産後に骨盤ケアをしないと、尿モレや腰痛に悩む可能性が!帝王切開でも産後ケアをしよう!
- 出産後は骨盤が緩むと聞くけれど、「私は帝王切開だから大丈夫」と思ってなあい?実は妊娠中から緩み始めるから、帝王切開でも緩んでるんだって。しかも、そのままにしておくと尿モレや腰痛などのトラブルが起こることがあるそうよ!じゃあどうすればいいのかって?帝王切開と骨盤ケアについて、産婦人科医の天神先生に教えていただいたからぜひ参考にしてね~!
産後の骨盤ケアはなぜ必要なの?
妊娠中はリラキシンと呼ばれるホルモンが分泌されて骨盤が開きます。これは赤ちゃんが産道をとおれるようにするための働きで大切なこと。ですが、産後もそのままにしておくと、骨盤内をつないでいる関節やじん帯さらに筋肉が緩んでいるため、腰痛や肩こり、尿モレ、便秘、冷え症、むくみなどさまざまな症状を引き起こしてしまうことがあります。また、おなかがポッコリと出てしまったまま元に戻らないことも。これらを予防するために、産後は骨盤ケアをして、関節やじん帯や筋肉の緩みを元に戻して骨盤を締める必要があるのです。
知っておきたい帝王切開のあれこれ
なんとなく他人事だけど私も帝王切開になるのかな?と気になっている妊婦さんは少なくないはず。帝王切開はどうやって決まるのか?いつ決まるのか?など、みなさんのギモンに回答しました。
妊婦さんの約5人に1人が帝王切開?!
年々帝王切開の割合は増加傾向にあり、近年、妊婦さんの約5人に1人が帝王切開で出産しています(※)。増えている理由としては、高齢出産が増えていること、不妊治療によって双子の妊娠が増えていること、帝王切開術の医療技術が高まってきて適応も拡大され、さらに未熟児医療の進歩で救命できる早産児に対しての帝王切開術も多くなったことなどが考えられます。また、妊娠中や分娩中の予期せぬトラブルによって急きょ帝王切開になるケースもあります。そのため出産を控えている妊婦さんは誰もが帝王切開になる可能性があるといえるでしょう。
(※)厚生労働省「平成 29 年(2017) 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」調査データより算出
帝王切開には「予定帝王切開」と「緊急帝王切開」がある!
帝王切開には「予定帝王切開」と「緊急帝王切開」の2つがあります。
予定帝王切開は、妊婦健診で自然分娩が難しいと判断されたときに、あらかじめ帝王切開の計画を立てておこなうものです。緊急帝王切開は、妊娠中や分娩中、ママのからだやおなかの赤ちゃんに予期せぬ緊急事態が発生した場合にできるだけ早く赤ちゃんを取り出すために、文字どおり「緊急」におこなわれる帝王切開です。
予定帝王切開はいつごろ決まる?どんな場合に決定するの?
予定帝王切開が決まる時期には個人差があり、妊婦健診で自然分娩は適さないと判断された場合に決定します。そして、だいたい妊娠34週~35週ごろには手術日が決定されます。また、手術は陣痛が起こる前で、かつ、赤ちゃんがいつ生まれても大丈夫な日におこなうために正産期の妊娠37週~38週が手術日として組まれるのが一般的です。ただし、なかには自然分娩を予定していたけれど逆子になったなどの理由で、正産期ギリギリに帝王切開が決定することもあります。
予定帝王切開が選ばれるおもなケースは以下のとおりです。
ただし、双子や逆子や以前のお産が帝王切開であっても妊婦さんが自然分娩を希望した場合、リスクなども話して了解の上で、いつでも帝王切開に切り替えられるように帝王切開の準備と併行して自然分娩にすることもあります。
緊急帝王切開になるのはどんなとき?
ママと赤ちゃんを非常事態から守るために緊急におこなわれる緊急帝王切開。緊急帝王切開になるのはおもに以下のようなケースです。
なお、2014年~2016年の調査結果によると、帝王切開のうち10人に3~4人は緊急帝王切開(※)です。意外と多いと思った方もいるのではないでしょうか。緊急帝王切開の場合、赤ちゃんとママの安全のためとはいえ、ママは心の準備ができておらず戸惑ってしまうかもしれません。予期せぬトラブルは誰にでも起こりうることなので、いざというときにリラックスして臨めるよう、妊娠中に帝王切開について理解を深めておくとよいかもしれませんね。
(※)日本産婦人科医会「分娩に関する調査」調査データより算出
帝王切開後も骨盤ケアは必要?いつから、何をしたらいいの?
「帝王切開だと赤ちゃんが産道をとおらないから骨盤は緩んでいない」と誤解されることもありますが、妊娠中に分泌されるリラキシンというホルモンによって骨盤は緩みます。そのため帝王切開は自然分娩より骨盤の緩みは少ないものの、しっかり骨盤をケアしてあげる必要があります。産後の1ヵ月健診で問題がなければ骨盤ケアを始められるので、傷の痛みや体調に応じて少しずつ運動をとりいれましょう。また、産後ガードルでおなかを締めたり、骨盤ベルトをつけたりするのもおすすめです。ポイントは、傷口を圧迫してしまい傷が痛むことのないようにすること、締めすぎて血液循環が悪くならないようにすることです。傷口の回復に時間がかかっている場合は、医師などに相談しながら骨盤ケアを始める時期を決定してくださいね。
赤ちゃんのお世話に追われるなかでママが自分のケアをするのは大変だと思いますが、育児中に不調に悩まされるとさらに負担が増えてしまいます。産後は自分の傷口や体調をみつつ無理のない範囲で骨盤ケアを始めましょう。
監修者プロフィール
- 天神尚子産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長
日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、1995年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。