夫婦=チームで乗り切る!つわりサバイバル術2〜長い育児生活にも影響!?パパがやるべきつわりサポート〜
- こんにちは!妊婦フレンズのあんなよ。つわり中のママは体調が悪そうなのはもちろん、精神的にも不安定になって、どうしていいか分からない……と困っているパパ、多いんじゃないかしら。でも、この時期どれだけママをサポートできるかが、産後の育児生活にも影響してくるのよ!そこで、累計1万5000人以上の夫婦が参加する両親学級の講師を務める渡邊大地さんに、パパだからこそできるつわり中のママのサポート方法を聞いてみたわよ。
第1子の出産時、よき夫・父のつもりでいたけれど……
今でこそ3児の父として育児・家事をこなしている渡邊さんですが、本人のやる気とは裏腹に、第1子の妊娠から産後にかけては、妻としては「不満」だったのだそう。
「1人目の妊娠中は、通勤中に妊婦向け雑誌を妻よりも先に熟読するなど、ものすごく勉強しているつもりでいました。出産後も毎日、子どもの写真を大量に撮って、自己満足にひたる日々。今思えば、妻が心身ともにストレスで限界であることにも気づかず、サポートらしいサポートはまったくしていなかったですね。そのせいで、生後6カ月の頃に妻から『このままでは夫婦でいられません!』と宣告されました」(渡邊さん)
そのときの反省点を踏まえて、第2子以降は心を入れ替え、妻の体調や気分を気づかうように。
「事前に妻から『2人目の出産後には必ず毎日、体調と気分を聞いてほしい』と言われたんです。妻はつわりもそれなりに重かったので、妊娠中からずっと聞くようにしていました。そこで実感したのは、日によって妻の体調も気分も夫の想像以上にバラバラだということ。特につらいときにサポートの仕方を間違えると、取り返しのつかない事態になってしまう可能性もあると分かりました」(渡邊さん)
つわり時期の夫の言動は、その後の育児生活にも影響する!?
実は渡邊さんも妻のつわり中に“やらかしてしまった”夫のひとり。
「第1子妊娠中のつわりがひどい中、妻が中耳炎になったんです。すごく痛くて動けないほどだったそうなんですが、僕としては『耳が痛くても近所にある病院くらい行けるだろう』と軽く考えてしまい、そのまま仕事に向かいました。でも妻は身動きがとれず、埼玉に住む実母に助けを求め、神奈川の自宅まで来て病院に連れていってもらったようなんです。にもかかわらず、その日僕は飲んで帰ってきてしまい……待っていた義母にめちゃくちゃ怒られました」(渡邊さん)
「妊娠中の恨みは一生忘れない」とはよく聞きますが、渡邊家でもこの時の出来事は10年たった今も妻からよく言われるとか。一方で、つわり時期に妻を理解して接することができると、その後の育児生活のコミュニケーションもスムーズに。
「第2子以降は、妊娠中からすでに気分と体調がだいぶ変わりやすいと分かっていたのと、『出産後はもっとだよ』と忠告されていたのとで、かなり心構えができていました。おかげで産後、妻にいろいろ言われてもワガママだとは思わず、妻の気持ちに寄り添い、すぐに対処できました。妻も僕に聞く耳があると信じられるようになってからは、爆発寸前まで我慢することはなくなりましたね」(渡邊さん)
つわりについて、男性がこれだけは押さえておきたいポイント
とはいえ、つわりは男性が経験できない分、なかなかそのつらさを理解しづらいところ。そこで渡邊さんにプレパパが押さえておきたいポイントを教えてもらいました。
●つわり=嘔吐だけではない
「つわりと聞くと、『とにかく吐いてしまう』というイメージをもつ男性が多いかもしれませんが、実は千差万別。食べられる物が限られる、よだれが止まらなくなる、むしろ食べないと気持ち悪くなる……など人によってさまざまです。また同じ女性でも1人目と2人目で症状や重さが違うことも」
●つわりの重さは日によって変わる
「寝込んでしまうほど悪化する日もあれば、そこまで気持ち悪くないという日もあります。だからといって、つわりが終わったわけではなく、大小の波がだらだらと続くもの。そんなふうに日によってコロコロ変わることを気に留めて、パートナーの心に寄り添いましょう」
●体調とメンタルは比例する
「妊娠中から産後にかけてママはどうしても精神的に不安定に。体調とメンタルは複雑に絡み合い、体調に連動して気分が落ち込むこともあれば、体調がよさそうに見えても気分が落ち込んでいることもあります。とはいえ、パートナーの気分はいいに越したことはありません。そして気分を支えてあげられるのは、やはり夫の対応。だからこそ、つわり中にいかに妻をサポートできるかが大事なんです」
夫が押さえておきたい、心配事の「さ・し・す・せ・そ」
「正直なところ、つわりだけでなく妊娠期を通じて夫が妻に対してできることってあまりないんです。できるのは、心の負担を少しでも軽くしてあげることくらい。そのためには、まず妻の“心配事”をよく聞いて、一緒に考え、問題点を一つずつクリアにしていくことが大切です」(渡邊さん)
キーワードは「さ・し・す・せ・そ」。これらのワードから始まる心配事をしっかり話し合っておけば、気持ちだけでもずいぶん楽になるそうです。
●さ/里帰り
「里帰り出産をするのかどうか。するのであれば、どのくらいの期間か、妻の実家へのあいさつはどうするか、里帰り中の生活費はいくら必要か、など詳細を詰めておきましょう」
●し/職場復帰
「復帰するのか、しないのか。するとしたら、どのタイミングか。保育園はどうするのか、などクリアしなければならない問題はたくさんあります」
●す/睡眠不足
「妊娠中から産後しばらくはずっと睡眠不足が続きます。特に産後は子どもの命を預かるわけですから、睡眠不足は命取りに。そのため、妻の睡眠をどうやって確保するかについても考えましょう」
●せ/責任感
「特に初めての出産だと、『自分に子育てなんてできるのかな』『子どもができると仕事で迷惑をかけてしまわないかな』など、いろんな責任感で心配になってしまうお母さんもいるので、そこは夫が中心になって『ふたりでがんばって親になろうね』と前向きな話をしたいですね」
●そ/祖父母との関係
「赤ちゃんが生まれると、どうしても親戚付き合いは多くなります。特に夫側の両親があまりに口出しすると、妻はプレッシャーに感じることも。例えば、いつぐらいになったらお見舞いに来ていいのか、お正月はどちらの実家に帰るのか、など今後起こりうる関係性を早い段階で決めておきたほうがいいですよ」
幸せな家族づくりは妊娠期から。ママのつわりを理解し、でも分かったつもりにならずに向き合おう
「つわりのことがよく分からない。それは夫が悪いわけではないんです。男性は妻のつわりを体感できず、また代わってあげることもできないのですから、分からなくても仕方ありません。それに、妊婦さんによってつわりの症状は違うため、分かったつもりで接するのも危険です。大事なのは、妻の様子をよく観察し、妻の話をちゃんと聞いてあげること。唯一のパートナーにしかできないサポートをぜひ実践してください」(渡邊さん)
まとめ
- あんな産後はもちろん、その先の長い結婚生活もずっと家族みんなで仲良く幸せに暮らすためにも、この時期に夫婦がどう向き合うかはとっても重要。だからこそ、しっかりママとコミュニケーションをとって、寄り添ってあげてね♪
監修者プロフィール
- 渡邊大地さん株式会社アイナロハ 代表取締役/札幌市立大学看護学部 非常勤講師
大学卒業後、会社員を経て、2011年に株式会社アイナロハを設立。2012年より「産後サポート “ままのわ”」事業をスタート。自治体の産後サポート事業、全国の産院での両親・父親学級の開催、講演など、多方面で活躍中。著書に『産後が始まった! 夫による、産後のリアル妻レポート』、『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナーシップ学』(いずれもKADOKAWA)などがある。3児の父。
株式会社アイナロハHP: http://www.ainaloha.com/