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妊娠中にやっていいことダメなことを産婦人科医が解説!~食事編~

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妊娠中は病気ではないものの、仕事や運動など、どこまで普段通りに過ごしていいのか、何をやってはいけないのか分からないことが多いと思います。そこで今回は、産婦人科医の天神先生に、食事に関して妊娠中にやっていいこととダメなことを教えていただきました。

教えてくれたのはこの方

天神尚子さん
天神尚子さん産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長
日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、1995年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。

妊娠中にやっていいこと

妊娠中に一見ダメなように見えても一定の条件を守ればOKなものがあります。その中で主なものを3つご紹介します。

1.おやつ(間食)を食べること

おやつを持っている妊婦さん

お菓子やジュース類は糖分が多く控えた方がよいですが、栄養を補足するような果物やヨーグルトやおにぎりなどのおやつは問題ありません。むしろ、おやつには本来足りない栄養を補う役割があります。食事を振り返って、少しビタミンがとれていないなと思ったらビタミンが含まれた果物を食べたり、カルシウムや食物繊維不足を感じていたらヨーグルトや牛乳を入れてブルーベリーをトッピングなどしたシリアルなどを食べたりするのもよいですね。

2.コーヒーや紅茶などカフェインが含まれる飲み物を飲むこと

カフェインが含まれた飲み物を妊婦さんが飲むと、摂取したカフェインが胎盤を通過して胎児に移行するので、妊娠中はNGと思われがちですが、量を守れば飲むことができます。食品安全委員会がまとめた各国機関の示す目安量によると1日に200~300mg未満におさえると悪影響はないとされています。そのため、コーヒーなら1~2杯、紅茶なら2~3杯程度なら飲むことができます。意外と知られていないのですが、玉露にはコーヒーの3倍近くのカフェインが含まれているので注意しましょう。

3.キムチなど辛いものを食べること

キムチが乗った白米

妊娠中は、増量した黄体ホルモンの作用で食道下部の括約筋がゆるむため逆流性食道炎の発症率が高くなります。激辛料理に含まれた唐辛子(主成分のカプサイシン)の過剰摂取は胃酸分泌を高めるためこの症状を悪化させてしまいます。一方、適度な摂取は減塩作用や食欲増進の働きもあるので、適度な量のキムチなら食べてもよいでしょう。ただ、辛いものを食べるとごはんをつい食べ過ぎてしまうことがあると思います。また、辛いものを食べすぎると、塩分の過剰摂取や過度な体重増加につながりやすく、それらは母子にさまざまなトラブルを引き起こすリスクがあります。キムチを食べるときは、量はほどほどに、を意識しましょう。

妊娠中にしてはダメなこと

次に妊娠中の食事について、してはいけないことを主に4つお伝えします。

1.食事制限をすること

妊娠中の食事は、おなかの赤ちゃんのためにもママのためにも栄養バランスよく食べることが大切です。体重を抑えるためなどの理由で食事を控えようとするのはNGです。また、赤ちゃんにアレルギーが発症するのを怖がり、牛乳や卵などを除去することはアレルギー予防の効果はないとされています。医師などから指導がない限り、自己判断で特定の食材を避けたり食事を減らしたりすることはやめましょう。

2.特定の食べ物を過剰摂取すること

妊娠中は「ビタミンが必要」「葉酸が必要」「鉄分が必要」などのお話を目にするので、ついその栄養素が多く含まれる食材に偏りがちですが、特定の食べ物を過剰摂取するのは避けたほうがよいでしょう。たとえばビタミンAは視覚などの機能の保持に関する栄養素ですが、過剰摂取すると頭痛・皮膚の落屑(らくせつ/表皮の角層が顕著に剥離する状態)・関節痛などが起こってしまうことがありますし、特に妊娠初期では胎児に影響をおよぼすリスクがあるという報告もあります。魚もカルシウムやたんぱく質がとれるものの、マグロやキンメダイなどは水銀が含まれるため、このような魚ばかりを毎日食べるのはやめましょう。

3.生魚、生肉、生卵など食中毒の可能性がある食材を食べること

生卵

生魚、生肉、生卵や加熱していないチーズなどはトキソプラズマ、リステリア菌、サルモネラ菌などによる食中毒が発生する可能性があります。おなかの赤ちゃんに影響がないものもありますが、妊娠中に初めてトキソプラズマやリステリア菌に感染した場合はおなかの赤ちゃんに感染し、トラブルを起こす可能性があります。普段はこのような感染症にかかったことがなくても、妊娠中は抵抗力が下がっているのでレアステーキやスモークサーモンなども避けておくのがおすすめです。

4.アルコールの摂取

妊娠中のアルコール摂取は厳禁です。妊娠中にアルコールを摂取すると、胎盤を通じて赤ちゃんもアルコールを摂取します。赤ちゃんは肝臓機能が未熟なのでアルコールを分解するまでに長い時間がかかります。また、発育にも影響を及ぼすことがあります。ノンアルコール飲料であっても、1%未満のアルコールが含まれていることがあるので、飲まないようにするか、0%であることを確認して飲むようにしましょう。

まとめ

今回お伝えした内容はあくまでも一般的なお話です。また今回お伝えした内容のほかにも「これは食べてもいいのかな?」「こんなときはどうしたらいいのかな?」と妊娠中の食事について、やっていいこととダメなことでの線引きを悩むことはしばしばあると思います。そんなときは担当の医師や助産師さんに相談してみましょう。体調と照らし合わせたアドバイスをもらって、安心でストレスの少ない妊娠生活を送ってくださいね。

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