Lesson 2 なかなか妊娠しないのはなぜ? 女性編

排卵のタイミングを図り、彼とセックスを重ねていても思うように妊娠しないカップルは意外と多いものです。

女性側に見られる代表的な原因を、産婦人科医・鈴木先生にうかがいました。

Case.1 卵管・卵の問題

受精を妨げる卵管・卵の異常に注意

なかなか妊娠しない女性の要因で、最も多いのが卵管の問題です。
卵管が狭いために排卵した卵が通り抜けられずに受精できない卵管狭窄や、卵管が完全に塞がった状態の卵管閉塞などがあります。これらの卵管通過障害の主な原因は、セックスによって感染するクラミジア感染症や*子宮内膜症などによる卵管および卵管回りの癒着です。

一方、卵の問題には、排卵までに卵子が十分育たない卵胞発育不全や、卵子が成熟してもきちんと排卵しない排卵障害などがあります。原因の多くは、ホルモン異常や無理なダイエットによる体重減少、ストレスによるものです。そのほかに多い状態として、卵胞が育っているにも関わらず、卵巣の皮膜が硬いために外に飛び出すことができないPCO(多のう胞性卵巣) などがあります。また排卵後に分泌されるプロゲステロンという黄体ホルモンの分泌量が少ないために、子宮内膜が十分な厚さにならず、受精しても着床しづらい黄体機能不全も不妊の一因です。

月経不順や2カ月以上月経があくことがある場合は、念のため基礎体温表をつけてみましょう。基礎体温が高温期・低温期の二相性でない場合や、二相性であっても高温期が10日も続かない場合は、念のため婦人科を受診してください。

Case.2 産婦人科の病気の問題

妊娠に影響する病気は早期発見を

婦人科の病気には、妊娠に影響を及ぼすものもあります。 とくに気をつけたいのが、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜症です。

子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍です。女性の3~4人に1人の割合で見られますが、できた場所や大きさ、タイプによっては、不妊の原因になったり、妊娠しても流産や早産の原因になることがあります。とくに、1.月経量が多い、2.月経がすっきり終わらない、3.月経血にレバーのような血の塊が混ざるなどの症状には注意してください。

子宮内膜ポリープは、主に女性ホルモン・エストロゲンの影響によって子宮内膜にできるイボです。できる場所や大きさによっては、受精卵の着床を妨げて妊娠しづらくなります。 また20~30代の女性に増えつつある子宮内膜症は、子宮の内側を覆っている子宮内膜が、異常な場所にできる病気です。主な症状に、1.月経痛がつらく、だんだんひどくなる、2.月経量が多く、レバーのような血の塊が混ざる、3.セックスのときに痛みを伴う、4.月経時以外にも腰や下腹部に痛みを感じるなどがあります。

子宮内膜症は、子宮や卵巣・卵管の周囲に癒着を起こし、前述の卵管通過障害を引き起こす可能性もあります。
いずれの病気も早期診断、早期治療が大切です。前述したような症状がなくても、定期的に婦人科検診を受けて早期見に努めましょう。

Case.3 加齢・ストレスの問題

35歳以上は、生殖機能の老化の始まりです

35歳以上の出産を高齢出産といいます。現在、晩婚化や不妊治療の進歩などによって、高齢出産をされる方は増えています。
とはいうものの、妊娠の要となる卵巣機能は、20代半ば~30代前半がピークで、35歳ぐらいから卵巣機能は徐々に低下し、生殖機能の老化が始まるといわれています。

卵子も加齢とともに数が減少。卵子のもとになる原始卵胞の数は、20代から30代で約半分になるなど、加齢とともに妊娠率が低下するのは事実です。
さらに高齢出産は、妊娠に伴うさまざまな合併症や、お腹の中の赤ちゃんに問題が起きるリスクが高くなります。そうした現状を心に留めておいてください。

またストレスも妊娠を遠ざける要因です。
過度なストレスは月経不順の原因になるほか、セックスレスなどに繋がることもあります。とくに仕事をしている女性は、プライベートなストレスに加え、 責任やノルマ、会社の人間関係など、ストレスの原因が多岐に渡ります。また仕事への支障を考えると、子作りのタイミングが難しいという方もいるでしょう。
しかし赤ちゃんが授かれるのは、期間限定ということを忘れないでください。

タイミングを合わせて、彼と何度もチャレンジしているのに、なかなか妊娠しない方は、念のため不妊専門医に相談を。受診の際は、それまでの基礎体温の記録を持っていくと診断の手助けになります。

取材協力/葛飾赤十字産院(東京都葛飾区)

産婦人科・小児科を併設し、安全・快適な医療を目指す。産婦人科外来のほかに、“自分らしいお産” をサポートする助産師外来やマタニティヨガ、マタニティビクス、双子妊娠のためのツインクラスなど各種教室を開催するなど、幅広いサービスが妊婦さんから好評!

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