産婦人科医が教える!知っておきたい体と栄養の話

つわりで食べられないときはどうする?
妊娠初期の栄養のとり方
つわりのときは食べられるものを食べればOK
つわりの症状は個人差があり、程度も人によって異なります。症状がつらくて食事がとれないときは、無理して食べなくても構いません。おなかの赤ちゃんもまだ小さく、母体に蓄えられていた栄養で育ちます。食べられるものを食べたいときに食べましょう。
【つわりのときの食事の工夫】
  • □ 少量ずつ1日5~6食など小分けにして食べる
  • □ つらいときは冷たいスープなら飲めることも
  • □ 脱水症状に注意。水は無理でも炭酸水や氷なら口にできるかも
  • □ 水分は食事と一緒ではなく食後30分~1時間後にとる
  • □ 食べつわりの人は枕元にクラッカーなどを準備。起床後口に入れるとラクに
葉酸はミネラルビタミンと一緒に
サプリメントでとると効率的
つわり中も欠かさず摂取したいのが「葉酸」です。胎児の細胞分裂が活発に行われる妊娠初期は葉酸が不可欠。葉酸をしっかりとることで、赤ちゃんが先天的な神経系の病気にかかるリスクを50~70%減らすことができます※1
日本では若い女性のやせ思考を背景に、妊娠初期の葉酸不足が懸念されています。葉酸の摂取量の目安は、妊娠中は1日あたり240μg。さらに妊娠初期はサプリメントなどの栄養補助食品から1日400μgをとることが推奨されています※2
※1 厚生労働省「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」
※2 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)
葉酸は単体で摂取するよりも、マルチビタミンとセットでとることで血管異常のリスクを下げる効果があることがわかってきました。妊娠中で言えば胎盤の血管を健康に保ち、胎児の発育不全、早産、胎盤剥離、妊娠高血圧症候群などの予防になります。初期だけでなく、妊娠期を通じてサプリメントを活用するとよいでしょう。
葉酸摂取の耐容上限量は1日900~1000μgです。必要なビタミンが付加されている葉酸サプリメントなら1種類だけの服用で構いません。別途マルチビタミンのサプリメントを追加する場合は、成分表示を確認して過剰摂取にならないように注意してください。
天神尚子
産婦人科医 三鷹レディースクリニック院長
日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。
2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。
記事一覧に戻る