お風呂上がりの保湿だけでは不十分?【皮膚科医が解説】赤ちゃんの正しいお肌の知識と、スキンケアのタイミング

はじめての赤ちゃんの沐浴・入浴、何が正しいのか分からないですよね。そこで今回は、医療法人社団康梓会 SAWAKO CLINIC x YS統括院長の日比野先生に、赤ちゃんの正しいお肌の知識と、おすすめのスキンケアのタイミングを解説いただきました。

生後たった3ヵ月から始まる“生涯最大のお肌の乾燥期※”に注意

うるおってすべすべに見える赤ちゃんのお肌ですが、実は、生後3ヵ月からうるおいを左右する皮脂の分泌量が減り続け、思春期に至るまでの長い間、生涯最大のお肌の乾燥期を迎えるといわれています⑴。
お肌が乾燥している状態だと、肌表面のバリア機能がさらに低下し、ウイルスや紫外線などの外部刺激によって肌荒れやアトピーを引き起こしやすくなります。また、表皮が形成される0〜3才の間に肌トラブルを繰り返すと、大人になってからも肌トラブルが起こりやすくなります。
だから、赤ちゃんのうちから、しっかりとうるおいをキープするスキンケアをしてあげることが大切です。

※生後3ヵ月から思春期にかけての期間は、皮脂の分泌量が老年期を含む生涯でもっとも少なくなる

実は、沐浴・入浴“中”から肌のうるおい成分は失われている!?

沐浴・入浴中は肌がうるおっているように見えますが、肌の内側では、うるおいに不可欠なセラミドが流出し、乾燥が始まっています。皮膚表面にある角層は、沐浴・入浴中に水分を含んで飽和状態(水分を最大限含んだ状態)になり、角層細胞の間隔が広がることで、肌のうるおいを保つセラミドなどの天然保湿成分が流れ出ている(2)のです。
セラミドが流出すると、繋ぎとめられていた水分が肌表面から蒸散して乾燥が進みます(3)。そうならないために、セラミドを補いながら洗ってあげることが大切。セラミドは肌の構造の中でも一番外側の角質層で活躍する成分。セラミド入りのボディソープなどで外側から洗ってあげることで、角質層に届けることができ、乾燥を防ぐことに繋がります。

赤ちゃんにおすすめなスキンケアのやり方は?

ポイント① セラミド配合のボディソープを選ぶ

沐浴・入浴によるセラミドの流出で、水分はどんどん蒸散してしまうので、沐浴・入浴の最中からセラミドを含んだボディソープでうるおいを補うことが重要です。

ポイント② 「弱酸性」「低刺激」のボディソープがおすすめ

赤ちゃんの肌のバリア機能を維持するためには、肌を弱酸性に保つことが重要です。アルカリ性のソープは泡立ちがよく洗浄力も高い一方で、汚れ以外にセラミドなどのうるおい成分も洗い流してしまい、洗いすぎに繋がりやすくなります。未熟な赤ちゃんの肌には刺激を与えすぎない「弱酸性」「低刺激」なものを選びましょう。

ポイント③ こすらず泡で包み込むようにやさしく洗い上げる

汚れを落としたいと思うあまり、強くこすったりしてしまうのはNG。泡で包み込むように優しく洗い上げましょう。“洗いすぎない”やさしい沐浴・入浴がおすすめです。

日比野 佐和子
医学博士、医療法人社団康梓会Y‘sサイエンスクリニック広尾SAWAKO CLINIC x YS統括院長、大阪大学大学院医学系研究科未来医療学寄附講座 特任准教授、近畿大学医学部奈良病院皮膚科非常勤医師

内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。

参考文献
(1)玉置邦彦 . 特別巻1 新生児・小児・高齢者の皮膚疾患(最新皮膚科学大系) . 中山書店 . 2004 .
(2)塩原哲夫 . 医学のあゆみ 228巻1号 . 医歯薬出版株式会社 . 2009
(3)芋川玄爾 . 最新皮膚科学大系(玉置邦彦総編集) 第7巻「角化異常性疾患」 . 中山書店 . 2001 .

一覧に戻る

GUIDE 1人ひとりに合ったスキンケアを ベビースキンケアガイド