「母乳育児は頻回授乳が大切」と聞いたことがあるママも多いはず。そもそも頻回授乳とは何か?どうして頻回授乳が必要なのか?について、杏林大学の加藤准教授に教えていただきました。乗り切るためのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
欲しがるときに欲しがるだけ飲ませることで授乳が頻回に
産後すぐからスタートする母乳育児。母乳は赤ちゃんに吸われる刺激によって分泌が促されるため、母乳育児をスムーズにするために赤ちゃんが欲しがるときに飲ませる「自律授乳」が大切。その繰り返しで母乳育児が軌道に乗っていきます。
生まれたばかりの赤ちゃんは吸う力が弱く、一度にたくさんの母乳を飲めないため、1~3時間起きに母乳を欲しがります。そのため、新生児期では1日10回以上の授乳になることも多く、頻回に授乳することから、この時期の授乳は「頻回授乳」と言われています。
初めのうちは、ママも授乳に慣れていないため、「授乳したと思ったのに、またすぐに授乳……」となり、いつまで頻回な授乳が続くのかと不安になる方もいると思います。でも、「欲しがるときに飲ませる」を繰り返すことで赤ちゃんは上手におっぱいを飲めるようになり、次第にリズムがついていきますから安心してください。
生後2ヵ月ごろになると、母乳の分泌もよくなり、授乳間隔が少しずつあいてきて母乳育児が軌道に乗り始めます。そうするとママが生活していく中に授乳のタイミングを組み込むことができるので、こまめに体を休めながら、赤ちゃんのお世話をする生活を送るようにしましょう。
頻回授乳の必要性って?
1.母乳の分泌が良くなる
母乳は赤ちゃんに吸われる刺激で作られて、分泌も促されます。頻回におっぱいを吸うため、赤ちゃんも飲むのが上手になるのが早くなり、さらに母乳の出がよくなることが期待できます。
2.ママと赤ちゃんの絆が深まる
赤ちゃんの要求に応え、欲しがるときに飲ませることは、赤ちゃんにとっておなかが満たされるだけでなく、全身でママを感じて安心感や満足感を得られる機会。ママも母乳育児を通して愛情が一層増し、親子の絆が深まります。
頻回授乳が大変なときは?
頻回授乳の時期は、夜も数回起きて授乳をするため、ママはどうしても寝不足になりがちです。また、1日の疲れが出ることで、夕方以降に母乳の出が悪くなるときもあります。そんなときは、頑張りすぎずに家族に頼ることも大切です。夜まとめて眠りたいときや、母乳の出が良くない、たりないと感じるときは母乳を1回休んでミルクを飲ませたりするなどしましょう。
うまくいかないときは専門家に相談を
赤ちゃんが欲しがるときに頻回にあげていても、「体重の増えが良くない」「授乳後にいつもグズグズしている」といった場合には、母乳外来や産後の新生児訪問(助産師訪問)などで専門家に相談しましょう。おっぱいのくわえ方、授乳姿勢、ママのおっぱいの状態、赤ちゃんの体重の増えや健康状態などをトータルで見てもらえます。
母乳育児を続けるために、「軌道に乗るまでは母乳のあとにミルクをたす」「おっぱいトラブルのときにはおっぱい(乳房や乳頭)を休ませる」「赤ちゃんが上手に飲めないときは哺乳びんを使って、練習したりする」など、ママと赤ちゃんに合った方法をアドバイスしてくれますから、ママ1人で抱え込まずに早めに相談するのがポイントです。
現在妊娠中の方は以下の関連情報を参考に、赤ちゃんに深くおっぱいをくわさせる方法、飲みやすいおっぱいにするためのポイント、授乳姿勢にはどんなものがあるかなどを知っておくと、産後の母乳育児への心配が減りますよ。
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まとめ
赤ちゃんが生まれて、すぐそのときから授乳が始まります。出産の疲れが残りつつ、頻回授乳の始まりです。最初は思うように出なくて本当に出るようになるの? と疑問に思うかもしれませんが、赤ちゃんに合わせて頻回授乳を繰り返すことで出るようになるケースは多くあります。赤ちゃんと一緒に身体を休めながら、授乳をしていきましょう。ただし、無理は禁物。必要なときは家族や周囲を頼る、専門家に相談するなどして、できる限りニコニコ赤ちゃんに向き合える余裕は残しておきましょうね。
【プロフィール】
加藤千晶
杏林大学保健学部看護学科 准教授
助産師として約10年大学病院にて勤務。その後、看護・助産教育に約15年携わり、産科病院にて看護部長を経験。現在、杏林大学保健学部看護学科准教授として助産師教育に携わっている。
【赤ちゃんに直接おっぱいをあげられない時の、ひと工夫】
・母乳を搾って、保存ができると家族も母乳があげられます
「ピジョン母乳アシスト さく乳器」
・哺乳びんで授乳する時も、おっぱいの時と同じ口の動きで飲めるといいです
母乳育児にそっと寄り添う「母乳実感 哺乳びん」