以前の日本は、おじいちゃんおばあちゃんが同居する家庭が多かったけれど、都市部などでは核家族が多く、育児のスタイルも変わってきているようです。近くに頼れる人がいないと、パパの仕事中、ママは赤ちゃんと二人きりでいる時間が長くなります。
子育てにストレスがたまっているママはもちろん、子育てを楽しんでいるママであっても、一人で外出したい気分のときもあるのは自然なことですよね。一人の時間をもつことで、赤ちゃんとの時間がより愛おしいものになったという声も聞きます。
一方、母乳育児まっただ中のママは、「どうやって一人で外出したらいいの?」「外出中、おっぱいはどうしたらいいの?」という悩みや疑問もあるようです。そこで国際ラクテーションコンサルタントとして母乳育児を支援している助産師の榎本先生に、母乳育児中のママが一人で外出するための準備や外出中のおっぱいのメンテナンスについて教えていただきました。
授乳中のママが赤ちゃんを預けて外出するときに必要な準備
母乳育児をしていると、預け先が見つかってもママ一人で外出することを難しく感じるかもしれません。ですが、次の4つの準備をしておくと安心してお出かけができると思います。
1)搾乳して搾母乳を保存しておく(またはミルクを用意しておく)
おっぱいが張ってしまうのを防ぐために、外出する時間の長さによっては外出先でも搾乳が必要です。3時間程度の外出であれば、家を出る前に授乳か搾乳をしておくと外出先で搾乳せずにすみますが、長時間の外出であれば、家を出る前だけでなく外出中に3~4時間ごとの搾乳をおすすめします。
また、外出中、パパや家族など赤ちゃんの預け先に授乳を代わってもらうことになるので搾母乳を保存しておきましょう。普段から余った母乳を搾乳して冷凍保存しておくと便利ですね。冷凍なら3ヵ月程度目安で保存しておくことができます。
搾母乳が足りなかったり搾乳が難しかったりする場合は粉ミルクと哺乳瓶、あるいは液体ミルクなどを用意しておきましょう。
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2)家族に授乳方法やタイミングなどを伝えておく
ママが外出中、赤ちゃんのお世話をするパパなどに、搾母乳やミルクの授乳量やタイミングの目安、与え方などについて説明しておきましょう。離乳食が始まっている場合は、離乳食と授乳のタイミングも伝えておくと安心ですね。
混合育児などで普段からパパが授乳に慣れていれば問題ないと思いますが、完全母乳育児でパパが授乳することに慣れていない場合はとくに詳しく伝えておきたいですね。
3)行政サービスや一時預かり保育などについて調べておく
パパや家族に赤ちゃんを預けることができない場合は、住んでいる自治体がおこなっている公的サービスを調べてみましょう。ファミリーサポートや公立保育園では一時預かりをおこなっているところも多いようです。いずれも事前に登録など手続きが必要で、使用条件などもあるので妊娠中や外出が必要になる前からリサーチしておきましょう。
保育園のように育児のプロがいるところであれば、授乳にも育児にも慣れているだけでなく、育児相談にものってもらえるので心強いのではないでしょうか。
4)赤ちゃんが哺乳瓶やコップやスプーンで飲むことに慣らしておく
母乳育児で哺乳瓶に慣れていない赤ちゃんの場合、哺乳瓶の乳首を嫌がることがあります。赤ちゃんには順応性があるので、ママがいなければ飲んでくれるということもありますが、全然飲めなかった、ということもありえます。そこで外出する前から哺乳瓶に慣らしておくと安心です。月齢によってはコップやスプーンで飲む方法を練習しておくのもおすすめです。
ただし、まだ母乳育児が確立していないときに哺乳瓶に慣らそうとすると、乳首の違いに乳頭混乱を起こしやすく、おっぱいを飲まなくなってしまうことも。母乳育児が軌道に乗ってから慣らすようにしましょう。
外出中のおっぱいのメンテナンスはどうする?
外出中はおっぱいが張るのを防ぐため、3時間以上の外出であれば3~4時間間隔でタイミングを合わせて搾乳しましょう。通常の授乳間隔がもっと長いようでしたらいつもの授乳時間に搾乳してみましょう。
必要な持ち物はタオルや母乳を入れる容器。搾乳器があると搾乳の時間を短縮し、労力も軽減できます。手動式搾乳器や電池式の電動式搾乳器であれば、外出先で電源がなくても使用できてコンパクトなので持ち運びに便利でしょう。また母乳パッドをつけていくこと、取り換え用の母乳パッドを持っていくことも忘れないようにしてください。
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ママこそ息抜きは必要!ママは自分のことも大切にしよう
病院や仕事など必要に迫られて外出する方もいると思いますが、息抜きのための外出もママだって必要ですよね。
外出したいけれど長時間だと赤ちゃんのことが気になってしまうというママは、1~2時間カフェに行ったりお買いものに行ってみたりしてはいかがでしょうか。短い時間でも一人の時間をもつことでストレスが解消できた、リフレッシュできたというママはたくさんいます。赤ちゃんを預けて友だちとランチしたり、オシャレを楽しんだり、美容院に行ったり、いろいろな息抜きの方法があるでしょう。
ママがストレスを溜めすぎず笑顔でいると、赤ちゃんもうれしくなるはず。赤ちゃんの順応性を信じて、ママも自分のことを大切にしながら育児を楽しんで頂けるよう心から願っています。
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【プロフィール】
榎本美紀
2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。病院勤務での経験を元に、地域の母乳育児を支援している。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたる。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受け付けている。自身も一児の母として子育てに奮闘中。
「みき母乳相談室」