授乳中は肩こりが起こりやすい?母乳に影響するの?肩こりの原因と対策方法は?【助産師がアドバイス】

育児中は1日に何度も授乳や抱っこをするので、肩や背中に負担がかかりますよね。産後は睡眠不足や運動不足、ホルモン変化なども重なって、肩こりが起こりやすいようです。そこで今回は、オンラインで助産師サロンを運営する高杉絵理さんに、授乳中に肩こりが起こりやすい理由、母乳への影響、おすすめの肩こり対策などを教えていただきました。

授乳中、肩こりが起きるのはどうして?

おっぱいを飲む赤ちゃん

新生児期の赤ちゃんは首がすわっておらず、体もふにゃふにゃ。ママも授乳に慣れていないと、姿勢が崩れてしまうことがあります。肩や腕に力が入ったり、前かがみで背中を丸めたりして授乳をしていると、肩こりや背中のこり、腰痛などが起こりやすくなります。

慣れない育児や生活環境の変化へのストレス、夏場は冷房による冷え、抱っこや授乳で体を駆使することなども、肩こりが起きやすい原因だと考えられます。とくに哺乳瓶での授乳などで片方の腕や手を使い続けると、体の左右どちらかに負担が偏って発症しやすくなります。

また、乳房が張って重たくなったり、痛みを感じたりしている場合には、肩周りを動かす機会が減りがちで、肩の筋肉が張り続けて肩こりを発症するということも。産後の睡眠不足やホルモンの変化によるストレス、妊娠中からの姿勢の変化、お産で広がった不安定な骨盤も、肩こりの原因になるでしょう。

肩こりは母乳の出にも影響する?

胸元を抑えるママ

母乳はママの血液から作られています。乳房には大胸筋から血液が流れているので、肩こりや首こり、肩甲骨のこりなどで筋肉が緊張し、大胸筋まわりの血流が悪くなると母乳の出に影響します。肩こりだけでなく、サイズの合わないブラジャーで体を締め付けることも、血流循環を悪くする要因です。締め付けられている感じがある、外すと跡がついているなどがあれば、下着のサイズを見直しましょう。

また、肩こりが直接の原因とは言い切れませんが、肩周りの血流が悪くなると乳汁が乳房のなかに溜まってしまい、乳腺炎に移行することは考えられるでしょう。肩こりが続いたり、ひどくなったりすると、頭痛や吐き気、胃腸の不調など、体の不調に繋がることもあります。体の不調はメンタル不調を招くこともある、といった研究結果も出ています。たかが肩こりと侮らず、できるだけガチガチにこり固まる前に対処できるといいですね。

助産師がおすすめする4つの肩こり対策

ここでは、育児中のママたちにおすすめの肩こり対策をご紹介します。産後はなかなか自分のためだけの時間をとりづらいと思いますが、できることからやってみてくださいね。

対策1)正しい(ラクな)姿勢で授乳する

前述したように、授乳姿勢が崩れると肩こりしやすくなります。次の正しい授乳姿勢を意識して授乳するよう心がけましょう。

1.赤ちゃんの体は一直線で、ママのおなかと密着させる
赤ちゃんの頭、背筋、腰まで一直線になるようにして、赤ちゃんとママのおなかを密着させます。赤ちゃんの体全体を支えて、赤ちゃんの体がよじれないようにしましょう。

2.ママは前かがみにならないように注意
ママは前かがみにならないよう意識して、肩の力を抜いてリラックス。背筋を伸ばし、赤ちゃんの口におっぱいを近づけるのではなく、赤ちゃんをおっぱいに近づけるようにします。このとき、授乳クッションやバスタオルなどを使うと高さ調整しやすくなります。また、足台などに授乳側の足を乗せると、姿勢が安定しラクに授乳できます。肩が上がっていないか、わきがあいていないかも確認しましょう。

3.おっぱいを深くくわえさせる
赤ちゃんが口を開けたら、おっぱいを乳輪まで深くくわえさせます。含ませ方が浅いと、母乳の出が悪くなったり、乳首に傷ができたりするなどのトラブルを招きやすくなります。

いろいろ試しても肩こりがラクにならない場合や授乳姿勢に不安がある場合は、助産師訪問や母乳外来、母乳相談室などを利用して助産師に相談するといいですね。ママと赤ちゃんは一人ひとり異なるので、実際の授乳姿勢を助産師にみてもらうことで、どうしたらいいか適切なアドバイスが受けられるでしょう。

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対策2) ストレッチ

授乳やおむつ替え、抱っこや沐浴など、育児が始まると前傾姿勢になることが多くなります。肩周りだけでなく、胸を開くストレッチや脇腹を伸ばすストレッチなども取り入れるといいでしょう。簡単にできる、おすすめのストレッチを5つご紹介します。

産後の心身の不調レベルは個人差が大きいです。そのときの自分の体と相談しながら、無理はぜず、自分が心地よいと感じる程度・回数を行ってくださいね。

1.肩回しストレッチ
両手を肩に乗せてゆっくり肩を回します。外回し、内回しともに、肩周りがじんわりしたり、心地よいと感じたりする程度でOK。

2.胸を開くストレッチA
両手を真後ろに組んで斜め下に引き、胸を開きます。あごをあげるとより大きく胸が開きます。大きく息を吸って、ゆっくり息を吐きながら元に戻すようにして、息を止めないように注意しましょう。

3.胸を開くストレッチB
胸の前で手を合わせ、息を吸いながら合わせた手を上にあげます。両手で大きく円を描きながらゆっくり息を吐き、両手を元の位置に戻します。両手で円を描くときに、顔を上げながら行うとさらに胸が開いて効果的。息を止めずに、自分が心地よいと感じる回数行います。

4.脇腹を伸ばすストレッチ
左手を右斜め上に伸ばして脇腹を伸ばします。体が前に倒れないように注意して、脇ののびをしっかり感じましょう。呼吸は止めずに、気持ちよく脇が伸びるのを感じたら元に戻します。反対側も同様に。

5.背中のストレッチ
両手を胸の前で組んで、ボールを抱えるようにおへそを見ながら背中を丸めます。このとき息は止めずに、ゆっくり吐きながら丸めましょう。

忙しい育児の合間に時間を作るのはなかなか難しいと思いますので、授乳後の肩周りのストレッチを、短時間でもいいので授乳後にセットでおこなえるといいですね。また、料理の合間にストレッチをするなど、普段の生活の中で「ながらストレッチ」の習慣化もおすすめです。

対策3)湯船にゆっくりつかる

毎日湯船につかって、その日の筋肉のこりをほぐし、体を芯から温めることも肩こり対策になります。パパや家族と育児を上手に分担したり、行政のサポートを利用したりして、自分だけのリラックスタイムを整えられるといいですね。湯船では足や腕をさするだけでも、血行がよくなり疲れが癒えますよ。

対策4) 体を温める

飲み物は常温に近いものにして体を冷やさないようにしたり、根菜類や生姜など体を温める食材を意識してとったりするといいですね。首、手首、足首には、血流の多い血管(動脈)が皮膚の近くを走っています。血流が多い部分を温めると、効率よく全身の血液を温めることができると言われているので、体の「首」とつくところはなるべく温めましょう。

まとめ

私も育児中、とくに授乳中はひどい肩こり、背中のこりに悩まされた経験があります。痛みがあると、それだけで精神的にもつらくなってしまいますよね。肩こりを予防し、負担を軽減できるよう、今回ご紹介した方法を試してみてくださいね。みなさんが、授乳タイムを少しでもラクに楽しく過ごしていただけるよう願っています。

【プロフィール】

高杉絵理 さん

高杉絵理
看護師、助産師、保健師の資格を取得。国際ラクテーションコンサルタント。総合周産期母子医療センターの産科やNICU、産科クリニックで経験を積む。現在は世田谷区の保健センターで妊婦さんやママたちの相談業務に携わる。助産師にオンラインで相談できる「助産師サロン」も運営。先日お二人目をご出産され、2児の母としての育児も順調にスタート!
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