誰しも試行錯誤する修行期間?母乳育児の最初の1ヵ月とは?【助産師がアドバイス】

出産後、すぐに母乳育児がスタートします。最初の1ヵ月は、誰しも母乳育児に試行錯誤するころ。最初の1ヵ月は、どんなところが大変なのか、どう乗り越えればいいのかについて、一児のママであり、「助産師サロン」を運営する助産師の高杉絵理さんにお話を伺いました。

産後の1ヵ月間は母乳育児ママにとって修行期間?

おっぱいを飲む赤ちゃん

産後の子宮は6~8週間かけて元に戻ると言われています。特に産後1ヵ月間は、出産による疲労や心身の変化も大きく、そこに不眠不休で慣れない育児が始まり、十分な休息がとれないことで、ママの身体の回復にも時間がかかります。

母乳育児をスタートしたばかりの時期は、母乳は十分な量が分泌されるわけではなく、赤ちゃんもママも授乳に不慣れなため、1回の授乳に時間がかかったり、上手に飲ませられなかったりと、スムーズにいかないことのほうが多いかもしれません。また、赤ちゃんは胃の容量が小さく一度にたくさんの母乳を飲めないため、授乳は頻回になります。

そしてこの時期の赤ちゃんは、まだ昼夜の区別ができる脳の部分が育っていないため、まとまって寝なかったり、ちょこちょこと寝たり起きたりを繰り返します。そのため、「授乳が終わったと思ったのに、もう次の授乳になった」「授乳とおむつ替えを繰り返していたら1日が終わった」と感じる日々も少なくありません。

以上のことから、まさに初めの1ヵ月は母乳育児ママにとって修行期間と言えるでしょう。

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産後1ヵ月の母乳育児、どうやって乗り越える?

パパママと赤ちゃん

産後1ヵ月間の母乳育児を乗り越えるポイントは、以下の6つ。参考にしてくださいね。

1.欲しがったらあげる

生後2ヵ月ごろまでは、赤ちゃんが欲しがったらあげる自律授乳が推奨されています。そのため、1日の授乳回数が10回以上になることもありますが、頻回に授乳することで、ママも赤ちゃんも授乳が上手になり、母乳の分泌も増えていき、母乳育児が早期に確立していきます。

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2.短時間でもママは休む

頻回授乳のため、ママは睡眠不足になり、疲れがたまりがちです。赤ちゃんは、ちょこちょこと寝たり起きたりを繰り返す時期なので、授乳の合間にママもこまめに休息をとることが大切です。また、授乳中に分泌されるホルモンの影響で、短時間の睡眠でも身体がしっかり休息し、リラックスできる作用があるといわれています。

3.心配ごとは早めに専門家に相談

おっぱいや育児のことで困ったら、ひとりで悩まずに母乳外来や助産院などに早めに相談しましょう。1ヵ月健診までは、出産した産院に相談し、その後は新生児訪問や住んでいる地域の保健師に相談するといいでしょう。

新生児訪問では、助産師などの専門家が、赤ちゃんの体重増加をみてくれたり、育児の相談にのってくれたりします。また、ほかにも、今後の予防接種や健診のスケジュールなどの地域の子育て情報の提供をしてくれます。かかりつけの小児科の相談もできるでしょう。

特におっぱいの相談に関しては、飲ませ方が原因で母乳育児がうまくいっていないケースが多くみられます。早期に正しい飲ませ方に修正することで、ママも赤ちゃんもラクに授乳ができるようになるだけでなく、おっぱいのトラブルを予防することにもつながります。

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4.家族に授乳してもらう

産後の心身の回復のため、細切れでもいいので、少しでも多くママが休む時間を確保したいですね。搾乳した母乳を家族に飲ませてもらう、授乳以外の育児は家族に代わってもらうなど、家族に合った授乳スタイルを見つけて乗り切りましょう。

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さく乳しておいた母乳を保存しておくと、夜のパパに授乳してもらうことも。
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5.家事は家事サービスや宅配などを利用する

産後の心身を回復させながら赤ちゃんとの生活に慣れるために、妊娠中から以下のようなサービスの情報収集をしておくのがおすすめです。産後1~2ヵ月はパパも育休を取得するケースも増えてきていますから、家族のライフスタイルに合わせて、必要かどうか、いつから利用するかなどを検討してください。

・住んでいる自治体で利用できるサービス
家事支援サービス、ファミリーサポート(通称ファミサポ)、産後ケア事業(産後ケアセンター、産院や助産院などの産後入院や産後訪問の助成)など。

・民間で利用できるサービス
家事ヘルパー、ベビーシッター、産後ドゥーラ、産後ケア事業(ホテル、訪問など)、母乳相談(通院or訪問)、宅配、宅食など。

6.産後ケア施設を利用する

産後1ヵ月(特に退院後早期)は、お産の疲労が強く、傷の痛みや貧血、ホルモンの変化によるマタニティブルーなど心身の負担が大きい時期です。また、育児に不慣れだったり、うまく授乳できなかったりと、いろんなことを相談したい時期。そんなときに、専門家に一緒に見守ってもらいながら練習ができるととても心強いはず。助産師など専門家の常駐している産後ケア施設を利用することで、産後の心身の回復を助け、スムーズな育児への手助けとなるでしょう。

まとめ

産後1~2ヵ月ごろまでは、産後の疲労や傷の痛み、ホルモンの変化も大きく、心身ともに負担の大きい時期です。そのような中で、不眠不休で慣れない育児が始まり、ママは心身ともに疲弊してしまいます。私もこの時期は本当につらく、くじけそうになることも何度もありましたが、家族のサポートを得ながら乗り越えたことを覚えています。

頻回授乳は本当に大変ですが、徐々に赤ちゃんの胃の容量も大きくなってまとめて飲めるようになり、赤ちゃんに必要なだけ母乳が作られるようになって、授乳回数も授乳時間も減っていきます。母乳育児をされているママの多くに、「母乳はラクだよ」という時期がやってきます! また、この大変な時期を乗り越えたという自信がゆくゆくの育児への頑張りにも繋がっていきますよ。

【プロフィール】

高杉絵理さん

高杉絵理
看護師、助産師、保健師の資格を取得。国際ラクテーションコンサルタント。総合周産期母子医療センターの産科やNICU、産科クリニックで経験を積む。現在は世田谷区の保健センターで妊婦さんやママたちの相談業務に携わる。助産師にオンラインで相談できる「助産師サロン」も運営。自身も1児の母として育児に奮闘中。
オンライン助産師サービス「助産師サロン」

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