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教えて助産師さん!
産後の母乳ってすぐ出るの?

あんな
今回のテーマは「母乳」よ。赤ちゃんの成長のために欠かせないものだから、母乳が出る・出ないなどで、ママはけっこう悩んだりするわよね。でも、ストレスを過度に感じると母乳にも悪影響。だからママが1人で悩まないためにも、母乳についてのさまざまな疑問や不安を助産師さんにいろいろとぶつけてみたわ〜。
母乳を飲む赤ちゃん

教えてくれたのはこの方

清水茜さん
清水茜さん(助産師)東京慈恵会医科大学附属病院の産科、NICU勤務や地域の産婦人科病院にて、妊娠・出産・母乳育児指導・NICUにおける母乳育児指導などに関わる。現在は保健センターで妊婦向けに保健指導を行っている。自身も、二人の男子を子育て中。

教えて!「母乳」って、いつから出るの?

赤ちゃんを抱っこする女性

妊娠中から母乳について知っておくと、後々安心ですよね。そこで、出産後すぐに母乳は出るのか、そもそもどのような仕組みで母乳は作られているのかなど、母乳に関する基本のキを助産師の清水さんに解説してもらいました。

まず、母乳が出はじめる時期ですが、「出産してからすぐに母乳が出てくるわけではありません」と清水さん。

初乳は透明~黄色で粘り気があり、2~3日してからの母乳は白色になります。赤ちゃんに2〜3時間おきにおっぱいを吸ってもらっていると、産後2~4日目あたりで、徐々に作られる量も増加。産後5~9日目あたりには、実感できるほど母乳が増えていきます。

ただし、これはあくまでも目安で、出産の状況や疲れ・痛み・不眠などの状況で個人差があります。母乳育児にトラブルや不安はつきものですが、徐々にママも慣れていき、自信をもって赤ちゃんに授乳できている感覚がつかめるようになりますよ。(清水さん)

「母乳」が作られる仕組みとは?

妊娠中期から母乳は作られはじめています。これが初乳です。妊娠中は胎盤から出ているホルモンにより分泌が抑えられていますが、出産して胎盤がはがれると、ママの体の中では母乳を作って外に出す準備が始まります。

そして、出産後なるべく早くから授乳することが、妊娠中に準備してきた母乳工場を稼働するスイッチとなります。このスイッチがしっかり押されないと、「あまり作らなくていいのかな?」と工場がうまく稼働しなかったり、作られる量が少ないままになってしまいます。

また、母乳工場の稼働を邪魔する要因として「痛み」「ストレス」「不眠」があります。ママの体を休ませつつ、授乳を頻回にしていくことで母乳を順調に作ることができるようになりますよ。(清水さん)

「母乳」が出ない時はどうすればいいの?

母乳にまつわるお悩みで一番多いのが「母乳が出ない」というもの。特にはじめての母乳育児だと、ママは深刻に悩んでしまうことも……。そこで、出産直後から母乳をスムーズに出すコツを清水さんにアドバイスしてもらいました。

①分娩後2時間以内から赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらう

分娩後2時間は横になって休むことが多いです。その時、赤ちゃんに吸いたいサインがあれば、その都度おっぱいを吸ってもらいましょう。ちなみに、赤ちゃんがおっぱいを欲しがるサインには以下のような仕草が挙げられます。

・眠っている時に、むずむず動く
・手で顔をこすり始める
・手を口に持ってくる
・口をぱくぱく動かす
・手のひらに指を握らせると、ぐっと握り返す
・「クーウー」など優しくささやくような声を出す

②赤ちゃんが欲しがるだけおっぱいをあげる

休みつつも、赤ちゃんがおっぱいを欲しがったら授乳をしましょう。ただ、「泣いたらあげる」のタイミングで授乳をすると焦ってしまいますし、赤ちゃんもうまく飲めないことがあります。上記の「赤ちゃんが欲しがるサイン」が見られたタイミングで授乳をはじめるのがおすすめです。

また、授乳は適切な吸い方と姿勢(ラッチオンとポジショニング)がとても大切です。肩こりや腱鞘炎の原因にもなりますので、ゆったりとした姿勢で赤ちゃんが飲みやすい吸わせ方を練習していきましょう。


以上の2つのコツを出産直後に実践することで、赤ちゃんが欲しがるだけ母乳を作る工場が徐々にできていきます。

もし出産施設を退院した後も母乳が増えていないような感覚がある場合は、母乳外来などで助産師と相談しながら
・本当に母乳の量が足りていないか
・適切な吸わせ方や姿勢で授乳できているか
・母乳の分泌を阻害する要因がないか
を診てもらいましょう。(清水さん)

「母乳」が出すぎる時はどうすればいいの?

赤ちゃんが欲しい量と作る量のバランスがうまくいかないこともあります。体質的なところもありますが、赤ちゃんに直接授乳をした後、まだ残っている感覚があるからと搾乳をしてしまうと、「もっと作ったほうがいいのかな」と余計に母乳が作られすぎてしまいます。母乳の量をうまくコントロールするためには、助産師や主治医に相談するとよいでしょう。(清水さん)

赤ちゃんが「母乳」を飲んでくれない時はどうすればいい?

赤ちゃんを抱く女性

赤ちゃんが母乳を飲まない場合には、
・授乳の時、無理な姿勢をとっている
・赤ちゃんの吸い方が浅かったり乳首と口がずれている
・母乳が勢いよく出てむせてしまう
など、いろいろな要因が考えられます。

助産師や主治医に伴走してもらい、原因を判断してもらって改善していくとよいでしょう。(清水さん)

赤ちゃんとママのために、
妊娠中から自分でできるセルフケア

清水さんによると、「出産後、授乳で赤ちゃんにたくさん乳首を吸われると、痛くなったり切れたりとダメージを受けやすい」のだそう。そのため、妊娠中から乳首を柔らかくほぐしてケアし、赤ちゃんにとっても吸いやすい乳首にしておくのがおすすめなのだとか。そのケア方法を紹介します。

●乳首を保湿しておく

専用のオイルやクリームで毎日乳首を保湿して柔らかい皮膚にしていきましょう。


●乳首のマッサージをする

(※36週未満の方が行うと、切迫早産の恐れがありますので行わないでください)

36週を過ぎたら、入浴中にお風呂で乳首をふやかしながら、軽く伸ばしてマッサージします。痛いと感じるようでしたら、力の加減をして痛くないように行ってください。もし乳カスが出るようでしたら、ガーゼで優しくふき取ること。その後、保湿もしっかりと行いましょう。


また、「乳頭の先端が陥没している陥没乳頭や、乳頭が短く突出していない扁平乳頭の方は、授乳時に赤ちゃんが飲みにくい・乳首が痛みやすいといったトラブルになりやすいです」と清水さん。

陥没乳頭について
扁平乳頭について

これらの乳首タイプの方は、いつからでもOKですので、乳輪(乳首周りで肌の色が濃い円状の部分)に優しい圧力をかけるニップルフォーマーを使用して乳頭の圧迫を避けましょう。そして36週以降は、乳頭吸引器で乳首を伸ばしていきましょう。(清水さん)


以上が妊娠中におすすめのセルフケアで、授乳がはじまったら乳房周りのストレッチも有効だそう。

母乳は血液から作られますので、乳房周りの血流を良くしていくことが大切です。首や肩、肩甲骨周りをストレッチし、コリをほぐしておきましょう。(清水さん)

日々の食事でも意識できる、
授乳中におすすめの食べ物・飲み物

食事中の様子

では、授乳中のママができるセルフケアとして、食事面でも意識できることはあるのでしょうか?清水さんからは、「自分の食べたものが母乳に出てくるわけではないので、これを食べてはいけないというものはありません」と、安心できるコメントも。

ただ、母乳トラブルの原因は自分の体調が悪くなっていることが多くあるので、胃もたれするような食事を続けたり体が冷えるようなものを摂ったりすると、乳腺炎などつらい症状につながってくることもあります。

そのため、どうしても疲れやすい状態にある授乳期間は、消化がよく体が温まるものを摂ったり、栄養バランスの良い食事を心がけたいですね。また、母乳を作っている体は水分不足になりがちですので、意識して水分補給をしましょう。(清水さん)

「母乳」が出る、出にくい……状況は人それぞれ。比べたり、意識しすぎて悩みすぎないで!

授乳中の様子

母乳育児が「うまくいっていない」と感じてしまうと、育児にも自信がなくなったり不安になったりしてしまうものです。だからこそ、家族や助産師、お住まいの地域の相談窓口など周囲の力を借りながら、1人で頑張りすぎないようにしてくださいね。

「うまく育児しなくちゃ」と一生懸命になることも赤ちゃんのために必要なことですが、「赤ちゃんがかわいい!ママも楽しい!」のが一番大切ですよ!(清水さん)

「母乳」は赤ちゃんにとって大切な栄養の一つ!まずは「母乳」への理解を深めてね〜

あんな
あんな

母乳には、赤ちゃんの成長に必要な成分がたくさん含まれていると言われているわよね。だからとっても大切なものではあるのだけど、出る・出ないで悩みすぎたり、他のママと比べたりしないでほしいわ。まずは母乳への理解を深めつつ、気になることがあれば、遠慮なく助産師さんに相談してちょうだい!

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