離乳食が始まると、授乳とのバランスや離乳食の食べ具合などに悩むこと、疑問に思うことが出てくるのではないでしょうか。そこで、相模女子大学栄養科学部健康栄養学科の堤ちはる教授にママやパパのよくある悩みや疑問を相談してみました。
離乳食と授乳のバランスのママたちのよくある悩み(Q&A)
【相談1】離乳食をたくさん食べて、母乳もたくさん欲しがる場合、母乳は早く卒業したほうがいいの?
基本的に母乳は赤ちゃんが欲しがるだけ飲ませて構いませんので、卒乳を急ぐ必要はありません。
ただし、母乳ならいつでも飲ませてOKということではなく、空腹感を感じられるように授乳のリズムに沿って赤ちゃんが飲みたいだけ飲ませることがポイントです。泣いたときはおっぱいではなく抱っこや遊びで落ち着かせるなどして、授乳のリズムを優先させてくださいね。
【相談2】離乳食をあまり食べず、母乳を飲んでばかり。どうしたらいい?
どのぐらい離乳食を食べているかにもよりますが、基本的には生後9ヵ月ごろまではそのまま授乳のリズムに合わせて授乳を続けます。9ヵ月ごろを過ぎると離乳食から摂るエネルギーや栄養素がこれまでより多く必要になるので離乳食が進むように以下のような工夫が必要です。
離乳食を食べない原因はそれぞれ違うので、少しずつ試してみてはいかがでしょうか。
・母乳を徐々に減らして空腹感が増すようにしてみる(空腹感で食べが進むこともあります)
・味付けを変えてみる(味付けの好みが変わってきたのかもしれません)
・同じ食材でも調理方法を煮る、蒸す、焼くなどで変えて出し続けてみる(その食材に「慣れる」ことで食べてくれるようになることも)
成長とともに食べるようになることもあるので、焦らずに様子をみてくださいね。
【相談3】離乳食を食べたあと母乳をあげると嫌がったり飲まなくなったりするように。赤ちゃんに合わせていいの?(生後9ヵ月)
すでに3回食に進んで離乳食をよく食べているようであれば、離乳食後の母乳は与えてみて、飲まなければ無理に飲ませなくても問題のないことがほとんどです。水分の不足が気になるようであれば、食後に麦茶や湯ざましなどをあげてみてもいいですね。
なお、栄養素等の観点からは、離乳食後の授乳はやめても、朝や夜などの授乳は1才まで続けるのがおすすめです。
【相談4】急に離乳食を食べず母乳を欲しがるようになったがどうすればいい?(生後8ヵ月)
まだ母乳を必要とする時期で、赤ちゃんには母乳を飲みたいという欲求があるのは自然なこと。また赤ちゃんにも食べたい気分のときとそうでないときがあるので、急に離乳食を食べなくなるということもあります。大人にもなんとなく食べたくない日もありますよね。
そこで、基本的には離乳食や授乳の生活リズムは変えずに、また離乳食を食べることを無理強いしたりせず、食べあきた様子がみられたら食事を切り上げるようにします。
ただし、食の体験は必要なので、【相談2】でご紹介したように味付け、調理方法などを変えながらいろいろな食材を試してみましょう。気が付いたらまた食べるようになっていた、ということもよくあるので「そのうち食べるようになるだろう」というおおらかな気持ちで見守ってくださいね。
【相談5】離乳食後に授乳をしたいが、おっぱいを欲しがって離乳食を食べません。おっぱいが先じゃダメ?
「離乳食が先で授乳が後」といわれるのは、空腹が感じられた状態の方が離乳食の食べがよくなるためです。ですが、おなかが減ると赤ちゃんの機嫌が悪くなることがありますよね。
そんなときは先におっぱいをあげて構いません。赤ちゃんの心を満たしてあげてから離乳食をあげたほうが、赤ちゃんの機嫌がよくなって離乳食を食べてくれるかもしれません。
赤ちゃんは一人ひとり異なりますし、その日によって気分も変わるものです。育児書通りにいかないことがあるのは当たり前と思って、赤ちゃんに合わせて対応してくださいね。
まとめ
離乳食の時期は、ママやパパが離乳食に関する知識を身につけて、赤ちゃんが食べることに慣れていけるようサポートしてあげる必要があります。ですが、赤ちゃんのペースに合わせてゆったりとした気持ちでいること、赤ちゃんに食事は楽しいと思えるようにしてあげることがなにより大切なことです。
離乳食と授乳のバランスは大丈夫かしらと思っても、赤ちゃんは一人ひとり違うのであまり焦らなくて大丈夫。赤ちゃんの気持ちに寄り添いながら赤ちゃんのペースに合わせて、食事や授乳の時間をゆったりと楽しんで過ごせるといいですね。
関連情報:離乳食をはじめたら母乳量はどうすればいい?バランスや授乳のタイミングを専門家が解説
【プロフィール】
堤ちはる
相模女子大学 栄養科学部健康栄養学科 教授
日本女子大学家政学部食物学科卒業、同大学大学院家政学研究科修士課程修了。東京大学大学院医学系研究科保健学専門課程修士・博士課程修了。保健学博士、管理栄養士。青葉学園短期大学専任講師、助教授、日本赤ちゃん家庭総合研究所母子保健研究部栄養担当部長を経て、現職。専門は母子栄養学、保健栄養学。監修書籍に、「あんしん、やさしい最新離乳食オールガイド」(新星出版社、2019)、「食と栄養相談Q&A」(診断と治療社、2018)、「すききらいなんてだいきらい」(少年写真新聞社、2016)など。
<関連情報>離乳食と母乳の関係って?など楽しい離乳食の始め方をご紹介(監修:川口由美子先生)↓