新生児の吐き戻しはなぜ起こる?原因と予防方法や病院にいく目安は?【小児科医が解説】

母乳やミルクを飲んだあとに吐いてしまう「吐き戻し」。とくに新生児にみられるのですが、量や頻度の多さに不安に思うママやパパもいるのではないでしょうか。

そこで今回は、新生児の吐き戻しの原因と対策や病院にいく目安を石戸谷小児科の石戸谷尚子院長に教えていただきました。

新生児の吐き戻しの原因とは

赤ちゃん

新生児が吐き戻しをするおもな原因は、げっぷ不足、母乳やミルクの飲みすぎ、胃が未熟であることです。

授乳中に飲み込んだ空気の量が多いのにげっぷがしっかりできていないと、吐き戻してしまうことがあります。また、新生児期の赤ちゃんの胃はとても小さく満腹中枢も未熟のため、母乳やミルクを飲みすぎてしまうことも。

新生児の胃は大人の胃と異なりカーブをしておらず、また入り口が閉じられていないため、食道に逆流しやすい状態。そのため飲みすぎた分を吐き戻してしまうこともあります。

これらにあてはまらなくて吐いてしまう場合や、吐き戻し以外の症状がある場合は急性胃腸炎、胃食道逆流症、アレルギーなどの病気も考えられます。吐き戻しがあったときは赤ちゃんをよく観察しましょう。

新生児の吐き戻しを予防する3つの方法

赤ちゃんの吐き戻しを予防する方法には次の3つがあります。

【対策1】ラッチオンで空気の飲み込み過ぎを防止!

おっぱいを飲む赤ちゃん

ラッチオンとは母乳を飲むときに赤ちゃんが正しい体制で乳首に吸い付いていることをいいます。

ラッチオンがうまくできていないと空気を飲み込みやすくなります。授乳の際に、赤ちゃんとママのおなかが向き合っている正しい授乳姿勢になっているかどうか、赤ちゃんが深くおっぱいをくわえられているかどうかなどをチェックしましょう。

ラッチオンができているか不安な場合は、助産師さんにみてもらうと安心ですね。また、哺乳瓶授乳の場合も赤ちゃんの口にあった乳首の形やサイズを選ぶことが大切です。

関連記事:
第19回:授乳を軌道にのせる第1歩!ラッチオンを知ろう- さく山さんの母乳育児講座

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【対策2】飲む量を調節する

母乳育児の場合、飲んだ量がミルクのようにはっきり分からないため与えすぎてしまうことがあるようです。赤ちゃんが泣いているときやグズグズしているのを見ると、「母乳が足りていないのかな」と心配になってしまうのかもしれませんね。

そこで、母乳の量を測って授乳する量を調節しましょう。

まず、授乳前と後の赤ちゃんの体重を測ります。この体重差が「赤ちゃんが母乳を飲んだ量」なので適量を飲んでいるのか確認することができます。適量の判断に迷ったら量や回数などを記録しておき、新生児訪問などの際に助産師さんに相談すると安心ですね。

【対策3】縦抱きで授乳して、授乳後は赤ちゃんの頭の位置を高く

縦抱きで授乳をすると重力の関係で食道への逆流を防ぐことができます。授乳直後もしばらく縦抱きを続けると、胃の中の飲んだ母乳やミルクがある程度腸に流れるのでより安心です。

ただし、新生児は首がすわっていないので縦抱きで授乳する際はしっかりと首を支えるよう注意しましょう。

関連記事:「縦抱き」って?-授乳は赤ちゃんとママにとってラクな姿勢で!第25回:さく山さんの母乳育児講座

吐き戻しが起きたときの病院を受診する目安

赤ちゃんの吐き戻しには「溢乳(いつにゅう)」と「嘔吐」の2種類があります。

溢乳は口から少量の母乳やミルクを吐き出すこと。口の横からダラダラと母乳やミルクが垂れてきます。これは赤ちゃんの生理的な現象で問題ありません。

一方、嘔吐は一度胃に送られたものを吐き出すこと。げっぷ不足や飲みすぎなどが原因の場合は問題ありません。ですが、体重がなかなか増えないときや、勢いよく急に大量に吐いたとき、下痢や発熱、不機嫌、顔色が悪い、飲みたがらないなど、吐き戻しのほかに気になる症状が見られる場合は注意が必要なので病院を受診しましょう。

また、繰り返し嘔吐し、嘔吐したものがドロドロのヨーグルト状になっている場合は、胃から腸に飲んだものが進んでいないと考えられます。このようなときもすぐに受診する必要があります。

まとめ

赤ちゃんが吐き戻すと焦ってしまうかもしれませんが、基本的に体重が順調に増えていれば心配はいりません。ただし、吐き戻し以外に下痢などの気になる症状があるときや、噴水のように勢いよく吐くときや体重が増えていないときなどはすぐに病院を受診しましょう。

【プロフィール】

石戸谷尚子先生

石戸谷尚子
小児科 | 石戸谷小児科 院長
医師、医学博士。1981年徳島大学医学部を卒業後、東京慈恵会医科大学小児科入局、都立母子保健院及び慈恵医大付属第3病院勤務を経て1995年現職に。日本小児科学会認定 小児科専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医、日本血液学会認定 血液専門医。

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