夏の授乳、「暑くて大変」「蒸れてしまう」「汗でベトベトする」などで悩むママは多いようです。大人にとっても夏の暑さはこたえますが、赤ちゃんは大人よりも体温が高いためさらにつらいかもしれませんね。
そこで、暑い夏に快適に授乳をするコツを、国際ラクテーションコンサルタントとして母乳育児を支援している助産師の榎本先生に教えていただきました。
夏の授乳でよくあるトラブル
授乳時はママと赤ちゃんは密着しているため、蒸し暑い夏の授乳では、蒸れたりお互いの体温でさらに暑くなったりして、ママも赤ちゃんも汗びっしょりになってしまうことがあります。予防策なしでは、お互いの汗がくっついてベタベタして不快に感じることでしょう。
また、ママは母乳に水分をとられるため、水分不足に気を付けなくてはいけません。とくに夏は、汗を大量にかくとからだの中の水分や塩分を失って熱中症を引き起こしてしまうことがあります。夏の授乳においては、ママは水分不足にならないよういつも以上に気にかける必要があります。
夏の授乳を快適にするためのコツ
夏の授乳をトラブルなく快適にするためのコツをお伝えします。環境や状況によって試してみてくださいね。
・水分補給をしっかりおこなう!
ママの水分が母乳にとられたり、大量の汗をかいたりすることで、ママは水分不足になりがちです。そこで、熱中症や脱水症予防のためにも1日に2リットルほどの水分を摂取しましょう。飲み物だけで補うのは難しい場合、食事の際に味噌汁や野菜スープなどの汁ものをとるようにするとよいですね。
・ママも赤ちゃんも通気性のよい衣類にする
夏は薄着でいることと、綿や麻などの通気性や速乾性の高い洋服を着ての授乳がおすすめですが、肌着の選び方も工夫するとよいでしょう。
赤ちゃんには通気性や放湿性にすぐれている綿やフライス素材などの肌着を、ママも吸水性や速乾性の高い肌着を着るのがおすすめです。肌着が汗の蒸発を助けてくれるので、肌着を着た方がより快適に過ごせます。
・母乳パッドは定期的に替えて、肌荒れを防止!
母乳そのものには殺菌作用があるのですが、夏は体温の高さが影響して、母乳や汗を吸収した母乳パッドには雑菌が繁殖しやすくなります。
そこで母乳パッドはこまめに交換することが大切です。最低でも授乳時には交換しましょう。
・授乳中にタオルにくるんだ保冷剤を活用する
授乳中は外出先であれば授乳ケープを使用していたり、ママと密着していたりするため、赤ちゃんの体温はさらに高くなります。そこで、保冷剤をタオルなどでくるんで赤ちゃんの背中にあてたり、ママの腕に置いて赤ちゃんの首にあてたりして赤ちゃんのからだを冷やしてあげましょう。
冷え過ぎないように赤ちゃんの様子を見ながら調整してくださいね。
・タオルや授乳クッションを利用して肌が触れ合う部分を少なくする
赤ちゃんとママの肌が密着するところはとくに汗をかきベトベトしてしまうため、密着するところにタオルを敷いて授乳しましょう。タオルが汗を吸収してくれるので、赤ちゃんにとってもママにとっても快適に。または、授乳クッションを利用するのも、肌が直接触れる部分を少なくできるのでおすすめです。
・空調を強めにして涼しくしてから授乳する
授乳中はお互いの体温で授乳前よりも暑く感じます。そのため、授乳する前に「普段よりも少し涼しい」と感じるぐらいに空調を整えておくと、授乳が快適になるでしょう。
・携帯用ファンを正しく利用してからだを冷やす
外出先などで暑さが厳しい場合、携帯用ファンを利用するという方法があります。
ただし、汗はもともと蒸発するときに体温を下げる役割があるのですが、暑い環境下でただ風を送ると汗だけが乾いて体温が上がったままになり、かえって熱中症のリスクを高めてしまいます。
そこで、赤ちゃんの首に汗の代わりとなる水分を含ませたタオルを巻き、タオルに風を送りましょう。気化熱でタオルが冷たくなり、赤ちゃんのからだを冷やしてくれますよ。
まとめ
夏の授乳とひとことで言っても、家で授乳するときと外出先で授乳するとき、また日中か夜間などの時間帯によっても暑さや不快感は違うと思います。状況に応じて、ママがよさそうだなと感じる対策があればぜひ試してみてくださいね。
ママと赤ちゃんの大切な授乳タイムが心地よいものになるよう願っています。
【プロフィール】
榎本美紀
2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。病院勤務での経験を元に、母乳育児支援の国際ライセンスである国際ラクテーションコンサルタントとして、地域の母乳育児を支援している。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたる。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受け付けている。自身も一児の母として子育てに奮闘中。
「みき母乳相談室」