Lesson 6 妊娠を考えたら、気をつけたい病気

Lesson2では、妊娠に影響を及ぼす婦人科の病気について触れましたが、 妊娠や出産に影響を与える病気は、ほかにもいろいろ。
妊娠を考えている場合、 とくに気を付けたい代表的な病気を 産婦人科医・鈴木俊治先生にうかがいました。
また持病がある方が、 妊娠を考えたときの注意点も紹介します。

Part1 性感染症

性感染症は、不特定の人とセックスをしたためになる病気ではありません。決まったパートナーとセックスをしていても感染することが。
なかには悪化すると不妊に繋がるケースもあるため、カップルでの予防、早期発見・治療が肝心です。

不妊の原因になる性感染症

クラミジア感染症

クラミジア・トラコマティスという病原体が原因。セックスによって感染し、感染後は1~3週間で発症します。
男性は、排尿時に軽い痛みを伴うことがありますが、自覚症状がないことが多いため、感染に気付かないことも。 女性も、おりものの量が増えたり、下腹部に痛みを感じることがありますが、半数以上が無症状だと言われています。 しかし放置すると炎症が膣から子宮、さらに卵管、卵巣へと広がり、悪化すると卵管に癒着を起こし通りが悪くなり不妊の原因になることがあります。
また子宮に感染が持続していると、お産のとき赤ちゃんに感染して結膜炎や肺炎を起こすことがあります。 ほかにも流産・早産の引き金になることもあるため、妊婦健診では、クラミジア感染症の抗原検査が勧められます。

淋病感染症

淋菌という細菌が原因で、セックスやキス、ペッティングなどで感染します。
発症すると黄色い膿のようなおりものが出ることがありますが、多くは無症状だと言われています。 治療をせずに放置すると、子宮の奥や卵管にまで炎症が広がり不妊の原因になることも。 また子宮に感染が持続していると、お産のときに赤ちゃんに感染して、結膜炎を起こすことがあります。
ほかにも気を付けたい性感染症の中には、子宮内胎児死亡、先天感染症、早産などを引き起こす危険性がある「梅毒」や、お産のときに赤ちゃんに感染すると脳炎や肺炎を発症することがある「性器ヘルペス」などがあります。
そのため「性器がかゆい、痛い」「おりものの量が多い、色がおかしい」など異変に気付いたら、早めに産婦人科を受診しましょう。

Part2 持病

持病とは慢性的な病気を言い、持病がある人の妊娠を合併症妊娠と言います。 持病があって子作りを考えている場合は、まず担当医に相談することが原則。持病と上手に付き合いながら、子作りを進めてください。 また担当医に、妊娠した場合の産婦人科選びや、妊娠中の生活などもアドバイスしてもらいましょう。 合併症妊娠で、心配される妊娠中のトラブルは以下の通りです。

心臓病

妊娠すると、体内の循環血液量は通常の30~40%アップします。そのため心臓への負担が大きくなるので注意が必要です。

高血圧・腎臓病

高血圧や腎臓病は妊娠中に悪化することが多いと言われています。上手にコントロールしないと、お腹の中の赤ちゃんの成長が滞る子宮内胎児発育遅延をはじめ、ママが脳出血や腎不全を引き起こすなど、母子ともに危険な状態になることも。

糖尿病

妊娠前からしっかり血糖値のコントロールをしていないと、赤ちゃんに奇形が起きたり、栄養バランスが崩れることで子宮内胎児発育遅延や巨大児など赤ちゃんに影響を及ぼすことがあります。

甲状腺

甲状腺ホルモンのコントロールをしていないと、流産、早産をはじめ、子宮内胎児発育遅延などを起こすことがあります。

てんかん

甲状腺ホルモンのコントロールをしていないと、流産、早産をはじめ、子宮内胎児発育遅延などを起こすことがあります。

ぜんそく

妊娠によって、ぜんそくが良くなる人と、悪化する人がいます。妊娠中に発作が起きると、お腹の中の赤ちゃんに十分な酸素が行き渡らなくなるため、しっかりコントロールしましょう。

Part3 感染症

感染症の中には、とくに妊娠初期に気を付けたい病気がいくつかあります。
例えば妊娠初期に妊婦さんが風疹にかかると、お腹の中の赤ちゃんは、白内障や難聴、心奇形になる可能性があります。妊娠を考えている方は、母子手帳をチェックするなどして、これまでにかかった感染症を確かめましょう。万一、かかったことがない感染症がある場合は、妊娠前に予防接種を受けると安心です。

★妊娠に影響を及ぼす婦人科系の病気はこちらでチェック!

取材協力/葛飾赤十字産院(東京都葛飾区)

産婦人科・小児科を併設し、安全・快適な医療を目指す。産婦人科外来のほかに、“自分らしいお産” をサポートする助産師外来やマタニティヨガ、マタニティビクス、双子妊娠のためのツインクラスなど各種教室を開催するなど、幅広いサービスが妊婦さんから好評!

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