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つわりで食べられなくても大丈夫!?妊娠初期に特に大切な葉酸の効果的なとり方を紹介

あんな
つわりで食事がとれないと、おなかの赤ちゃんに栄養が届いているか心配になっちゃうわよね。この時期の栄養摂取の考え方やつわりをラクにする食べ方を、ベテラン産婦人科医の天神尚子さんに教えてもらったわ。赤ちゃんの神経系の病気を防ぐ栄養素「葉酸」情報は必読よ!
サプリと水を持つ女性

つわりのときは無理をせず
食べられるものを食べる

7~8割の妊婦さんに起こるつわり。原因は一概にいえませんが、胎盤から産出されるホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン/ヒトじゅうもうせいゴナドトロピン)が大きく関わっていると考えられます。症状には個人差があり、月経前症候群が重い人やストレスを感じている人は強く出る傾向に。長くても、胎盤ができる20週ごろまでには落ち着いてきます。

つわりがつらくて食事がとれないときは、無理して食べなくても構いません。おなかの赤ちゃんもまだ小さく、母体に蓄えられていた栄養で育ちます。食べられるものを食べたいときに食べましょう。

つわりをラクにする食事のコツ

つわりの症状には個人差がありますが、食べ方を工夫すると吐き気を抑えられたりラクになったりすることもあります。

【つわりのときの食事の工夫】
□ 少量ずつ1日5~6食など小分けにして食べる
□ つらいときは冷たいスープなら飲めることも
□ 脱水症状に注意。水は無理でも炭酸水なら口にできるかも
□ 水分は食事と一緒ではなく食後30分~1時間後にとる
□ 食べつわりの人は枕元にクラッカー、ビスケットなどを準備。起床後すぐに口に入れて

つわりのときは消化機能が弱くなっているので、少量ずつ食べると吐きにくくなります。においが気になる人が多いので、温かいものより冷たいもののほうが受け付けやすいでしょう。脱水症状にならないように、こまめな水分補給を心がけてください。お茶やお水は食事と分けてとった方が戻しにくいでしょう。炭酸水は飲める、という人も多いです。

食べつわりは血糖値が下がると吐き気を覚えます。起床後は血糖値が低下しているので、クッキーやビスケットなどを食べるとラクになります。

また一定のものだけを食べたくなる人もいます。妊娠中は健康的な食生活を意識したいものですが、つわりの期間限定なら偏食も仕方のないこと。こうした食事の影響もあって妊娠初期は便秘になりやすいので、つらい場合は医師に相談しましょう。

妊娠前から妊娠初期に重要。
胎児の発育に欠かせない「葉酸」

葉酸と書いてあるお皿

つわり中でも欠かさず摂取したいのが「葉酸」。妊娠初期は胎児の細胞分裂が活発に行われ、脳や脊髄(せきずい)などの中枢神経が形成されますが、葉酸が不足すると、赤ちゃんが「神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)」になるリスクが高くなるためです。妊娠3ヵ月前から妊娠3ヵ月ごろは重点的にとりましょう。

「神経管閉鎖障害」とは?
妊娠初期に起こる脳や脊髄の先天異常。運動や知覚に障害の出る「二分脊椎(にぶせきずい)」、脳が欠損する「無脳症(むのうしょう)」、水頭症を合併する「脳瘤(のうりゅう)」などがある。葉酸をとることで神経管閉鎖障害は50~70%予防できるといわれている※1。
※1 厚生労働省「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」

二分脊髄は世界的には減少していますが、日本では年々増えています。理由として考えられるのが、若い女性たちの栄養不足。やせ思考の高まりから食事量が減っていて、葉酸を含むさまざまな栄養がとれておらず、妊娠初期の葉酸不足につながっていると推測されています。

葉酸はマルチビタミンと一緒に
サプリメントでとると◎

お医者さんと話す妊婦さん

葉酸は水溶性ビタミンB群の一つ。摂取量の目安は、妊娠中は1日あたり240μgですが、妊娠初期はサプリメントなどの栄養補助食品から1日400μgをとることが推奨されています※2。
※2 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)

最近の研究では葉酸のサプリメントは単体でとるよりも、マルチビタミンと一緒にとると血管異常のリスクを減らす効果があることがわかってきました。妊娠中の場合は胎盤の血管を守ることにつながりますから、胎児の発育不全、早産、胎盤剥離、妊娠高血圧症候群などの予防になります。

これまで葉酸は妊娠初期に重点的にとるようにいわれていましたが、妊娠期を通じてマルチビタミンをセットで飲み続けることをおすすめします。

葉酸のとり方Q&A

Q:食事で葉酸をとる場合、おすすめの食材は?

葉酸は緑色の野菜に多く含まれています。ほうれん草、アスパラガス、枝豆、モロヘイヤ、ブロッコリーなどに豊富。ただし水溶性なのでゆでると溶け出してしまいます。炒める、焼くなどの調理法でいただきましょう。これ以外にも、アボカド、いちご、キウイフルーツなどにも多く含まれます。

Q:葉酸のとり過ぎが心配です

葉酸の耐容上限量は1日900~1000μgなので、サプリメントの容量用法は守りましょう。ただ食事で摂取する場合、調理時に栄養が失われたりして、含有量の半分程度しかとれないことが多いです。サプリメントを服用しているからと、葉酸を含む食材を制限する必要はありません。とり過ぎを気にするよりも不足に注意してください。

Q:葉酸のサプリメントにいろいろなビタミンも付加されている場合でも、ほかのマルチビタミンのサプリメントを追加すべき?

マタニティ用の葉酸サプリメントは、必要なマルチビタミンが含まれていることが多いです。その場合は別のマルチビタミンを追加摂取しなくてもよいでしょう。両方を飲みたいときは、成分表示を確認して過剰摂取にならないように注意してください。

Q:サプリメントはどのように選ぶとよい?

海外製のサプリメントはその国の栄養基準に合わせていたり成分表示がわかりにくかったりする場合もあるので、国内ブランドのものをすすめています。信頼できるメーカーのサプリメントを利用してください。

まとめ

妊娠初期の食事・栄養のポイントは、重点的な葉酸摂取とつわりのときは体を休めることの二つ。つわりがつらいときなどは、家事はできるだけパートナーや家族にまかせ、職場でも時短や在宅勤務にしてもらうなど、相談してみましょう。つわりはメンタルの影響も受けやすいです。気分転換に散歩したりエコー写真を見ながら赤ちゃんとの生活を想像したり、気持ちを上向きにするのも症状の緩和に効果的ですよ。

教えてくれたのは

天神尚子さん
天神尚子さん産婦人科医 三鷹レディースクリニック院長
日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、1995年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。
2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。

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