赤ちゃんの乾燥肌、敏感肌って大人になるまで続いてしまうの?将来の肌トラブルを防ぐには?

赤ちゃんの肌は乾燥しやすいと聞きますが、何才頃まで続くのでしょうか。また、保湿ケアは年齢が上がるにつれてどのように進めていけばいいのでしょうか。今回は、そんな赤ちゃんの肌に関する疑問を、神奈川県立こども医療センター皮膚科部長の馬場先生に教えて頂きました。

赤ちゃんの肌が乾燥しやすい理由

生まれた直後の赤ちゃんは、全身を胎脂という白いクリーム状の脂肪分に覆われて肌を保護していますが、胎脂は生後24時間以内に自然に消えてしまい、乾燥が始まります。

また、赤ちゃんの皮膚は大人の約半分の厚さしかなく、肌の水分を保ったり、外から異物が入ってくるのを防ぐバリア機能が未発達。生後2ヵ月ごろまでは皮脂分泌が盛んですが、3ヵ月以降は少なくなるため、さらに乾燥しやすくなります。カサカサしていたらもちろん乾燥していると分かると思いますが、さらさらしている状態も実は乾燥の始まり。しっかり保湿ケアをしてあげる必要があります。

さらにもうひとつの原因として、現代の生活様式があります。ヒートアイランド現象(アスファルトが多い都市部の気温が高くなる現象)により空気全体が乾燥しやすくなっています。また、エアコンが完備された気密性の高い空間は室内を乾燥させます。

乾燥した肌はバリア機能が低下しているため、皮膚の表面から細菌などが侵入しやすく、さまざまな肌トラブルを起こすことがあります。また、細菌だけでなく、花粉、ハウスダストなどのアレルゲン物質、化学物質に対しても過敏に反応しやすくなります。乾燥することでかゆくなって、とくに赤ちゃんは掻いてしまってますます肌の表面が荒れてしまうことも。

赤ちゃんの乾燥肌はいつまで続く?

個人差はありますが、赤ちゃんの乾燥肌はだいたい小学校低学年ぐらいまで続くと考えましょう。

新生児の皮膚の厚さは大人の半分ぐらいですが、生後1ヵ月ぐらいから少しずつ大人と同じ厚さに近づいていきます。新生児~生後1ヵ月までが大人の皮膚の50%の厚さだとすると、そこから思春期の始まりである12才ごろまで連続的に少しずつ大人と同じ100%の厚さになっていきます。

一方、皮膚の乾燥しやすさに関わる皮膚表面を覆う皮脂量は、新生児から生後3ヵ月くらいまでは多く、その後は生涯で最も少ない時期になり、それが小学校低学年くらいまで続きます。思春期が近づく10才ころから皮脂量が増え始めて、12才くらいから急激に増えて、15才ころには成人とほぼ同じくらいの皮脂量に達します。

そこで、子どもが成長するにつれて自分で保湿ができるような働きかけが必要です。子どもが年長さんくらいになったら、ママやパパの指導のもと、自分で保湿剤を塗ることができる頬や腕、脚、胸、おなかなどを塗らせてみましょう。ママやパパが見ている前で塗らせてみて、塗り残しや背中やお尻などの手が届きにくいところだけは大人が塗ってあげるようにします。

小学校高学年(4年生以降くらい)になったら、すべて自分で塗ることができるようにした方がよいでしょう。ただし完全に本人に任せるのではなく、ママが見ていてあげて、きちんと塗られなかった部分は補ってあげてください。中学生頃になったら、本人任せにしてよいかもしれません。

新生児からのスキンケアが将来の肌トラブルを起きにくくする!

まだ皮膚のバリア機能が未熟な乳幼児期に肌トラブルを繰り返すと、大人になっても乾燥しやすく、かゆみなどを起こしやすくなるといわれています。赤ちゃんの頃からしっかりスキンケアをおこなって、将来の肌トラブルを予防したいですね。

赤ちゃんの正しいスキンケアとは「やさしく肌を洗う」「十分に保湿する」の2つです。毎日このスキンケアをおこなって、赤ちゃんの皮膚を乾燥から守りましょう。乾燥から守ることは、アトピー性皮膚炎などのさまざまな肌トラブルの予防や、食物アレルギー予防にもつながります。

まとめ

赤ちゃんから幼児期、小学校低学年くらいまでの子どもの皮膚は、表面を覆っている皮脂が少なく、角層のアミノ酸なども少なく、皮膚も薄くバリア機能が未熟です。するとホコリ、ダニ、花粉、食物などのさまざまな外来抗原が皮膚から侵入し、感作(アレルギーを起こすもとになる抗体を作ること)され、アレルギー反応を起こしてしまうことが分かってきました。

そうならないためには、皮膚の表面を清潔にすると同時に、バリア機能が壊れないような保湿ケアを徹底することがとても大切です。

そうすることによって経皮感作を防ぎ、アトピー性皮膚炎だけでなく、その後起こってくる食物アレルギー、喘息、アレルギー性 鼻炎 など他のアレルギー疾患の予防にもつながる可能性があります。

ぜひ、赤ちゃんのころからの保湿ケアを習慣にしましょう。

馬場直子
神奈川県立こども医療センター皮膚科部長、横浜市立大学皮膚科臨床教授

1983年滋賀医科大学医学部卒業、1994年横浜市立大学皮膚科講師を経て、神奈川県立こども医療センター皮膚科部長、2015年より横浜市立大学皮膚科臨床教授を兼務。日本皮膚科学会専門医。専門分野は小児アトピー性皮膚炎、母斑、血管腫、皮膚感染症など小児皮膚科学全般。

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