母乳実感®の研究者の想い

長年に渡る赤ちゃんの哺乳研究が証明する
母乳実感®哺乳びんにも
哺乳びん乳首にも
複数のサイズ展開がある理由
多くのママとパパに支持され、医療機関や保育施設などで広く使われているピジョンの哺乳びん「母乳実感®」。母乳実感哺乳びんには3サイズの、母乳実感哺乳びん専用の乳首には哺乳期向けに5つのサイズ展開があります。
複数のサイズ展開の理由と、サイズを切り替えるタイミング、さらにはそのメリットについて、母乳実感哺乳びんや母乳実感乳首の設計品質の向上のために、ピジョンで赤ちゃんの哺乳に関する研究をしている赤ちゃんナレッジグループの阿部晃子さんに聞きました。
扱いやすさにおいても、
吐き戻しを防ぐうえでも
はじめの1本は小さいサイズを

ーまず、母乳実感哺乳びんに複数のサイズ展開がある理由をお聞かせください。
阿部晃子さん(以下、阿部)
1つ目に、赤ちゃんは大きくなるにつれて飲む量が増えてくるので、赤ちゃんの成長発達に合わせて選べるようサイズを展開しているという点があります。
2つ目に、この母乳実感という哺乳びんは、ママのおっぱいと併用してお使いいただくことを目指している哺乳びんであるという点ですね。
母乳の授乳スタイルは、赤ちゃんとママによって本当にさまざまです。例えば、直接母乳をあげた後に哺乳びんでさく母乳やミルクを追加してあげたり、普段は直接母乳をあげることが多いけど、赤ちゃんをあずけるときには搾乳した母乳を哺乳びんに移し替えて飲ませたり。
そういったいろいろな使い方があるので、授乳スタイルに合わせて選んでいただけるように、私たちの会社は哺乳びんのサイズを複数ご用意しています。
ー最初の1本は、どのサイズを選べばよいのでしょうか。
阿部: メーカーとしては授乳スタイルに合わせたサイズを使っていただくというのがベストだと思っています。
特に最初の頃は赤ちゃんもママやパパも授乳に慣れていないので、取り扱いやすい80mlや160mlサイズから使うのが、少しずつ哺乳びんの扱いや授乳に慣れていくという意味でもおすすめですね。
80mlと160mlの哺乳びんには、最も小さい新生児用のSSサイズの乳首が付属されており、その点においても新生児から使いやすくなっています。
ー最初は小さいサイズをおすすめする理由について、もう少しくわしくお聞かせください。
阿部: まず、大きな哺乳びんに対して、少しの授乳量だと、どうしても空気を一緒に飲みやすくなることがあります。空気を一緒に飲んだときにゲップが出ないままになってしまうと、吐き戻しにつながる可能性もありますし、飲む量に合った哺乳びんのサイズであることはとても重要であると考えています。
また、生まれたての赤ちゃんが飲む量は本当に少ないですし、新生児期は平均的に1日に8回以上、目安として3時間おきの授乳なので、哺乳びんを使う本数が多くなる方も多く、そういった意味でも、小さいサイズの方が洗う時に便利という声をお客さまからいただいています。
哺乳びんの切り替えのタイミングと
小さいサイズから使うメリット

ーどんなときに哺乳びんのサイズの切り替えをしたらいいのでしょうか。
阿部: 赤ちゃんの飲む量が増えたときですね。飲み終えてもまだ飲みたそうにしているのを見て、サイズの切り替えをする方が多いです。ほかにも、いつもは3〜4時間の授乳間隔なのに、1〜2時間と短くなっているときも替えどきですね。
また、お腹が空くと赤ちゃんは泣いてお知らせしてくれます。おっぱいを欲しがって泣く回数が多いな、と感じるときも哺乳びんをサイズアップして、1回の量を増やす目安になると思います。
ー絶対にサイズアップはしなくてはいけないものでしょうか?
阿部: そうではありません。逆に、サイズダウンという可能性ももちろんあります。母乳育児が軌道に乗れば、哺乳びんを使う回数や哺乳びんで飲む量が減ってきたりもするので、そういったときは、小さいサイズを使うことがあります。
ですから、必ずしも月齢が進んだからといって、哺乳びんを大きくしなればならないということではないです。
ー哺乳びんを小さいサイズから段階的に使われたママやパパのご様子で、印象に残っていることはありますか。
阿部: 生まれたてのときは小さな哺乳びんで20mlとか30mlを飲んでいたのに、今はこんなに大きな哺乳びんでゴクゴクと飲んでいるのをみると、赤ちゃんの成長を感じて嬉しくなるというママやパパは多いですね。
赤ちゃんの飲む量に合った小さいサイズから始めていくことが、育児をしていく喜びの1つにつながっているという声もいただきます。
母乳実感 乳首の
サイズによる2つの違い

ー母乳実感 乳首にはサイズによる違いがあると聞きましたが、どのような違いがあるのでしょうか。
阿部: サイズによる違いには、大きく分けて2つあります。1つが乳首のやわらかさの違い、もう1つが、母乳やミルクの出る量の違いです。
乳首のやわらかさの違いについて
小さいサイズほどやわらかくできています。生まれたての赤ちゃんはまだ哺乳に慣れていません。それでもちゃんと栄養を摂取できるように、やわらかい硬度になっています。そしてサイズが大きくなるほど、歯が生え始めても噛み切れないような硬度にしています。
母乳やミルクの出る量の違いについて
赤ちゃんと大人は、液体を飲むときの飲み方が異なります。大人は飲むときに一度口を閉じて、ゴックンと飲み込みますが、赤ちゃんは口を開けたままゴクゴク飲めるんです。
そんなふうに、赤ちゃんには大人とは違うお口の構造で飲む機能が備わっているので基本的にはむせにくいのですが、赤ちゃんのお口の中の空間はとても小さいため、お口の中に母乳やミルクが必要以上に入ってしまうと、むせ込みの危険があります。そこで、赤ちゃんの発達に合わせて、お口の中からあふれ出ない適切な量をゴックンできるような出方になっています。
赤ちゃんの発達や成長による
飲み方の違い

ー赤ちゃんの発達に合わせた乳首選びが大切なのですね。母乳実感乳首には哺乳期向けに、SSからLLまでの5つのサイズ展開がありますが、それぞれの違いについて教えてください。

阿部: 新生児期の赤ちゃんは、本能で飲んでいます。原始反射の1つですけれど、とにかく生き延びなくてはならないので、唇に触れると乳首にくらいついて、グイグイっと飲むような力強さがあります。
一方、赤ちゃんもママもお互いが初めて同士で、授乳と哺乳を練習している時期でもあります。その慣れない哺乳でもきちんと飲めることが重要です。母乳実感哺乳びん乳首のSSサイズはママのおっぱいに近いやわらかさと流量になっています。
2、3ヵ月を過ぎたあたりから体がしっかりしてきて首も据わってくると、だんだん自分の意思でコントロールできるようになるので、自分のペースでときどき休みながら飲む様子が見られるようになります。また、生後3ヵ月頃になると、遊び飲みが始まる赤ちゃんがいます。首が据わってくるので周囲のいろいろなものが気になり始めたりして、くわえていた乳首を急に口からはずすことがあるんですね。
そういったときに、哺乳びん乳首が丸穴だと、パッと口を離した瞬間に飲んでいた母乳やミルクがバーッとお顔にかかってしまうことがあります。そこで、母乳実感哺乳びん乳首の3ヵ月頃からのMサイズからは、乳首がきちんと赤ちゃんのお口に入って、舌運動をしたときだけに中身が出るよう、切り込みが入っています。
6ヵ月頃からは離乳食が始まり、歯が生え始めます。そこで、母乳実感哺乳びん乳首のLサイズは乳首を噛みちぎられない強度になるように、丈夫なやわらかさに調整しています。9ヵ月のLLサイズの時期になると、卒乳に向かっていくママと赤ちゃんも増えて、食べ物と密接な関係になっていきますね。
こうした口腔機能の発達とともに、赤ちゃんのお口を開けたまま飲む状態から閉じて飲むようになっていくことが私たちの研究でもわかっています。そんなお口の機能や構造の変化があるので、哺乳びん乳首も切り替えていく必要があります。
哺乳びん乳首の
サイズを切り替える
適切なタイミングとは

ー母乳実感 乳首のパッケージには月齢による目安が書かれていますが、サイズの切り替えのタイミングはどう判断すればよいのでしょうか。
阿部: これは赤ちゃんの哺乳モニターなどの際にも、よくママからご相談いただきます。そのとき、「月齢はあくまで目安です」とお伝えしています。母乳やミルクの出方が合っていないと赤ちゃんが嫌がってくれ、それがきっかけの1つです。
ほかにも、飲むのに時間がかかったり、飲んでいるうちに疲れて途中で寝てしまったりして、いつもは飲める量が飲めなくなってしまう様子が見られたときも、サイズを切り替えるタイミングです。
乳首のサイズの切り替えの適切なタイミングには個人差があり、赤ちゃん一人ひとりまったく違います。正解は赤ちゃんが教えてくれるので、授乳時の赤ちゃんの様子を見ながら、サイズの切り替えの時期を見極めていただきたいと思います。
ー哺乳びん乳首のサイズの切り替えをする上で、気をつけた方がいいことはありますか。
阿部: 例えばSサイズからMサイズに切り替えるとき、Sサイズをすぐに捨てるのではなくて、SサイズとMサイズを交互に使ってみることをおすすめします。赤ちゃんのお口の中はとても敏感で、違いがとてもよくわかるんですね。
哺乳モニターをしていても「これはいつものと違う」というのを表情で見て取れることがあります。違うと感じても、それがよければ飲み続けますし、嫌な場合は赤ちゃんがちゃんと拒否してくれます。そういう哺乳びん乳首は、その子には合っていない乳首なんだなということに気づきます。
普段の授乳時も、ぜひ赤ちゃんの様子を見ながらあげていただきたいですが、サイズを切り替えたときは、特にむせ込みがないか気をつけて見ていただきたいですね。むせ込みがある場合は母乳やミルクの出る量が多く、ゴックンするのがついていけていない状態ですので、乳首のサイズを戻して様子を見てあげてくださいね。
これから出産・育児を迎える
ママとパパ、
育児・授乳をしているママとパパへ

ー最後に、これから出産・育児を迎えるママとパパ、育児・授乳をしているママとパパにメッセージをお願いします。
阿部: 哺乳モニターをしていても、最初から終わりまでぐいぐい飲む赤ちゃんもいれば、最初はスローペースで、だんだんエンジンがかかって飲む赤ちゃんもいたりと、個人差は本当に大きいですね。
インターネットで検索するといろいろな情報が出てきてどれが正しいのか迷われる方もいらっしゃると思いますが、赤ちゃんがご機嫌で、必要な哺乳量を飲めていて体重の増加にも問題がなければ、教科書通りに飲めなくても大丈夫ですし、赤ちゃんに適した哺乳びん乳首を使えていると思って大丈夫です。
赤ちゃん一人ひとり個性があり、正解は1つじゃありません。一番赤ちゃんのことを知っているのはママとパパなので、自信を持ってください……とお伝えしたいのですが、なかなかそうもいきませんよね。特に最初のお子さんだと、不安なことだらけだと思います。
だからこそ、哺乳びんの悩みがあったら、いつでも私たちに相談していただきたいと思っています。

ピジョン株式会社
赤ちゃんナレッジグループ
阿部晃子さん