初めての授乳なのにおっぱいにトラブルがあると、赤ちゃんとコミュニケーションがとれる楽しい授乳の時間も、ツラい時間になってしまいますよね。今回は、おっぱいに傷ができてしまった場合にどう対処したらいいのか、小児科医の竹中美恵子先生に話を伺いました。
おっぱいに傷ができる原因は何ですか?
以下のような原因が考えられます。
・産後はホルモンのバランスが急激に変化するため、肌が敏感になりやすい時期です。赤ちゃんの強い吸引力によって痛みやかゆみが生じやすくなり、つい掻いてしまい、傷ができることがあります。
・授乳中は乳首が唾液で濡れている時間が長くなる分、乾燥しやすいため、亀裂を生じやすくなります。
・生まれたばかりの赤ちゃんは、ママのおっぱいをまだ上手に吸えずに、乳首に無理な力がかかってしまうことがあり、乳首の痛みや裂けの原因となることがあります。
・初めての出産直後のママは、母乳を出す乳管がまだしっかりと発達していないことがあり、おっぱいは張るのになかなか出ないということがあります。この現象が、赤ちゃんの吸引力をより強くさせてしまい、乳首を傷つけることにつながる場合があります。
どうやって対処したらいいのでしょうか?
私も出産を経験していますが、私自身、産後数日の間は乳首に出血するほどの亀裂が入り、痛くておっぱいをあげられないことがありました。
そんなときは、乳首に乳頭保護剤やワセリンを塗り、亀裂が生じないように時々ラップをかけて保護していました。しかし、その間も胸はパンパンに張ってしまい、母乳をあげたいという思いも強かったので、傷が悪化しない程度に強さを自分でコントロールしながら搾乳をし、取り置いた母乳を哺乳瓶などであげて対処していました。(※傷ができた時の搾乳方法については、事前にお医者様や助産師さんに相談しておくと安心です。)
最後に
おっぱいに痛みや亀裂が生じることがあっても、しっかりケアをすれば徐々に治っていくものです。焦らずに、今はこういう時期なんだと思い、必要に応じて粉ミルクなども活用しながら、無理をしないように過ごしてくださいね。
【著者プロフィール】
竹中美恵子
小児科医。 2000年広島大学附属高校卒業 アナウンサーになりたいと描いていた矢先に小児科医であった最愛の祖父を目の前で亡くし、医師を志す。
2009年 金沢医科大学医学部医学科卒業
以後広島市立広島市民病院小児科などで勤務。
2016年12月 女医によるファミリークリニックを開業(院長)、現在に至る。
日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属
日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得
小児慢性特定疾患指定医、難病指定医
2013年6月1日 広島テレビ 子育て応援団 すこやか2013 に出演
2014年 広島リビング新聞社 園児とママのための情報誌 えんじいな 「お医者さん教えて」コーナー連載
2014年より東京レインボータウンFM 「上野淳の東京☆夜会」にたびたび出演し、子供の心のトラウマ、アレルギー、子育て相談、母乳育児の大切さなどについて講話
2014年 日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める
また小児科医として臨床を行う傍ら数々の学会発表や論文執筆に尽力している