
小さく生まれた赤ちゃんへの最高の贈りものとは?出産前に知っておきたいポイントを助産師が解説
妊娠中は、おなかの赤ちゃんの成長を日々楽しみにしている一方で、出産を迎えること、そして生まれてくる赤ちゃんのことについて、いろいろな気持ちを抱くこともあるかもしれません。
例えば、「切迫早産」と診断され、戸惑いや不安を感じていらっしゃるなら、それはごく自然なことです。
この記事では、もし赤ちゃんが予定より早く生まれたら、ママが赤ちゃんのためにできることは何なのか、NICUでの過ごし方、すべての赤ちゃんにとって最高の贈りものとなる母乳の重要性について、ピジョンの助産師が解説します。出産までに知っておきたいポイントをまとめているので、少しでも心の準備にお役立ていただければと思います。
教えてくれたのはこの方

- ピジョン株式会社 病産院・自治体グループ 助産師 助産師、看護師、保健師の資格を持ち、それぞれ周産期母子医療センターなどでの勤務を経験。ピジョンでは病産院での勤務経験を活かし、医療従事者向けの勉強会をはじめ、病産院での哺乳支援サポートや研究・商品開発を行っている。
「切迫早産」と「早産」は何がちがうの?
「切迫早産」と「早産」は名前が似ていますが、その状態は異なります。
切迫早産
早産になりそうな状態のことです。おなかの張りや痛み(子宮収縮)が頻繁に起こったり、子宮の出口(子宮頸管)が短くなるなどの兆候が見られます。この時点ではまだ出産には至っておらず、赤ちゃんがもう少しおなかの中で成長できるよう、産婦人科医の指示のもとで薬を使ったり、安静に過ごしたりすることがあります。
早産
妊娠22週0日〜妊娠36週6日の間に出産することです。この時期に生まれた赤ちゃんは、身体が小さく未熟なため、特別なケアが必要になる場合があります。
「切迫早産」と診断された際は、かかりつけの産婦人科医や助産師のアドバイスに従って、ゆっくり過ごすことが大切です。
NICU(新生児集中治療室)ってどんなところ?

赤ちゃんが小さく生まれてきた場合、出生後すぐにNICU(新生児集中治療室)で過ごすことがあります。NICUは、赤ちゃんが元気に家族と暮らせるようになるまで、新生児科医・小児科医や助産師・看護師が24時間体制で成長をサポートする場所です。
最初は赤ちゃんを抱っこしたり、直接おっぱいをあげる機会が少ないかもしれませんが、赤ちゃんの状態が落ち着けば、退院にむけて授乳や沐浴など練習もできます。これは赤ちゃんが家族と一緒に過ごすための、大切な準備期間です。
ママから赤ちゃんへの最高の贈りもの
小さく生まれた赤ちゃんのために、ママがしてあげられることはたくさんあります。その一つが、「母乳」です。
早産児にとって、母乳は特別なものです。母乳は赤ちゃんに必要な栄養が豊富に含まれているだけでなく、感染症から身体を守る免疫物質がたっぷり含まれています。これは、ママの身体が赤ちゃんの成長に合わせて作り出す、世界に一つだけのオーダーメイドの最高の贈りものです。
なかでも、出産後~数日間のあいだに出る母乳は「初乳(しょにゅう)」と呼ばれています。特に栄養が豊富で、赤ちゃんを病気から守る免疫物質がたくさん含まれています。早く生まれた赤ちゃんにとっては、まさに命を守る薬と言われるほど大切です。
予定より早く出産したママの母乳は、成分が異なることが知られており、おなかの中にいたときに届けられなかった栄養を母乳に入れて、赤ちゃんに届けようとしています。出産直後はにじむ程度のわずかな初乳しか出ませんが、赤ちゃんに必要な成分がしっかり摂れるよう濃縮された状態で出てきます。
貴重な一滴を赤ちゃんに届けるために

母乳は、赤ちゃんがおっぱいを吸うことで分泌が促されますが、小さく生まれた赤ちゃんは、直接おっぱいを吸うことが難しい場合もあります。そんなときは、母乳を出すためにさく乳をしてあげることも大切です。
初めてのさく乳に戸惑うかもしれませんが、病院の助産師や看護師は母乳育児のサポートもしてくれます。わからないことは遠慮なく相談しましょう。母乳は出産後すぐにたくさん出るわけではなく、最初はにじむ程度のわずかな量から始まります。この時期には、大切な初乳を、針のない注射器のような「シリンジ」という道具を使って1滴ずつ集めることがあります。慣れない作業に戸惑いながらも、「赤ちゃんのためにできることは何でもしてあげたい」と昼夜問わずさく乳を頑張っているママはたくさんいます。

そんなママたちをたくさん見てきたピジョンの助産師の声から、Precious Drop(プレシャスドロップ)が生まれました。初乳を集める負担を軽減し、そして1滴でも多くの初乳を赤ちゃんに届けたいという想いを形にしたデバイスです。初乳は、NICUで頑張る赤ちゃんに届けられ、壊死性腸炎などの早産児が発症しやすい病気のリスクを減らすと言われています。さらに、長期的な発達にもよい影響があると言われており、赤ちゃんの健やかな成長をサポートする大きな力となります。
まとめ
切迫早産の診断を受けた方も、そうでない方も、まずは専門家のアドバイスに従い、赤ちゃんに会える日を心から楽しみに待つ、その穏やかな気持ちで過ごす時間を大切にしましょう。そして、もしも赤ちゃんが小さく生まれてきたときのために、初乳の大切さやその準備について知っておくことは、ママから赤ちゃんへの最高の準備となります。
ネット上にはさまざまな情報があふれているからこそ、わからないことや不安なことは、かかりつけの産婦人科医や助産師さんに遠慮なく聞いてみてくださいね。
※この記事は、厚生労働省の資料および専門学会のガイドラインを参考に作成しています。








