vol.2 妊娠を考えたら、まず始めること

妊娠を望んだら、 計画的に彼とセックスを重ねることは不可欠ですが、 それと合わせて必要なのが、 健康面や生活習慣・メンタル面などに、 妊娠を妨げる要素がないかチェックすることです。

妊娠を考えたら、心がけて欲しい3つのポイントを 産婦人科医・寺師先生にうかがいました。

お話/けい子レディースクリニック表参道 院長・寺師恵子先生

point1 欲しいときに授かれる体かチェック

排卵があるか確かめ、月経異常は産婦人科へ

妊娠を考えたら、まずは基礎体温表を記録して排卵があるかチェックしてください。基礎体温は目が覚めて体を動かす前に、婦人体温計で口の中(舌下)で測ります。高温期と低温期の差が0.3度以上あり、高温期が6日以上続けば排卵があると考えられます。
しかし1.高温期が10日未満である、2.体温がジグザグに上下して、高温期と低温期の二層に分かれない、3.低温期が35度台、高温期が36度前後で体温が低いという場合は、基礎体温表を持って産婦人科を受診しましょう。

また無理なダイエットやストレスなどが要因で起こる月経異常も受診が必要です。(1)月経周期が乱れる(2)月経量が異常に少ない・多い、(3)妊娠はしていないのに2カ月月経がないなど、気になる様子がある場合は産婦人科へ。無排卵や婦人科の病気の可能性もあります。

産婦人科の病気は、定期健診で早期発見を心がける

妊娠を考える世代に意外と多いのが、婦人科の病気です。

20~30代では、卵子を育てる卵巣の中に分泌液などが溜まり腫れてくる卵巣のう腫が。30代になると、子宮にこぶのような良性の腫瘍ができる子宮筋腫が目立ってきます。とくに子宮筋腫は、できた場所やタイプによっては、不妊の原因になったり、妊娠しても流産や早産を引き起こすことがあります。

ほかにも子宮内膜症(子宮の内側を覆っている子宮内膜が、卵管や卵巣など本来はない場所にできる病気)や子宮頸がん(子宮の入口付近にできるがん)など、妊娠のためには早期発見が欠かせない病気もあります。

妊娠に影響を及ぼす婦人科の病気は少なくありません。既に婦人科の病気がある方は半年に1度。とくに気になる症状がない方でも、1年に1度は婦人科検診を受けてください。

point2 生活習慣やライフスタイルを見直そう!

お酒・タバコが与える胎児への影響とは!?

妊娠を考えたら、ぜひ改めて欲しいのがお酒とタバコです。
「禁酒・禁煙は、妊娠してからでもいいのでは?」と思う方が多いと思います。しかし習慣化した、お酒やタバコは、妊娠したからといって簡単に辞められるものではありません。

妊娠中の飲酒は、胎盤を通じてアルコールが胎児に移行し、早産、流産、分娩異常などの原因になることがわかっています。
またアルコール依存症の女性から生まれた赤ちゃんは、発達障害や知的障害などを伴う胎児性アルコール症候群が心配されます。

一方、妊娠中の喫煙は、流産や早産、低出生体重児を出産しやすい傾向があります。ほかにも胎児が順調に育たない子宮内胎児発育遅延や、唇が生まれつき割れている口唇裂の因果関係も指摘されています。
とくにタバコは、受動喫煙の問題があります。もし彼やいっしょに暮らす家族の中に、喫煙者がいるならば協力を得て、禁煙にトライしてください。
ほかにも持病があり薬を飲み続けている方は、妊娠を希望していることを主治医に伝えましょう。

また少しでも妊娠の可能性がある場合は、 レントゲンなどのX線検査は避けてください。妊娠初期の器官形成期に、子宮にX線を浴びると、お腹の中の赤ちゃんに影響を与える恐れがあります。

ストレスが原因で、妊娠が難しくなることも

ほかにも妊娠を妨げる要因の1つにストレスがあります。
過度なストレスは、女性の場合は無排卵が見られる月経異常や、男性の場合は精子の数が少ない乏精子症、精子の活動が鈍い精子無力症などになる可能性があります。またストレスが原因で、セックスレスになるカップルも少なくありません。
現代社会において、ストレスを100%回避することは難しいことですが、精神面や体力の限界を知って、ストレスと上手に付き合っていくことが大切です。

十人十色のストレス解消法

妊娠を迷う女性たちのホンネに、先輩ママたちがアドバイスします!

女性編

仕事で、ストレスがたまることが多かった私。買い物をこれでもかというぐらいしたり、友達とクラブに行って踊ってストレス解消していました。(いずいずさん)

「子どもはいつ?」と聞かれるのが、すごいストレス! そんなときは友達とおいしいモノを食べて、しゃべって悶々とした気持ちを吹き飛ばしました。(るいママさん)

妊娠後も仕事が続けられるか心配だったとき、かなりストレスを感じました。解消法としては、友達とメールや電話でしゃべったり、主人にグチを聞いてもらいました。(よよぽんさん)

不妊でココロが疲れた時期があります。そのときは「妊娠したらできないけど、今ならできる!」ということをあえてしました。私の場合は、ロードバイク(競技用自転車)に乗って主人宅へ。片道20kmもあるんですが、いい気分転換になりましたよ!(マイマイさん)

夫との会話のすれ違いや、子作りの意見の相違で気分が落ち込んだときは、お菓子をバリバリ食べて忘れました。(とまとなでしこさん)

男性編

ストレスが多い仕事なので、たまには友達とカラオケに行って会社のことなど何も考えずに騒ぐようにしています!(ぱみんちゃんさんのご主人)

仕事で煮詰まったときは、プロ野球観戦をして、ライトスタンドで思いっきり応援すると気持ちが切り替わります。(バンさんのご主人)

結婚後、自分の時間が減ったことがストレスです。ひとりになりたいときは、喫茶店でコーヒーを飲んできます。(みやーんさんのご主人)

7年間子どもができなかった不妊と仕事のことで、いっぱいいっぱいだった頃があります。車で遊びに行ったり、好きな物をオークションで購入してストレス発散していました。(ひなぴこさんのご主人)

仕事の人間関係に参ると、海釣りに行きます。ガス抜きは、絶対大切ですよね!(fukuさんのご主人)

妊娠に備えて、日頃から産院をリサーチ

理想のお産のために産院選びは慎重に

妊娠が判明した場合、妊娠7~8週までには必ず産婦人科を受診しましょう。その際、重要なのが産院選びです。
産院は分娩はもとより、妊婦健診で頻繁に通うため、納得のいく施設を選びたいものです。

産院とひと口にいっても、費用は施設によって異なります。また無痛分娩など特別な分娩ができなかったり、産後の母乳育児サポート体制に差があるなど、施設によってさまざまな違いがあります。また医師や助産師との相性も大切です。“こんなはずでは…”というトラブルを防ぐためにも、近い将来、妊娠を考えている方は、出産経験のある知人に産院の話しを聞いたり、インターネットで検索するなどして、日頃から情報収集をしておくといいでしょう。

妊婦健診が受けられる主な施設の特徴

メリット

注意点

大学病院

入院ベッド数が多く、産婦人科以外にも、内科、外科、麻酔科などを備えているため、万一の場合も安心。持病があって既に通院している方は、まず同じ大学病院の産婦人科を受診しましょう。NICU(新生児集中治療室)があると、緊急の場合、赤ちゃんのケアも万全です。

待ち時間が長い、受付時間が短いなど、妊婦さんにとって負担になる面も。また病院によっては、診察するたびに医師が変わりコミュニケーションがとりにくかったり、妊婦健診・分娩が、医学生の研修の場になることもあります。

産科専門

病院・医院

産科専門病院は、20床以上の入院施設が。また産科専門医院は、19床以下の入院施設があり、産婦人科医の個人経営が多いです。マタニティビクスやマタニティヨガなどのレッスンをはじめ、両親学級などの講座を積極的に開くなど、個性豊かな産院が目立ちます。

緊急の事態には、提携先の大学病院に搬送されます。小規模の産院は、出産ラッシュとぶつかると、期待していたサービスやサポートが十分に受けられないことも。

産婦人科

病院・医院

妊婦健診は可能ですが分娩はできないため、里帰り出産を考えている人に向きます。“ レディースクリニック” などの名称で、駅前や都心部など立地条件が良い施設もあるため、仕事などで忙しい妊婦さんにも人気です。

産院によって健診可能な妊娠週数が異なります。また分娩を行わないため、途中で医師に紹介状を書いてもらい転院が必要です。転院先の施設によっては、妊娠何週以降は受け入れないなどの決まりがあるため、事前に確認が必要です。

*助産師が開設する助産院は、医療行為ができないため、持病がある妊婦さんや多胎などリスクのある妊婦さんには不向きです。健診は提携病院などで受けます。

(寺師先生からメッセージ)“いつかは妊娠したい・・・”と考えている方へ

診察をしていて意外と多いのが、不妊症ではないのに「妊娠しない」と悩んで相談に来る女性です。なかには、排卵日に避妊しなければ100%妊娠すると考えている方もいます。しかし妊娠は、タイミングやそのときの体調・メンタル面など、複雑な要素がいくつも絡み合って初めて成立するもの。健康なカップルが、何カ月もトライしているのに、なかなか妊娠しないという話は珍しくありません。現在は高齢出産の方も増えていますが、母子ともにリスクが高いのは事実です。いずれ子どもが欲しいと考えている方は、“予想外に、妊娠しないこともある”ということを知っておいてください。

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