

妊娠初期に知っておきたい、食べていいもの・ダメなもの。管理栄養士が徹底解説
- 妊娠すると食べるもの・飲むものも気になるわよね。とくに初めての妊娠では具体的になにを選ぶべきかわからなくて、不安になってしまいがち。そこで今回は、プレママが知っておきたい“食べていいもの・注意が必要なもの”を、管理栄養士さんに教えてもらったわ〜! つわりで食べられないときのアドバイスもあるから、ぜひ参考にしてよね。

監修者プロフィール
- 川口由美子 先生一般社団法人母子栄養協会 代表理事
女子栄養大学 生涯学習講師。大学時に小児栄養学を学んだのち、育児用品メーカーでベビーフード開発を経て栄養相談、離乳食レシピ執筆、講演会に携わる。2児の母。現在は、母子栄養協会にて離乳食アドバイザー_他、専門家を養成している。
これは大丈夫?あれは平気? 妊娠初期の気になる食べ物・飲み物。

今まで何気なくとっていた食事も妊娠を機に「これは食べていいのかな…?」と、不安に感じることも増えますよね。ママの食事は赤ちゃんまで届く大切な栄養。一方で、神経質になりすぎるとママのストレスになってしまうことも。正しい知識を付けて、ポイントをおさえれば、食事でのストレスはぐっと軽減されます。
つわり中の食事のコツとあわせて、妊娠初期に知っておきたい、食べ物や飲み物について詳しくチェックしていきましょう。
妊娠初期から、積極的にとりたい「葉酸」。体調がよければ、「カルシウム」「たんぱく質」「鉄分」も一緒に
(川口さん)
妊娠がわかったらすぐにとりたいのが、「葉酸」。妊娠前から取れるといいですが、妊娠してからでも大丈夫。
葉酸はいろいろな食材に含まれていますが、妊娠中は体調が安定せず、調理が大変なこともありますので、そのまま食べられるフルーツや納豆ごはんは強い味方になりますね。また、葉酸は熱に弱いため、妊娠を望んでいる時期や、妊娠初期はサプリメントもあわせてとるようにしましょう。
食事から1日240μg(マイクログラム)にくわえて、サプリメントから1日400μgの葉酸を摂取することが厚_労働省によって推奨されています。
体調が安定している方は、身体を作るための「たんぱく質」、ママと赤ちゃんの骨や歯を形成する「カルシウム」、血液をつくり赤ちゃんに送る「鉄」といった、ママや赤ちゃんの身体をつくる栄養素も摂取していけるといいですね。骨や歯をつくるカルシウムは、日本人女性は摂取量が不足しがちといわれています。妊娠を機に積極的に摂取していきましょう。
ただし、妊娠初期のつわりで思うように食事が出来ない方は、無理にとらなくても大丈夫。
どうしても食べられない場合は、食べられる時に、食べられるものを、食べられる量摂取していきましょう。体調が安定したら意識して摂取を。
体調に合わせて、消化がよく食べやすいものを
(川口さん)
つわりで吐き気や胃のムカムカがあると、食事もままならないこともありますよね。そんな時は、つわりに有効とされる「ビタミンB6」や、嘔吐改善が期待できる「ショウガ」がおすすめです。
ビタミンB6を手軽にとれるのが、バナナ。なかなか食欲が進まない時や、朝ごはんなどにぴったりです。ショウガはジンジャーシロップを炭酸水で割ったり、お味噌汁にすりおろして加えてみたりするのがおすすめ。いずれも消化がよく、すっきりと食べられるはずですよ。
どうしても食事を食べられないときには、代替としてヨーグルトドリンクや野菜ジュースを取り入れてみるのもいいでしょう。
食べてはいけないもの、食べ過ぎに注意が必要なもの
(川口さん)
基本的に、食中毒になるリスクがある「生もの全般」は、妊娠中は注意しましょう。
日本はとても衛生的に食品が管理されていますが、食中毒のリスクがゼロとは言い切れません。万が一のことを考えると、控えておくと安心です。生肉は食べないようにし、魚は鮮度管理に気をつけつつ、できたらなるべく控えられると安心です。野菜はよく洗って新鮮なうちに食べましょう。
生のナチュラルチーズは、食中毒の原因となるリステリア菌がついていることがあるため、一般的に避けたほうがいいと言われていますが、日本で通常に流通しているものは牛乳が加熱殺菌されているため食べてもOK。輸入ものはわからないので、輸入チーズの場合は加熱して食べるようにしましょう。
また、食べること自体は問題ないけれど、量に注意が必要なものもあります。
例えばレバーは、過剰に摂取すると赤ちゃんによくないと言われる「ビタミンA」が多く含まれています。レバーを食べるときは、焼き鳥1本までを目安にし、毎日食べないようにしましょう。
そして、胎児は「水銀」を身体の外へ排出することができないため、「水銀」を多く含む魚を食べるのなら、週に1回に抑えましょう。
妊娠中は“もしも”を考えて、よく加熱して食中毒を予防
(川口さん)
妊娠中、特に妊娠初期は、食中毒に注意が必要です。健康な人が感染しても大きな問題はありませんが、妊婦さんが感染すると赤ちゃんに悪影響を起こすケースがあるからです。
また、妊娠中は菌やウイルスに対する免疫力が低下するので、感染症にかかりやすく、重症化しやすくなるということもわかっています。そのため妊娠中は、食中毒の恐れあるものは食べないようにする、よく加熱してから食べるなど、普段以上に予防に気を付けることが大切です。
体調がわるくても、いつも以上に水分補給は意識して

(川口さん)
妊娠すると、新陳代謝が上がり汗をかきやすくなったり、つわりによる嘔吐などで、今まで以上に水分が失われやすくなります。そのため、意識的に水分補給することが大切で、妊娠中は1日1.5リットル〜2リットル水分をとることが理想とされています。
また、妊婦さんが飲んだ水分は赤ちゃんを守る羊水の質に影響するため、飲むものにも気をつけたいところ。水をはじめ、ノンカフェインでミネラルを含む麦茶、爽やかに飲める炭酸水、カルシウムが豊富な牛乳などが特におすすめです。
自分の体調にあわせて、飲みやすいドリンクを探してみて
(川口さん)
つわりで飲み物を飲むことも大変な方は、口の中がさっぱりするものを選んでみてはいかがでしょうか。市販の甘い炭酸飲料は過剰な糖分をとってしまうので、炭酸水にレモン汁やジンジャーシロップを加えたようなものがおすすめです。
また、吐き気が強いと、水分をとってもまた吐いてしまうこともあるかもしれません。そんなときは「少しずつ飲む」ことを意識してみてください。数分おきにスプーン1杯程度を飲むというイメージで、少量をこまめにとるようにしましょう。ちょっと大変かもしれませんが、枕元に水分を置いてストローなどで少しずつ飲めるといいですね。こまめにとる水分は、水や麦茶などがベターですが、体調にあわせて飲めるものを選んでくださいね。
妊娠したら、アルコールはストップ。カフェインの量にも気をつけて
(川口さん)
妊娠したら、アルコールは絶対に避けましょう。0.00%のノンアルコールビールであれば妊婦さんでも飲むことはできますが、心配な場合は医師に相談しましょう。 どんなものであれ飲み過ぎはよくないので、気分転換程度にとどめておくことも忘れずに。
コーヒーや緑茶、紅茶、エナジードリンクなどのカフェインを含むものは飲みすぎに注意しましょう。またハーブティーについても注意が必要です。少量ずつなら問題ありませんが、1種類のハーブティーをたくさん飲むことは避けてください。もしハーブティーを飲む場合には、パッケージをよく確認してください。特にカモミール、セントジョーンズワート、ハイビスカスティーは、妊娠期には控えましょう。
アルコールだけじゃない。妊娠したら、意識したいカフェインのとり方
(川口さん)
妊娠中カフェインの摂取には、適量を知ることが大切です。
例えばコーヒーなら1日2杯程度までならOK。少し飲んだからといって心配はいりませんが、毎日必ず3杯以上飲んでいるような場合は、量を減らすようにしてくださいね。
また、緑茶や紅茶でも頻度や量や濃さによっては注意が必要なことも知っておきましょう。また特にカフェイン量が多いエナジードリンクは、飲まないようにしましょう。
買い物・食事の準備はパパにも甘えて。リラックスして過ごそう
(川口さん)
妊娠中の食事は、バランスが一番大事。必要な栄養素だからとひとつの栄養ばかりとろうとするのではなく、ごはんと野菜、たんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品など)があるようなバランスのいい食事を目指しましょう。1日1日きっちり考えるのではなく、“昨日は野菜が少なかったから今日は野菜を中心に食べよう”という感じで、大丈夫。
といっても、妊娠初期はつわりなどで体調がなかなか安定しないもの。“とにかく食べられればなんでもOK!”。食事や栄養面をプレッシャーに感じすぎず、ゆったりした気持ちで過ごすことも大切です。ママがリラックスするためにも、パパに体調のことを共有して、料理や家事のサポートをしてもらえるといいですね。
市販品や外食などを上手に利用するのも素敵な選択です。妊娠期は決して無理をせず、甘えられるところは甘えて周りを頼ってくださいね。
まとめ
- ・妊娠初期は、葉酸摂取を意識して
- ・免疫力が下がるので、食中毒には細心の注意を
- ・妊娠中は、今まで以上に水分補給が大切
- ・つわり中は、栄養バランスよりも食べられるものを食べることを重視しよう
ママと赤ちゃんのために大切な栄養補給。自分が食べやすいものを、ぜひ探してみてね。
- あんな
妊娠初期に積極的に食べたいもの、食べてはいけないものを知ることは、赤ちゃんとママの身体を守るのはもちろん、日常の心配事が減って心の安定にもつながるわよね。
つわりのひどい妊娠初期は、栄養バランスよりもまずは食べられるものを食べることが大事!NG食材や水分補給といったポイントは押さえつつ、パパと協力しながらママが食べやすいものを見つけていってちょうだいね。
