母乳育児で乳首が切れるのはなぜ?切れたときの正しいケア方法と授乳方法を助産師が解説

産後間もない時期は、赤ちゃんもママも授乳に慣れていないのでおっぱいのトラブルが起こりがち。なかでも多いのが「乳首が切れてしまって、吸われると痛くてつらい」という声。毎日のことだから痛みを感じるのはつらいですよね。

そこで今回は、杏林大学保健学部看護学科の准教授で助産師教育に携わっている加藤千晶先生に乳首が切れる理由、切れたときの対処法などを教えて頂きました。

乳首が切れるのはなぜなの?

乳首が切れてしまうおもな原因は次のとおりです。

【原因1】赤ちゃんが浅く吸っている

赤ちゃんがおっぱいを飲むときにママの乳首を口の深くまでくわえていないと、傷ができやすくなります。赤ちゃんが大きな口を開けたときに乳首を深くふくませましょう。また、そのためには赤ちゃんのからだ全体がママのおっぱいと平行で、ねじれがない状態であることも大切です。授乳姿勢に無理があると、赤ちゃんも吸いづらくなるので正しい授乳姿勢を心がけてくださいね。

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【原因2】赤ちゃんの口から乳首を外すときに引っ張っている

ママと赤ちゃん1

授乳が終わったら赤ちゃんが自然に乳首を離すとよいですが、離さないこともありますよね。しかし、圧がかかった状態で乳首を引っ張ってしまうと乳首を傷めてしまいます。外すときは、しっかり圧を抜くのが基本です。

赤ちゃんが吸っているときに外す場合は、赤ちゃんの口角から清潔にしたママの小指を入れ、赤ちゃんの口に空気を入れて、圧が抜けたときに乳首を外しましょう。赤ちゃんが休憩するタイミングがあればそのときに外すほうがよりよいですね。

【原因3】授乳時間が長すぎる

産後1週間以内などはママも赤ちゃんも授乳に慣れていない、また母乳の出がよくないなどが理由で時間が長くなりすぎることがあります。赤ちゃんの口に乳首がずっと含まれて吸われていると、乳首の皮膚はふやけて傷つきやすくなってしまいます。

1回の授乳は左右あわせて20分~30分を目安にして、休憩が長いようなときは授乳を切り上げてみましょう。

しっかり飲めているか不安な場合は、赤ちゃんの体重増加をチェックするとよいですね。裸の赤ちゃんをママが抱っこしたまま体重を測り、そこからママの体重をひくとだいたいの赤ちゃんの体重が分かります。気になっても1週間に1回くらいで十分です。

乳首が切れたときの対処法(乳首のケア)

ママと赤ちゃん2

乳首が切れたり授乳のときにヒリヒリとした痛みを感じたりするときは、授乳時間を短くする、あるいは搾乳した母乳を哺乳瓶で与えるなどして、乳首を休ませるのが基本です。

また授乳をしていないときはクリームやオイルを塗って保護しておくとよいですね。ブラジャーや母乳パッドなどが触れたときの痛みを防ぐ効果も期待できます。よくなったと思っても乳首が乾燥していると傷がつきやすので、授乳中は定期的に塗っておくと安心です。乳首ケア用のクリームやオイルは赤ちゃんが舐めても問題のない成分でできているのでそのまま授乳することもできます。

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乳首が切れたときはどうやって授乳すればいい?

前述したとおり乳首の傷を治すには、赤ちゃんに乳首を吸われることをお休みさせることが大切です。母乳を搾乳して授乳しましょう。搾乳した母乳は冷蔵庫で保管して次の授乳のときに湯煎で温めて飲ませてあげてください。授乳が終わったら次に備えて搾乳しておくとよいでしょう。

どうしても哺乳瓶では飲まない、それほど痛くないなどのときは、乳頭保護器で乳首をカバーして授乳する方法もあります。赤ちゃんが傷に触れることなくおっぱいを吸うことができるので、痛みを感じにくくなります。

ただし、サイズが合っていない、フィットしていないなど誤った使い方をすることで、かえって乳首の傷を悪化させてしまうことがありますので、正しいサイズや使い方を事前に確認しましょう。

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まとめ

乳首トラブルがあると母乳をあげることがストレスになってしまいますよね。できるだけ傷が浅いうちに乳首を休ませてあげましょう。搾乳は慣れるまで大変と感じるかもしれませんが、コツをつかめば大丈夫。搾乳器を使ってもよいでしょう。なかなか傷がよくならなかったり、搾乳がうまくいかなかったりして悩んだら、母乳外来や母乳相談室などで相談しましょう。

みなさんが少しでも授乳のストレスを減らして母乳育児を楽しんで頂けるよう願っています。

【プロフィール】

加藤千晶先生

加藤千晶
杏林大学保健学部看護学科 准教授
助産師として約10年大学病院にて勤務。その後、看護・助産教育に約15年携わり、産科病院にて看護部長を経験。現在、杏林大学保健学部看護学科准教授として助産師教育に携わっている。

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