分娩時に赤ちゃんがとおる産道を広くしておくために、妊娠中はリラキシンと呼ばれるホルモンが作用して骨盤内をつないでいる関節やじん帯や筋肉が緩み、骨盤が開きます。

出産後、骨盤はゆっくり時間をかけて元に戻っていきますが、妊娠中に筋力が低下している場合などに元の位置に戻りにくくなることもよくあります。

そして元の位置に戻らず産後も開いたままだと、尿モレ、腰痛や肩こり、便秘、冷え症、恥骨の痛みなどの不調を引き起こしてしまうことがあります。

また、おなかがポッコリと出てしまい体型が元に戻りにくくなることも。

このような症状を予防するために、出産したら骨盤ケアをおこなって骨盤を整える必要があるのです。

近年は妊婦さんの約5人に1人が帝王切開で出産しています（※1）。

事前に日時を決めておこなう予定帝王切開は、妊婦健診中の経過をみて、ママの骨盤が小さい、前置胎盤、子宮筋腫などの合併症がある、子宮の手術歴がある、逆子や双子や巨大児などの場合に決定します。個人差がありますがだいたい妊娠34～35週頃には手術日を決定し、37週～38週に手術をします。

また、緊急帝王切開は妊娠中や自然分娩中に、赤ちゃんの心拍に異常がある、胎盤が剥がれかかっている、お産が進まない、妊娠高血圧症候群などでママの具合が悪くなったなど、急いで赤ちゃんを取り出す必要がある場合におこないます。

なお、帝王切開全体のうち、約10人に3～4人は緊急帝王切開です（※2）。いずれも自然分娩ではリスクがあると判断されたときに、ママと赤ちゃんを守るために帝王切開が選ばれます。

帝王切開の場合、骨盤の緩みや骨盤底筋への負担は自然分娩よりも少ないものの、やはり緩みは生じます。そのため産後はしっかり骨盤をケアすることが大切です。

帝王切開は自然分娩に比べてからだの回復に時間がかかりますが、産後の1ヵ月健診で問題なければ骨盤ケアを始められます。自分の傷の痛みや体調をみながら、無理のない範囲で運動などを取り入れるとよいですね。

また、産後ガードルでおなかを締めたり、骨盤ベルトをつけたりするのもおすすめです。ただし、締めすぎて傷が痛む、血液循環が悪くなるということがないように気をつけましょう。

育児で大変な毎日だと思いますが、産後にしっかり骨盤をケアして不調が起こらないようにしたいですね。