妊婦さんのむくみ(浮腫)の原因とおうちでできる5つの予防・改善方法【産婦人科医が監修】
妊娠する前でも、朝起きたら顔がなんだか腫れぼったく感じたり、夕方になると足がむくんで靴がきつく感じたりしたことは誰しもあるのではないでしょうか。このむくみの正体は、体にたまった水分です。妊娠中はとくに足がむくみやすくなり、妊婦さんが不快に感じるマイナートラブルのひとつといわれています。 そこで今回は、妊娠中にむくみやすくなる原因と、むくみの改善・予防方法を産婦人科医院長の天神先生にお伺いしました。
教えてくれたのはこの方
- 天神尚子さん産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長
日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、1995年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。
妊娠中にむくみやすくなる原因
なぜ妊娠中は普段よりもさらにむくみやすいのでしょうか。それは妊娠すると赤ちゃんに栄養を送るため循環血液量が増加し、その血液中の水分が血管の外へしみ出して、細胞と細胞の間に増加した水分がたまってしまうからです。
とくに妊娠後期になると赤ちゃんはより大きくなり、栄養をたっぷり送る必要があるので血液量がさらに増えて子宮も大きくなります。そのため下大静脈が圧迫され、血流は滞りやすくなって下半身のむくみが起こりやすくなります。また、水代謝に関係するホルモンの低下で代謝も低下しますし、妊娠中に多量に分泌される黄体ホルモンの作用なども妊婦さんがむくみやすい原因と考えられます。
妊娠中のむくみの予防方法・改善方法5つ
日々のちょっとした工夫が、むくみを解消したり予防したりしてくれます。妊娠中にできるむくみの予防・改善方法を5つご紹介します。
1.塩分の摂取量に気を付ける
塩分のとりすぎは、水分を体内にためるためむくみの原因に。また、「妊娠高血圧症候群」を引き起こす恐れもあります。「薄味に慣れる」が一番良いですが、塩分の代わりに酢やレモンなどの酸味を調理に取り入れるなど、できるところから工夫して塩分の摂りすぎに気をつけましょう。
2.カリウムを摂取する
体の中では、ナトリウム(塩分)とカリウムがバランスをとって水分を調節しています。ナトリウムが多くなると体に水分を溜めこんでむくみやすくなりますが、カリウムにはナトリウムを尿として排出してくれる働きがあります。
食事は栄養バランスよくとるのが基本ですが、アボカド、ほうれん草、バナナ、イモ類、納豆や豆腐、昆布、わかめなど、カリウムが多く含まれた食材も取り入れましょう。
3.足を少し高くして寝る
足がむくんでいる場合、横になったり眠ったりするときに足の下に枕を置いて高さを出してみましょう。足の位置が高くなると下半身の血液が心臓へ戻りやすくなり、血の巡りが改善され足のむくみの解消が期待できます。
4.足をマッサージする
足の指やふくらはぎなどを力を入れすぎず優しくマッサージすることで血行を促進します。体を温めると血の巡りが良くなるので、ぬるめのお湯に入浴しながらおこなったり、足湯をしてからおこなったりするとなお良いですね。
5.ストレッチや適度な運動を心がける
妊娠中は運動不足になりがちなので、毎日10分ほどウォーキングをする、マタニティストレッチをおこなうなど、適度な運動を心がけましょう。ただし、おなかが張っているときや体調がすぐれないときは控えてくださいね。
まとめ
妊娠中はむくみやすく、妊婦さんにとっては不快でつらいものだと思います。むくみに悩んでいる妊婦さんもそうでない妊婦さんも、今回ご紹介した方法を日常生活に取り入れてみてください。
なお、むくみの原因は生理的なものがほとんではありますが、なかには病気が原因の場合も。むくみをつらく感じたり、症状が気になるときは妊婦健診などで医師に相談しましょう。