ママがひとりでお出かけしたいとき、冠婚葬祭などで出かけなければならないとき、赤ちゃんの預け先は決まっても、その間におっぱいが張ってしまったらどうしたらいいか悩みますよね。外出先で搾乳するときのポイントを、助産師の榎本美紀さんに教えてもらいました。
ママがひとりで外出するとき、ママのおっぱいはそのままで大丈夫?
授乳リズムによって母乳が作られるので、授乳間隔によっては外出中に乳房が張ってくることもあります。おっぱいの張りや痛みを我慢すると、症状が悪化して乳腺炎になる可能性もあります。外出で授乳タイムに授乳ができないときは、搾乳などのおっぱいケアも行いましょう。お出かけ時間ごとのポイントを解説します。
短時間の外出の場合
タイミングが合うようなら、外出前に授乳を済ませておきましょう。母乳が漏れる心配がある場合は、母乳パッドをつけておくと安心です。
3時間程度の外出の場合
外出前に搾乳や授乳をします。帰宅後、タイミングが合えば授乳を。タイミングが合わずに乳房が張っている場合には、軽く搾乳をして次回の授乳に備えます。母乳が漏れる心配がある場合は、母乳パッドをつけ、予備も持っていきましょう。
3時間以上の外出の場合
外出前に搾乳や授乳をします。長時間の場合は、外出先での搾乳が必要な場合もあります。母乳が漏れる心配がある場合は、母乳パッドをつけ、予備も持っていきましょう。赤ちゃんの月齢が進んで、長時間授乳があいても乳房が張らない場合、外出する時間帯が普段授乳をしていない場合などは搾乳がいらない場合もあります。
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外出中の搾乳、どうすればいいの?
搾乳は手で搾る方法と、手動式・電動式の搾乳器を使う方法があります。短時間で搾乳を済ませたい場合や、搾乳時に母乳が洋服や周囲に飛び散るのが心配な場合は、搾乳器を持参しておこなった方がスムーズかもしれません。
大体のケースでは、外出先の搾乳は破棄することが多く、その場合は、トイレの個室でされている方が多いかと思います。乳房の張りが取れる程度に搾乳しましょう。
外出先で搾乳した母乳を持ち帰って帰宅後に飲ませる場合は、衛生面に気を付けることができる場所(授乳室や個室、車内など)で搾乳します。さらに消毒されたふた付きの容器や搾乳器、母乳パック、保冷剤や保冷バッグなどが必要です。外出先の環境の事前確認や、ママが搾乳のために必要な物を持ち運べるかどうかも考慮して外出の計画を立てましょう。
授乳室がある場合、そこで搾乳することができます。でも、授乳室が混んでいたり、急いでいたりする赤ちゃんとママがいたら、気を遣うかもしれませんね。状況を見て、譲り合いの精神で利用しましょう。個室がない場合には、授乳ケープなどをして、搾乳をするという方法もありますよ。
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外出先で授乳するときに準備するもの
搾乳した母乳を破棄する場合、搾乳した母乳を帰宅後に飲ませる場合、それぞれ準備するものと注意点を紹介します。どちらの場合も、胸元が開くなどの搾乳がしやすい服装がおすすめ。搾乳中に搾乳していない方の乳房から母乳が漏れる場合は、母乳パッドの予備を持っていくことも忘れないで。
搾乳した母乳を破棄する場合
紙コップ、キッチンペーパー、ビニール袋など母乳を搾って捨てられるもの、手に母乳がつくのでウェットティッシュなど拭けるものがあると便利です。手で搾乳するとまわりに飛び散ることもあるため、消毒しておいた搾乳器を持っていくこともおすすめです。搾乳器に付属した哺乳びんで母乳を受けられるので、スムーズです。いずれも、清潔な手でおこなう必要はありますが、母乳は破棄するので気楽におこなえますね。
搾乳した母乳を帰宅後に飲ませる場合
消毒したふた付きの容器、または母乳パックを用意します。搾乳器を使う場合は、消毒したものを使い、搾乳した後、母乳はふた付きの容器か母乳パックに移し替えましょう。
健康な赤ちゃんの場合、搾乳後、短時間であれば常温(16~25℃)保存で帰宅後にあげられます。保冷バッグに保冷剤などを入れたもので保存すればなお安心です。帰宅後は湯煎で人肌程度に温めてからあげてください。ただし、保冷バッグに入れていたとしても、4時間以上経ったものは雑菌が繁殖することがあるので、あげないようにしましょう。NICUなどに入院している赤ちゃんの場合は、1時間程度以内にしたほうが良いです。
また、持ち帰った搾母乳を冷凍・冷蔵保存するのは避けて、帰宅後にできるだけ早く飲ませましょう。
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まとめ
ママがひとりで外出することは気分転換になり、心身ともに大切なことでもあります。ひとりで外出するときは、まずは短時間から始めてみるといいでしょう。授乳は自分だけしかできないと思わず、冷凍母乳などをうまく活用し、出かけたいときはスムーズにパパにお願いできるような体制を整えておきたいですね!
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【プロフィール】
榎本美紀
2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。病院勤務での経験を元に、地域の母乳育児を支援している。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたる。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受け付けている。自身も一児の母として子育てに奮闘中。
「みき母乳相談室」