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それいけ!妊婦健診②~パパ編~
付き添いは? エコー写真の見方は? パパが妊婦健診でやるべきこと

2人でエコー写真を見る姿
あんな
妊娠してから出産までの間、定期的に受ける健康診査を「妊婦健診」って言うのよ。妊婦健診はママとお腹の赤ちゃんにとってとても大事なこと。メインで受けるのはママだけど、産婦人科の先生からのお話の中には、パパにも聞いてほしいこともあるの。パパがどんなふうに妊婦健診に関わるといいのか、産婦人科医の松峯美貴先生に聞いてみたわよ!

そもそも妊婦健診って何をするの?

妊婦検診

妊婦健診はママと赤ちゃんの健康状態を定期的に確認するものです。たとえば1回目を妊娠8週目ごろに受診すると、出産まで合計14回くらい受診することになります。

ママの体調に問題はないか、流産や早産の危険性はないか、子宮の中の赤ちゃんの環境や成長は順調かなど、大事なことを継続して検査します。
そして無事に出産を迎えるために、妊娠・出産・育児について主治医や助産師に相談したり、ライフスタイルや栄養についてアドバイスを受けたりする機会にもなります。

妊婦健診ではどんなことをするの?こちらをチェック!

パパも付き添うほうがいいの?

ママと赤ちゃんの状態を理解し、パパ自身が親になっていく自覚や自信を養うためにも、できる限りパパも妊婦健診に付き添うのが◎。
妊婦健診に行くママは、たとえ体調がよくても少なからず緊張や不安を感じていますから、パートナーが一緒にいてくれると安心できます。パパが自分や赤ちゃんの健康状態を理解した上で、体調をねぎらってくれると、ただ「大丈夫?」と声をかけられるよりも、きっと何倍も励まされるでしょう。

ママは、妊娠・出産というご夫婦にとって重要なライフイベントを、パパと分かち合いたいと思っています。「分かち合う」はパパだけの、大切な役目なのです。実際に分かち合うには「妊娠・出産」に関するベーシックな知識と、その時々のママと赤ちゃんを理解することが大切でしょう。

ただし、感染症予防対策などで付き添いがNGとされている場合もありますし、上のお子さんのお世話やお仕事の都合で付き添いができないこともあるでしょう。
そんな時のために、たとえ付き添えなくてもパパが妊婦健診に参加し、ママや主治医と赤ちゃんを迎えるために大切なコミュニケーションがとれる方法をご紹介します。

付き添えなくてもできること①
健診場所までの送り迎え

健診場所までの送り迎え

健診には立ち会わなくても、健診を受ける病院などへの行き帰りの送迎をするだけで、ママにとっては大きなサポートになります。
つわりの時期のママは、吐き気やだるさなど、つらい症状が続いている場合が多いので、1人で移動することに不安があるでしょう。また、つわりが終わっても、妊娠していない時と比べて妊婦さんは交通事故のリスクが高いという調査結果もあります。都合がつけば、安全のためできるだけ送り迎えをしてあげられるといいですね。

病院などの待合室で待機する場合は、座席を譲るなどほかの妊婦さんも気遣ってくださいね。つわりでにおいに敏感な妊婦さんもいるので、中座して喫煙するのは控えるなど、普段以上にエチケットに気配りしましょう。

感染症予防対策で、付き添い者の待機は待合室の外などとルールを定めている施設もあります。ママと赤ちゃんの安全・安心のために設けられたルールを尊重して行動してください。

付き添えなくてもできること②
「どうだった?」という声がけ

「どうだった?」という声がけ

妊婦健診に行ってきたママと顔を合わせたら、まず「お疲れさま」とねぎらいの一言を。そして「どうだった?」と声をかけて、ママの話を聞きましょう。エコー写真など、きっとママにはパパに見せたいもの・伝えたいことがあります。そんな時は興味を示してしっかり見ながら、話を聞いてください。

もしママが言葉少なだったら、ママと赤ちゃんに関心を寄せ、どんなことを診てもらったのか、主治医からはどんな話があったのか、尋ねてみましょう。母子手帳に体調に関することや検査結果が記載されるので、そのようなデータをもとにすると会話しやすいという方は、手帳を見せてもらうのもいいかもしれません。

妊婦健診では、ママもパパも赤ちゃんの成長が何よりの関心事かもしれませんが、パパはママの健康にも関心を示し、支える態度を表しましょう。それがママの肯定感と安心につながります。

また、ママの体調次第では、生活改善をしなければならないこともあります。たとえば主治医から「塩分を控えた食生活」をすすめられたら、家庭料理の味付けが薄味になるかもしれません。そんな時パパが「僕もがまんするから、一緒に慣れていこうね」と協力的だと、ママの意欲もあがるはずです!

付き添えなくてもできること③
エコー写真の見方

エコー写真の見方

モニター越しに赤ちゃんと対面ができる超音波(エコー)検査を、妊婦健診の楽しみに思うママ、パパは多いです。もらったエコー写真の見方がわかると、赤ちゃんの成長が実感しやすいので、エコー写真について知っておきましょう。

エコー写真には、音波が反射しやすい赤ちゃんの骨など硬いものは白く、音波が通過する羊水などの液体は黒く写っています。また、記載されているアルファベットの代表的なものは、次のような意味があります。

AGE(またはGA:gestational age)
妊娠週数。AGEに記載されている○w○dは、○週○日を意味します。
CRL
胎児頭殿長(crown-rump-length)。妊娠初期のエコー写真に記載されていることが多い、胎児の頭からお尻までの長さです。妊娠週数を正確に知るための指標の1つになり、個人差は大きいですが、概ね妊娠8週では13mm前後[*]になっています。
BPD
胎児頭大横径(biparietal diameter)。頭の最も大きい横幅、最大横径です。妊娠12週以降は、赤ちゃんが手足を曲げていて身長の推定が難しくなるので、このBPDで発育状態を確認します。個人差は大きいですが、概ね妊娠12週では19.3mm前後[*]になっています。
AC
胎児体幹周囲長(abdominal circumference)。お腹の周囲の長さです。
FL
胎児大腿骨長(femur length)。大腿骨の長さです。
EFW
推定児体重(estimated fetal weight)。赤ちゃんの体重をBPD、AC、FLの値をもとにEFWを算出します。個人差は大きいですが、概ね妊娠18週では187g前後[*]になっています。
SD
標準偏差。平均と比べて大きいか小さいかがわかる値です。概ね±1.5までが標準範囲とされています[*]。

[*]日本超音波医学会:J Med Ultrasonic 2003;Vol.30(3):J421

付き添えなくてもできること④
妊娠・出産の基礎知識を身につける

妊娠・出産の基礎知識を身につける

先にも紹介した通り、パパが「妊娠・出産」に関する基礎的な知識をある程度もっていることはとても大切で、妊婦健診の意味や結果を理解するにも役立ちます。基礎知識があると、次回の健診で確認しておきたいことなども思い浮かぶかもしれません。ぜひパパも主治医とコミュニケーションをとっていきましょう。

また、ぜひ身近な先輩パパからも話を聞いてみましょう。そして両親学級などの機会があれば、ぜひ参加して理解を深めてください。

ここでは妊娠初期・中期・後期にわけて、特にパパが知っておくとよいポイントを紹介します。

妊娠初期

「つわり」や「妊娠悪阻(おそ)」について知っておきましょう。
つわりは、一般的に妊娠5週目ごろから12〜16週ごろまでみられる一過性の体調不良で、原因は妊娠によってママの体に起こるホルモン分泌や代謝の変化などと言われています。
症状は、吐き気やおう吐など、消化器症状が中心となることが多いですが、人によってだるさや眠気、頭痛などさまざまな症状が出ることもあり、期間が長引くこともあります。
つわりの時期は「食べられるものを食べられる時に、食べられる分だけ」食べるのが基本。十分な休息をとり、脱水に注意し、口に入れられるものがあれば少しでも食べることが大切です。それでも、つわりの時期は絶望的な気持ちになるママもパパがつらい症状の緩和法など、情報を集めることもサポートになります。

一方、つわりの症状が悪化し、食事がとれないことなどによって栄養状態が悪化、5%以上の体重減少が起きた場合、治療が必要な「妊娠悪阻」と診断されます。
妊娠悪阻は重症化しないよう早期の対応が必要だということを覚えておき、つわりの時期のママを見守っていましょう。

妊娠中期

妊娠中に、何らかの原因でママが高血圧や糖尿病などの病気や、臓器の障害などを起こすことを「合併症」と言います。
「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」など、主治医から何かリスクについて説明があったら、生活上の注意点も含めて病気について知り、体調管理のサポートが必要になります。

また妊娠中にぜんそくや甲状腺機能低下症、気分障害・うつ病などの持病が悪化したり、他の妊娠合併症のリスクになることもあるので、ママに持病があるときは、妊娠・出産との関連についても知識を得ておきましょう。

妊娠後期

分娩スタイルやスケジュールなど、具体的なことを決める時期です。ママと希望のバースプランについて話し、その一般的な流れ、パパの役割などを理解しておきましょう。バースプランとは、ママが自分らしいお産をするために希望をまとめるもの。もちろんパパの意見も反映してつくります。

予定日に赤ちゃんが生まれるとは限らないので、パパ自身も予定日前後1、2週間は仕事などのスケジュールに余裕が必要になるでしょう。出産予定日を確かめたら、入院の準備が済んでいるか、持ち物は家のどこに置いてあるか、移動の手段はどうするか、出産施設との連絡手段など、急に分娩が始まった場合に慌てないための基本情報も共有しておきましょう。

そして、“産後”も視野に、住んでいる地域の産後ケアや、子育て支援情報などを事前にチェックしておくとよいでしょう。赤ちゃんを迎えた後はなかなか余裕がもちづらいママに、適切なタイミングで共有し、一緒に考えてほしいと思います。

妊婦健診を通じてパパの役目を理解し、楽しんで!

妊婦健診を通じてパパの役目を理解し、楽しんで!
松峯先生松峯先生
パパには妊婦健診をひとつのきっかけとして、妊娠・出産について理解を深め、新しい家族を迎える日を楽しみに過ごしていただきたいと思います。
写真は旅先で購入した「父子像」です。欧米では、子育てにおけるパパの存在の大切さが広く認知されているため、母子像に並んで、父子像も一般的なのです。日本もこの父子像のような慈愛あふれる父子の姿が多く見られるようになってきました。妊娠・出産・子育てに積極的に関わり、楽しむパパが増えているのです。
パパが関心を寄せ、寄り添ってくれると、ママの不安やストレスは軽くなります。
また、新しい家族を迎えるという体験は、パパ自身の人生の中でも貴重な思い出の1つとなり、後日、後輩や部下にアドバイスができる、頼れる先輩(上司)になれたといったメリットを実感するパパも多いようです。ぜひ自分事として、豊かな経験になさってください。
ご夫婦で互いに「ありがとう」の気持ちをもち、努力して、幸せに待望の日を迎えてくださいね。
あんなあんな
妊婦健診のサポートやフォローを通して、ママの安心や体調管理のモチベーションにつながるなんて素敵ねぇ~! 幸せ家族の第一歩として、妊娠期のパパの役割を今一度考えてみてちょうだいね。

監修者プロフィール

松峯美貴先生
松峯美貴先生医学博士、東峯婦人クリニック副院長、東峯ラウンジクリニック副所長、産前産後ケアセンター東峯サライ副所長(いずれも東京都江東区)妊娠・出産など女性ならではのライフイベントを素敵にこなしながら、社会の一員として悠々と活躍する女性のお手伝いをします! どんな悩みも気軽に聞ける、身近な外来をめざしています。東峯婦人クリニック 公式ページ

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