うちの子の授乳時間、長すぎる?短すぎる?適切な授乳時間はどう判断すればいい?【助産師監修】

母乳育児は戸惑うことや、これでいいの?と不安になることが多いですよね。1回の授乳にかかる時間に関しても、自分たちのペースが長すぎないか、短すぎないかなど、判断に迷うママも多いようです。そこで、母乳相談室を開業している助産師の榎本さんに、月齢別の授乳時間の考え方、適切な授乳時間の目安、授乳時間が長いとき、短いときの対処法などを教えていただきました。

1回の授乳時間の平均は!?

おっぱいを飲む赤ちゃん

赤ちゃんがおっぱいを飲む量やペースは個人差があるので、あまり飲むのにかかる平均の時間にとらわれる必要はありません。とはいえ、時間が短すぎたり、長すぎたりしてないか、不安になることもあると思います。そこで、月齢別の授乳にかかる時間や捉え方についてまとめました。

・新生児(0ヵ月ごろ)~1ヵ月ごろまで

新生児期の赤ちゃんは胃の容量がとても小さく、一度にたくさんの量を飲めません。ママの母乳の出もまだよくないことが多いので、赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけ飲ませる自律授乳をすることが大切です。赤ちゃんはたくさん吸うことで飲むことに慣れていきますし、またママも、たくさん吸われる分、母乳の出が良くなることが期待できるからです。1回の授乳時間も授乳間隔も短いので、1日に10回以上の授乳になることも多くなるでしょう。この時期は授乳時間や授乳間隔は気にしなくて大丈夫です。

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・2~3ヵ月ごろ

赤ちゃんがおっぱいを飲むのが上手になり、母乳の分泌もよくなることで、1回の授乳で飲む量が増えるため、授乳間隔が少しずつ空いていきます。母乳は消化が良く1時間半~2時間程度で半分以上を消化するといわれています。日中はこのぐらいの間隔になることが多いでしょう(この時期、夜間の授乳間隔は空いていきます)。

授乳のリズムが安定してくると、赤ちゃんは母乳を片方10分ほどで飲むといわれています。赤ちゃんが自然におっぱいから口を離すまで授乳を続けてから、反対側をあげるようにします。自分から離さない赤ちゃんの場合は、飲む力が弱くなったり、飲むのが休み休みになったりしたタイミングで、反対側に変えましょう。

・4ヵ月~1才ごろ

赤ちゃんの胃の容量は、生後4ヵ月で200mlほどの大きさになります。ただし、母乳育児の赤ちゃんが飲む量は、哺乳びんでの授乳の場合より少なめで1回につき100ml前後といわれています(個人差はあります)。4ヵ月以降、胃の大きさは1才ごろまで変わりませんが、成長とともに消化機能や吸収力がアップします。赤ちゃんが力強く飲めるようになることで、1回で飲む量が増えるため、飲むのにかかる時間や回数は減ってくる場合もあります。離乳食が生後5~6ヵ月ごろから始まるので、離乳食の進み具合も関係してくるでしょう。授乳回数や間隔、授乳時間の個人差は大きくなりますが、この時期は緩やかでも、成長曲線と同じようなカーブで増えているなら問題はないでしょう。

授乳時間の目安は月齢や体重だけでは決められない

笑顔の赤ちゃん

赤ちゃんは、必ずしも月齢や体重に比例してたくさん飲めるようになったり、飲むペースが早くなったりするわけではありません。月齢や体重に限らず、おっぱいを長飲みする子もいれば、短時間で飲む子もいて、個人差が大きいものなのです。また、赤ちゃんの体調や機嫌によっても、量やペースは変わりますし、離乳食が始まれば、その進み具合によっても変わります。病院などで指導された授乳時間は目安と考え、その日の赤ちゃんの気分やペースを大切に進めましょう。

また、母乳の分泌量によって、赤ちゃんが飲むのにかかる時間に変化が出る場合もあります。母乳の分泌は夜中から朝方に多く、夕方以降は減っていきます。そのため、分泌が多い朝の授乳は短時間に飲み終えることが多いといわれています。反対に、夕方から夜の授乳は、朝に比べれば長くなることもあります。

ママの分泌の特徴によっても授乳時間に違いが出ることがあります。たとえば、分泌の波が小刻みに来るタイプの場合は、小さい波が小刻みに強弱を繰り返しながら分泌するので、1回の授乳時間が長くなるかもしれません。大きい波が長く続いて一気に分泌するタイプの場合は、短くなりがちな印象があります。ただ、赤ちゃんのペースもあるので一概にはいえません。

授乳時間、どう判断して、どう対応するといい?

母乳の中の脂肪分は、飲み始め(前乳)と終わり(後乳)とでは脂肪分の量が異なっていて、後乳の脂肪は、前乳と比べて2倍程度あるといわれています。授乳時間が短すぎたり、授乳を時間で区切ったりしてしまうと、脂肪分の多い母乳を飲めない可能性があります。脂肪分が豊富な後乳まで飲ませることが、赤ちゃんの成長にとってとても大切です。片方のおっぱいを飲む時間は個人差がありますが、飲みたい量の7~8割の量を10分程度で飲むといわれています。短時間で飲み終える子、長く時間がかかる子は次のことを意識してみましょう。

短時間で飲み終わってしまうのはどんなとき?短時間でもOK?

新生児など月齢が低いうちは、片方のおっぱいだけ飲んだら寝てしまうことがあります。また、生後4ヵ月ごろになると遊び飲みが始まり、日中の授乳時間が3分程度の短時間で終わってしまうという場合もあるでしょう。でもその分、夜間にたくさん飲んだりして赤ちゃんは自然に調整しているといわれています。また、1回の授乳時間が短くても、回数が多い場合は、早いタイミングで後乳が出てくるので後乳まで飲めると考えられています。

もし、夜間も短時間で終わってしまう、回数が多くないようであれば、できるだけ後乳まで飲めるよう、両方のおっぱいをあげるのではなく片方のおっぱいをしっかり飲ませてください。そして次の授乳のときに反対側のおっぱいを飲ませましょう。

授乳時間が短いときがあっても、おしっこが1日に5~6回以上出ていて、体重が発育曲線と同じようなカーブで増えているなら問題はありません。1回の授乳時間ではなく、1日トータルして必要な量が飲めているかを確認できるといいですね。赤ちゃん用の体重計がなく、家庭で大体の体重を知りたい場合は、ママが赤ちゃんを抱っこして体重をはかり、そこからママの体重を引く方法が便利です。

飲むのがゆっくりで時間がかかる赤ちゃんの場合、終わりの目安は?

ゆっくり飲む赤ちゃんは30分ほどかけて飲むこともあるので、両乳房を飲み終わるのに1時間ほどかかることも。授乳に慣れないうちは、ずっと授乳している感じになり、大変と感じることもあるかもしれません。赤ちゃんが寝ているときはママも休んだり、おっぱいの様子によっては、搾乳した母乳や育児用ミルクをパパや家族が飲ませたりするといいでしょう。

赤ちゃんが30分以上吸い続けているなど、切り替えや終わりのタイミングがわからない場合は、次のサインが出ていないか確認してください。

1.吸う力が弱くなっている
2.休み休み吸っている
3.途中で休憩する回数が増えたり、合間に寝息をたてたりしている

これらのサインが見られたら、赤ちゃんはもう飲み終わっている状態だと考えられます。ママが赤ちゃんの口からおっぱいを外してみましょう。

母乳の分泌量が多くて赤ちゃんが飲むのに時間がかかっている場合、おっぱいの張りが強いときなどは、授乳前に搾乳するのがおすすめです。分泌がゆっくりになってきてから授乳することで、赤ちゃんは後乳を飲むことができるでしょう。または、授乳後に搾乳して後乳を飲ませる方法もあります。

まとめ

授乳時間は、ママと赤ちゃんそれぞれの親子によってさまざまです。今回お話したおっぱいの終わりのサインなどを参考に、赤ちゃんの様子をみながら2人のタイミングをみつけていってくださいね。

【プロフィール】

榎本美紀さん

榎本美紀
2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。病院勤務での経験を元に、地域の母乳育児を支援している。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたる。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受け付けている。自身も一児の母として子育てに奮闘中。
「みき母乳相談室」

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