頭皮も皮膚って知っていますか?赤ちゃんの頭皮の正しいケア方法を小児皮膚科医が解説します

赤ちゃんの肌がとてもデリケートなのはご存じの方も多いと思います。しかし、頭皮は見逃されがち。頭皮も体と連続した皮膚なので、実は頭皮もデリケートなのです。赤ちゃんの頭皮は、フケ、かゆみ、湿疹などのトラブルがよく起きます。そこで今回は、神奈川県立こども医療センター皮膚科部長の馬場先生に、赤ちゃんの頭皮の正しいケアについて教えて頂きました。

赤ちゃんの頭皮は皮脂量が多い?少ない?

生後1~2ヵ月までは、一過性に赤ちゃんの血液中の男性ホルモンのレベルが高くなるため、このホルモンの影響を受けて皮脂腺が活発に皮脂を産生します。そのため、皮脂腺がとくに多い頭皮と顔に皮脂がたくさん出てきます。

それをきれいに洗わないままでいると固まって乳痂(にゅうか)とよばれる白っぽい厚いかさぶたのようなものがこびりついて取れにくくなります。この状態を乳児脂漏性(しろうせい)湿疹と呼びます。

その後2ヵ月を過ぎるころから、この一時的な皮脂分泌の増加はなくなり、逆に皮脂が最も少なくかさつきやすい乾燥期に入ります。かさつくと、角層がはがれやすくなり、細かいフケのようなものがたくさん落ちるようになり、乾燥によるかゆみも生じます。赤ちゃんはかゆいとひっかくので、髪の毛がまだ少ない赤ちゃんの頭皮はすぐに傷つき、ひっかき傷ができます。

このような頭皮トラブルを予防するためには、赤ちゃんの頭皮の特徴を理解して、正しくケアを行うことがとても大切です。

赤ちゃんの正しい頭皮ケアとは

正しい頭皮ケアは、体と同じで、「きれいに洗って、しっかり保湿すること」が基本。具体的な洗い方、保湿の仕方は次のとおりです。


●頭皮の洗い方
頭皮も顔や体の皮膚と同じように1日1回お風呂に入って石鹸の泡で丁寧にやさしく洗ってください。ママやパパの指先を軽く鍵の手状に曲げて、爪を立てるのではなく指の腹で洗いましょう。ご自分の頭皮を洗うときと同じイメージで、髪を洗うのではなく頭皮を洗うと意識してくださいね。

頭髪量がまだ少ない時期は、顔や体と同じ泡のソープでよいでしょう。個人差がありますが、頭髪量が多くなってきたら、赤ちゃん用シャンプーに切り替えるとよいですね。汗をたくさんかく夏は、入浴時以外にシャワーでさっと汗を流す必要はありますが、洗浄剤を使うのは入浴時に1回にしましょう。

また、トリートメントの使用は1才半以降からでよいでしょう。ひとり歩きを始めて外で歩きまわるようになり、汗や汚れも増えてくる頃が使用し始める目安です。

●頭皮の保湿方法

生後2ヵ月を過ぎた頃などに頭皮が乾燥しているようであれば、入浴時に洗浄剤で洗ったあとは、ローションタイプの保湿剤を頭皮に丁寧に塗りましょう。保湿剤は、顔や体に塗っている保湿剤と同じローションでかまいません。髪の毛があるのでなかなか塗りにくいですが、髪の毛の上から振りかけるのではなく、髪の毛をかき分けて、指先にとったローションを頭皮にのせてから、軽く指先でなじませるように塗りましょう。

頭皮にトラブルがあるときは

乾燥が強いとき、湿疹があるときも、1日1回は泡ソープで優しく洗いましょう。その際、絶対に擦らないように気を付けてください。指先の力は最小限にしてなでるようにゆるく洗いましょう。洗ったあとは、水圧をゆるめにして、ぬるめの温度にしたシャワーでしっかり洗浄成分を落としてください。

保湿については、頭皮に湿疹がある(赤くなっていたり、ブツブツ、ジクジクがある)場合、受診して医師からもらった消炎剤を異常がある部位だけに塗ります。ローションはそのほかの部位だけ塗りましょう。

まとめ

頭皮も顔や体と同じ連続した皮膚です。赤ちゃんの皮膚はデリケートなので、頭皮にはべたつき、フケ、かゆみなどのトラブルも多くみられます。髪の毛を洗うというより、頭皮を顔のように優しく洗うという意識をもって、毎日正しくケアをするよう心がけましょう。

馬場直子
神奈川県立こども医療センター皮膚科部長、横浜市立大学皮膚科臨床教授

1983年滋賀医科大学医学部卒業、1994年横浜市立大学皮膚科講師を経て、神奈川県立こども医療センター皮膚科部長、2015年より横浜市立大学皮膚科臨床教授を兼務。日本皮膚科学会専門医。専門分野は小児アトピー性皮膚炎、母斑、血管腫、皮膚感染症など小児皮膚科学全般。

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