ママやパパは子どもの歯並びがきれいになるよう願っていますよね。実は授乳姿勢と歯並びには関係があるそうです。そこで今回は、授乳姿勢が歯並びにおよぼす影響、また、歯並びをきれいにするための授乳姿勢について、助産師サロンを運営する高杉助産師に教えていただきました。
授乳姿勢は歯並びに影響する?
歯並びが悪くなるのには、大きくわけると遺伝的要因と、生活習慣などの後天的要因の2種類があるといわれています。後天的要因には食生活、呼吸の仕方、姿勢などのさまざまなものがありますが、そのうちのひとつが、授乳姿勢です。授乳姿勢は、赤ちゃんの口のなかの筋肉や顎の発達に大きく関係するため、歯並びにも影響がでてくると考えられています。
遺伝的要因については防ぐことはできませんが、生活習慣などの後天的要因によって起こるものは、正しく対策をおこなえばリスクを減らすことができます。
今回は授乳姿勢に焦点をあてて、歯並びをきれいにするためにできることをお伝えしたいと思います。
歯並びをきれいにする授乳姿勢
歯並びをよくするには正しい授乳姿勢でおっぱいをあげて、舌や顎など口周辺の筋肉を発達させることが大切です。とくにポイントとなる点は2つあります。
1) 赤ちゃんの体はまっすぐにする
赤ちゃんの体全体がママのおっぱいの方を向いている状態で、体がまっすぐでねじれていない状態にしましょう。そしてママと赤ちゃんのおなかを密着させます。また、座って授乳する際、ママは背筋をのばして赤ちゃんをおっぱいに近づけるようにすることも大切です。
このような姿勢は赤ちゃんに負担がなく、赤ちゃんが正しく吸うのに役立つでしょう。
2) おっぱいを深くくわえさせる
赤ちゃんが口を開いたら、乳首だけでなく乳輪部まで深くくわえさせましょう。ママの乳首が赤ちゃんの口の高さにくるようにします。吸っているときの赤ちゃんの唇が、外側に向かって開く、いわゆるアヒル口になっていれば正しくラッチオン(赤ちゃんがおっぱいを含むこと)ができているといえます。
まっすぐ深くくわえて吸うことは、母乳の分泌を促す効果を期待できます。また、それだけでなく、舌や唇の周辺の筋肉をしっかり使うため、顎の発達を促し、唇を閉じる機能や鼻呼吸も確立していきます。口呼吸には、口が乾燥するため虫歯になりやすい、舌が下方に下がるため歯並びにも悪い影響を及ぼすなどのデメリットがあるので、口呼吸を予防することが大切です。
*こんな授乳姿勢はNG!
・赤ちゃんの顔はおっぱいの方を向いているが、体は上を向いている
・赤ちゃんの頭がおっぱいよりも低い
・座って授乳する際にママが前かがみになっている
・赤ちゃんが乳首の先を吸っている
このような姿勢だと赤ちゃんは上手に吸うことができません。上手に吸えないということは、舌や唇の周りの筋肉がうまく働かず、発達を妨げてしまうことに。どうしてもうまくいかない場合は、母乳外来や母乳相談室などで助産師に相談してくださいね。
リンク:
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まとめ
授乳姿勢のほかにも歯並びに影響する要因はさまざまありますし、遺伝的要因もあるのであまり神経質になる必要はありません。ですが、正しい授乳姿勢には歯並びへのよい影響だけでなく、ママが疲れにくく赤ちゃんも飲みやすい、母乳分泌がよくなるなどさまざまなメリットがあります。正しい授乳姿勢を心がけ、赤ちゃんの舌や顎など口周辺の筋肉の発達を促しつつ、楽しい授乳タイムを過ごしてくださいね。
【プロフィール】
高杉絵理
看護師、助産師、保健師の資格を取得。国際ラクテーションコンサルタント。総合周産期母子医療センターの産科やNICU、産科クリニックで経験を積む。現在は世田谷区の保健センターで妊婦さんやママたちの相談業務に携わる。助産師にオンラインで相談できる「助産師サロン」も運営。自身も1児の母として育児に奮闘中。
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