母乳をあげていたら乳首に傷ができ授乳の度に痛い思いをしたり、乳首の長さが足りずに赤ちゃんが飲みづらそうにしていたり、授乳の悩みを抱えているママは多いと思います。そんなとき「乳頭保護器」があると役に立つことがあるそうです。
今回はみき母乳相談室を運営する助産師の榎本先生に乳頭保護器の正しい使い方やコツを教えていただきました。
授乳時のトラブルに乳頭保護器って必要?どういうときに使うの?
乳頭保護器はママの乳首をシリコン製のカバーを装着して保護するもの。
なんらかの理由で直接赤ちゃんが吸うことができない場合に使用します。たとえば、授乳により乳首に傷ができてしまったときに、赤ちゃんの口に傷が触れることなく授乳することができるので痛みを軽減できる場合もあります。また、扁平や陥没など乳首の形により赤ちゃんが上手に吸えないときにも赤ちゃんが吸いやすい形にすることで授乳をサポートします。
どうやって選べばいい?
乳頭保護器は、乳首のサイズ、傷の痛み、乳首の形など状況に応じて合うものを選ぶとよいですね。
ソフトタイプだとS・M・Lなど複数のサイズが展開されているものがあります。ママの乳頭の直径を測って、乳頭よりも少し大きめの乳頭保護器を選ぶと装着しやすいでしょう。扁平乳頭は乳頭部が大きい場合が多く、Lサイズを使用する方が多いようです。
乳頭保護器の正しい使い方やコツ
正しく使用しないとかえって乳首に傷ができてしまい痛い思いをしたり、赤ちゃんがうまく飲めなかったりとトラブルにつながります。
まずは自分の乳頭の直径を測り、乳頭のサイズと乳頭保護器が合っているかを確認しましょう。乳頭より少し大きいぐらいがおすすめです。また、乳頭がかたくて母乳の出がよくない場合は、乳頭マッサージをして張りをとってやわらかくしたり、乳房を温めて母乳の流れをよくしたりするのもよいでしょう。
装着時は、通気孔になっているくぼみのある部分を上にします。その際、乳頭保護器を裏返すようにしてから乳頭にあてるのがポイント。密着して外れにくくなります。冬などの乾燥した季節では、乳頭保護器をお湯に入れて少し温めると、やわらかくなってフィットしやすくなるでしょう。
授乳するときはずれないよう手でおさえながらおこないます。授乳前に乳頭保護器内に母乳を少したらしておくと、赤ちゃんが誘われて飲みやすくなることも。
使い終わったら沸騰、レンジ、薬液などメ―カ―の使用方法に従って消毒をして保管してくださいね。
なお、乳頭保護器を装着してもうまく赤ちゃんが飲めていないと感じるときは、母乳が溜まっておっぱいが張ってしまう可能性があるので1日数回程度の搾乳をしておくと安心です。また、母乳外来や母乳相談室などに赤ちゃんの飲んでる様子を見てもらい、相談しましょう。
関連情報:スムーズな授乳生活をサポート「乳頭トラブルSOS!」
まとめ
母乳育児をしているママにとって、乳首の形や傷などによるおっぱいのトラブルはストレスの原因になりがちです。授乳は毎日のことなので負担を軽くしたいですよね。
いつかは赤ちゃんの成長によって上手に吸えるようになったり、乳頭の傷が治って痛みがおさまったりする場合もあります。乳頭保護器を上手に活用して少しでも快適な授乳生活を送ってくださいね。
【プロフィール】
榎本美紀
2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。病院勤務での経験を元に、地域の母乳育児を支援している。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたる。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受け付けている。自身も一児の母として子育てに奮闘中。
「みき母乳相談室」