腹帯…?妊婦帯…?妊娠中、それって本当に必要? 【助産師が解説】
- お腹がふくらみ始める前に腹帯や妊婦帯を用意したほうがいいって聞くけれど、初めての妊娠を迎える皆さんは、「そもそも腹帯・妊婦帯って何?」「つけた方がいい理由って?」「どんなときつけるの?」っていろいろな疑問が沸くんじゃないかしら?
そんな悩める妊娠初期・中期プレママの疑問を解決すべく、助産師で杏林大学准教授である加藤千晶先生に腹帯や妊婦帯について教えてもらったからぜひ参考にしてね~。
腹帯・妊婦帯ってなあに? どうして必要なの?
腹帯とは、大きくなったお腹を支え、冷えを予防する目的でお腹に巻くもの。一般的には安定期に入る妊娠5ヵ月目の戌の日に安産を願って巻く風習があります。現在はさらしタイプだけではなく、使いやすい工夫がされているはらまきタイプ、ベルトタイプ、はくタイプなどがあり、総称して妊婦帯と呼ばれています。
妊婦帯は、お腹を支えて冷えを予防するだけでなく、腰への負担を軽減してくれます。また、腹帯や妊婦帯をつけることで、一層母の自覚が強まるという精神的な効用もあると言われています。戌の日直前にバタバタしないように、お腹が大きくなる前に準備しておくと安心ですね。
妊婦帯、どれを選べばいいの?
妊婦帯はいろんな種類があるので、どれがいいのか悩んでしまいますよね。選び方のポイントを紹介するので、参考にしてくださいね!
妊娠初期から使いやすいはらまきタイプ
着脱が簡単で着け心地が良いので、自宅でゆったり過ごすときもラクちんです。ベルト(ささえ帯)タイプとセットになっているものもあります。
妊娠中期~後期に使いやすいベルトタイプ
大きくなっていくお腹をしっかり支え、腰への負担もサポートしてくれます。お腹の大きさやその日の体調によって調節できるところも便利。
仕事中や外出時に使いやすいはくタイプ
ショーツと妊婦帯が一体になったものです。はくだけでOKなので、着脱がラクちん。ずり上がることがなく、動きやすいのが特徴で、洋服にも響きません。ショーツなしで1枚ばきできるものもあります。
妊婦帯をつけるときに注意したいこと
強く巻くのはNG
ベルトタイプの妊婦帯を使うときは巻き方と巻く位置に気を付けましょう。強く巻くと、血液循環や胎児の運動を妨げることになり、巻く位置が適切でないと腰や骨盤に余計な負担をかける場合があります。うまく巻けないとき、自信がないときは妊婦健診のときに助産師さんに相談して、正しいつけ方を教えてもらうといいでしょう。
はらまきタイプ・はくタイプを使うときは、体格とそのときのお腹の大きさに合ったサイズを選びましょう。つけたときに、ゴムなどによる締め付け感が不快になったりする場合には、サイズアップの変更を検討してください。
つけ心地がいいものを選ぶ
サポート力はありつつも、圧迫感や締め付け感のないもの、伸縮したり調節できたりするものを選ぶと安心です。多くの妊婦帯は直接肌に触れるので、肌にやさしい素材がおすすめ。暑い季節につけるなら、蒸れないように通気性のよい素材、寒い季節なら、保温性の高い素材を選ぶなど、使う季節によって選んでもいいでしょう。
これも気になる! 妊婦帯Q&A
妊娠して初めて使うことになる妊婦帯。妊婦さんの「これも気になる!」について、加藤先生が詳しく解説します。
Q. 妊婦帯って寝るときにつけていいの?
自分がつけていて気持ちが良ければ、寝ているときもつけて大丈夫ですが、メーカーの使用方法を守って使いましょう。横になるときはベルトタイプよりもつけ心地がよりラクと感じるはらまきタイプにする、といったように、生活シーンによって使い分けてもいいでしょう。
Q. 妊婦帯をつけない方がいいときもあるって本当?
つけてはいけないときはとくにありません。つける・つけないは自分が気持ち良いかを基準に判断して大丈夫です。ただし、つけていてしっくりこない場合は、着用の仕方やサイズが合っていない可能性もあります。つけ方を妊婦健診などで相談して見直してみる、あるいは、サイズの変更を検討するとよいかもしれません。また、肌にトラブルが起きた場合は一旦使用を控え、かかりつけの産婦人科・皮膚科に相談しましょう。
Q. ベルトタイプ(ささえ帯)ってどんな意味があるの?
お腹が大きくなってくると重みで姿勢が崩れ、腰に痛みが出たりします。そんなときはしっかりとお腹をしっかり支えてくれるベルトタイプ(ささえ帯)をつけることでラクになることも。普段はらまきタイプやはくタイプを使っていても、ちょっと腰が痛いとき、お腹が大きくなって動きづらいと感じたときはベルトタイプに変更したり、併用したりすることで負担が軽くなります。
Q. 妊婦帯をしないとお腹が下がるって本当?
妊婦帯をしないとお腹が下がるということはありませんから、心配しなくて大丈夫です。また、妊婦帯をしないとお腹が大きくなりすぎるということもありません。妊婦帯をつけると気持ちいい、ラクと感じるならつけましょう。お腹が大きくなってくると、つけているほうがラクに行動できると思います。
まとめ
妊婦帯をつけなければいけないということも、つけてはいけないということもありません。妊娠中、自分がいかに気持ちよく過ごすことができるか、その方法の一つとして妊婦帯をすることを考えてみてください。でも、戌の日に安産を祈願して妊婦帯を着用することも、母としての準備として考えていただいてよいと思います。周囲の方々と喜びを分かち合い、お腹が大きくなっても快適に過ごすことができるようにしてくださいね。
教えてくれたのはこの方
- 加藤千晶杏林大学保健学部看護学科 准教授
助産師として約10年大学病院にて勤務。その後、看護・助産教育に約15年携わり、産科病院にて看護部長を経験。現在、杏林大学保健学部看護学科准教授として助産師教育に携わっている。