赤ちゃんは図らずとも、日々さまざまなことでママを悩ませているのではないでしょうか。
今回は、母乳育児をするなかで「赤ちゃんが母乳を嫌がるようになった場合」の原因や対処法について、小児科医の竹中美恵子先生に、自身が実際に経験した症例から話を伺いました。
赤ちゃんが母乳を嫌がるようになる原因には、何があるのでしょうか?
人により原因はさまざまなので一概には言えませんが、原因の種類を大きく分けるならば、2つあります。ママ側に要因がある場合と、赤ちゃん側に要因がある場合です。
ママ側の要因として考えられるのが、なかなか母乳が出ない場合です。初めての授乳から間もないときにはよくあることで、母乳を体外に出す通路の役割である「乳管」がしっかりと整備されていないために起こることが多いです。
また、ママの乳首もまだ授乳に適応した状態でない場合が多く、最初は吸ってもうまく出てこないことが多いため、赤ちゃんはだんだんと飲む力が尽きてきて、おっぱいが出てこないことに苛立ち泣き出したり、ママのおっぱいを嫌がったりすることがあります。
赤ちゃん側の要因としては、吸引力が弱いことや「舌小帯」という、舌の下に付いている構造物が短いことで、おっぱいを吸いにくい場合があります。
どうやって対処すればいいのでしょうか?
まずはおっぱいを赤ちゃんに吸ってもらいましょう。少しぐらい嫌がる期間があっても、めげずに毎日少しずつ吸うコツをつかんでいくことが大切で、これにより徐々に吸いやすく、母乳も出やすくなってくるでしょう。
経験者からアドバイスをもらったり、母乳マッサージをしてくれる人に頼ったりするのもよいと思います。1度や2度嫌がられても、めげずにいろいろな方向で授乳をトライしたり、授乳のタイミングを変えたりしてみてください。
最後に
赤ちゃんが母乳を嫌がるようになると、ほとんどのママは自分を必要以上に責めてしまいがちです。
赤ちゃんにとっておっぱいを吸うことは初めてですが、ママにとっても初めての経験です。自分を責めたり、焦ったりする必要はありませんので、スキンシップをたくさんとってあげてくださいね。
【著者プロフィール】
竹中美恵子
小児科医。 2000年広島大学附属高校卒業 アナウンサーになりたいと描いていた矢先に小児科医であった最愛の祖父を目の前で亡くし、医師を志す。
2009年 金沢医科大学医学部医学科卒業
以後広島市立広島市民病院小児科などで勤務。
2016年12月 女医によるファミリークリニックを開業(院長)、現在に至る。
日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得
小児慢性特定疾患指定医、難病指定医
2013年6月1日 広島テレビ 子育て応援団 すこやか2013 に出演
2014年 広島リビング新聞社 園児とママのための情報誌 えんじいな 「お医者さん教えて」コーナー連載
2014年より東京レインボータウンFM 「上野淳の東京☆夜会」にたびたび出演し、子どもの心のトラウマ、アレルギー、子育て相談、母乳育児の大切さなどについて講話
2014年 日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める
また小児科医として臨床を行う傍ら数々の学会発表や論文執筆に尽力している