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妊娠中ってどうして腰痛が起こるの?どうやってケアをしたらいい?【助産師が解説】

あんな
妊娠中期になると、腰痛を感じやすくなる妊婦さんが多いみたいね…。あんな心配。みんな無理は禁物よ!

「どうして腰痛になるの?」「妊娠中ずっと続くの?」「痛みをラクにする方法はあるの?」
そんな妊娠中の腰痛にまつわる疑問・気がかりについて、助産師で杏林大学准教授である加藤千晶先生に教えてもらったわよ!腰痛と恥骨痛の違いについてもわかるから、今お悩みの方も、そうでない方も知っておいた方がいいからぜひ読んでね!
笑顔のマタニティさん

妊娠中はどうして腰痛になりやすいの?

笑顔のマタニティさん

妊娠中は胎盤から分泌されるリラキシンというホルモンの影響で、骨盤の関節や靭帯がゆるむため、お腹をささえる力が弱くなり、腰の筋肉に負担がかかることで腰痛が起こりやすくなります。また、お腹が大きく重くなるにつれて、重心が前にかかるため上体を反らしてしまいがちになり、腰や背中の筋肉に負担がかかることも腰痛の原因に。自分の体だけでなく、常に赤ちゃんの重さをささえているため、普段の生活よりずっと腰痛が起こりやすい原因がそろっています。

実際、妊婦さんの半数以上が腰痛に悩んでいると言われています。ですが、腰痛そのものが妊娠経過や出産に影響を及ぼすことがありませんし、出産後は治ることがほとんどなので、あまり心配しすぎなくても大丈夫です。

腰痛と恥骨痛って違うもの?

恥骨は、骨盤を構成する骨の1つで、骨盤の前側にある骨のこと。おへそから陰部に向かって手で押さえていくと、途中に硬い骨の感触がありますが、それが恥骨です。妊娠後期になると、リラキシンの分泌で骨盤の関節や靭帯がゆるみます。さらに、出産に向けて赤ちゃんの頭の位置が下がり、恥骨が圧迫されることで、恥骨痛が起きることがあります。

痛みや感じ方は人によってさまざまで、はじめは痛みというよりズンとした重みを感じる人もいれば、突然ズキズキと刺すような痛みがある人もいます。こういった痛みが恥骨や股まわりにある場合は、腰痛ではなく恥骨痛の場合があります。初めての妊娠では、腰痛か恥骨痛かわからない妊婦さんもいると思います。気がかりがあったら、かかりつけの医師に遠慮せずに相談してください。恥骨痛も、赤ちゃんへの直接的な影響は特にありません。

これってよくなるの?妊娠中の腰痛、どうケアすればいい?

おでかけしているマタニティさん

妊娠中に起こる腰痛、どうすればラクにできるでしょうか。日常生活の工夫で、腰への負担を軽減するためのポイントを紹介するので、参考にしてくださいね!

正しい姿勢で生活をする

料理や掃除、アイロン掛けなどの家事をする際、中腰や床に座った姿勢だと腰にかなりの負担がかかります。作業台の高さを調節したり、椅子に座ったりして背筋を伸ばした姿勢を保ちましょう。立ったまま作業するときは、脚を前後に開く、片足を低めの台に乗せるなどして、体重を片足ずつ交互にかけながら行う方法もよい方法です。物を持ち上げるときは立ったまま持ち上げようとせず、腰を落としていったんしゃがんでからゆっくりと持ち上げるようにしてください。歩くときは、首や背筋を伸ばし、前方をまっすぐ見るつもりで、お腹を突き出さないようにするのがポイント。靴はスニーカーやローヒールだとバランスがとりやすく安全です。

腹筋や背筋を鍛える

妊娠してからでも、医師の許可があれば、マタニティスイミングやマタニティヨガ、マタニティビクスなどの妊婦さん向けの運動なら安心して始めることができます。産院や自治体などが行っている妊婦さんのための教室を選ぶといいでしょう。ウォーキングや腰痛体操を日課にするのもおすすめ。数日ではなかなか効果を感じられないかもしれませんが、軽い運動でも毎日続ければ筋力は確実にアップしていきます。筋肉を鍛えることは、腰痛を緩和するだけではなく、お産をスムーズに進行させるためにも役立ちます。

寝具は硬めにする

腰が痛むときには、ついやわらかい寝具の方がラクと思ってしまいますが、実は硬めのほうがラクです。寝る姿勢は、あお向けだと痛みを感じやすいので、横向きがおすすめ。横向きになったら背中を丸め、上になっている方の足の膝を曲げてお腹の方に近づけて、下になっている方の足とずらしてみてください。さらに、上側の腕や足の下に枕を置くとラクになります。

妊娠期も使える骨盤ベルトや腰痛ベルトを着用する

妊娠による腰痛であれば、骨盤ベルトの着用で痛みがよくなる場合が多いです。妊娠してから腰痛がある場合は、まず妊娠期にも使える骨盤ベルトを試してみてください。正しくつけることが大切なので、助産師に相談すると安心です。

なお、一般的な腰痛ベルトは妊娠していない人の脊椎や骨盤を支えるために作られているベルトなのでおすすめできません。妊娠期向けに作られたものを着用しましょう。

それでも腰痛がつらいときは、受診したほうがいいの?

医療機関に来ているマタニティさん

腰痛がよくならない、痛みがひどいなどの場合はまずかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。そこから必要であれば整形外科などの受診をすすめられると思います。妊娠によるホルモンや大きくなった子宮の影響であれば、姿勢を正したり、骨盤ベルトを使用したりすることでほとんど改善すると思います。市販の鎮痛剤は種類や服用法によっては副作用も考えられますから、自己判断で市販薬を服用するのは避け、必ず医師に相談してください。湿布薬や塗り薬はそれほど心配する必要はありませんが、やはり医師に相談するのがベターです。

まとめ

普段からの生活の中でのちょっとしたクセなどにより、妊娠中の体調が変わってきたりします。腰痛がある場合は、背中の筋肉の骨を支える力が弱いのかも……と生活の中での体の使い方に注意を向けてください。出産後は子どもを抱いて行動することも多くなっていきます。正しい姿勢で、筋力アップすることが育児もラクにする一歩になります。しかし何ごとも無理はしないこと。痛いときは休みましょう。

教えてくれたのはこの方

加藤千晶さん
加藤千晶杏林大学保健学部看護学科 准教授
助産師として約10年大学病院にて勤務。その後、看護・助産教育に約15年携わり、産科病院にて看護部長を経験。現在、杏林大学保健学部看護学科准教授として助産師教育に携わっている。

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