすいテクスチャのものを選ぶとストレスなくケアを続けられます。
用途や状況に合わせて、より自分に合ったクリームを使うようにしましょう。
妊娠線予防の具体的なケア方法

妊娠線を効率よく予防するためには、正しいケア方法を知ることが大切です。
妊娠線が特にできやすいのはおなかまわりですが、体型や皮膚の状態によっては太ももや二の腕などに現れることもあります。
気になる部位には、保湿クリームなどを使ってやさしくケアしてあげることが大切です。
塗るタイミングやマッサージのコツ
保湿クリームは、入浴後や寝る前のタイミングが特におすすめです。体が温まっている状態だと血行が良く、成分が角質層まで浸透しやすくなります。
マッサージは、やさしい力で円を描きながら行いましょう。保湿ケアは、気になったときにやさしく塗り足すくらいの気持ちで大丈夫。無理なく続けることが何より大切です。
目安としては、軟膏やクリームは人差し指の第一関節までの量で手のひら2枚分、ローションは1円玉大。塗ったあとにティシュが軽くくっつく程度がちょうどよいとされています。
妊娠線ができてしまったら?アフターケアと対処法

妊娠線は、できてしまっても時間の経過とともに徐々に目立ちにくくなる傾向があります。
気になる妊娠線が残ってしまった場合、美容皮膚科などで相談してみるのもひとつの選択肢です。
レーザー治療では、妊娠線部分にレーザー光を照射することで熱を加え、組織の再生を促すことによって妊娠線を目立ちにくくする効果が期待されています。
このような治療は保険適用外となりますが、フラクショナルレーザーやケミカルピーリングなど、複数のアプローチが提案されることもあります。まずは専門医に相談して、ご自身に合った方法を見つけるのが安心です。
まとめ:妊娠線ケアは日々の積み重ね
妊娠線は、妊娠中の体の変化とともに自然に現れるものです。がんばってケアをしていても、完全に防ぐのは難しいこともあります。でも、やさしく保湿を続けたり、体重の増え方に気をつけたりすることで、少しずつ肌の状態を整えていくことはできます。
また、保湿は妊娠中だけに限定して行うものではございません。
実は、これから生まれてくる赤ちゃんのスキンケアの一環として保湿を行うことで皮膚トラブルの予防、アレルギーマーチ※を予防することにもつながることが明らかになってきています。
もし妊娠線ができたとしても、時間がたつにつれて目立ちにくくなる傾向があり、必要に応じて美容皮膚科で相談することもできます。ひとりで抱え込まずに、信頼できる人に話すことも、心を軽くしてくれますよ。
おなかのふくらみや体の変化に戸惑う気持ちも、きっと自然なこと。赤ちゃんを守るために、あなたの体は今、大切な準備をしている最中です。無理をせず、できることから、やさしくご自分の体をいたわっていきましょう。
※アレルギーマーチ:乳幼児期のアトピー性皮膚炎を始まりとし、続いて食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎と次々と異なる時期に出現してくること
