哺乳びん乳首のサイズ選びと切り替えのタイミングって?

赤ちゃん用品のお店に行くと、さまざまなサイズの哺乳びん用乳首が並んでいるのを見かけます。

ピジョンの哺乳びん「母乳実感®」専用の乳首にも、哺乳期向けに5つのサイズ展開があります。生まれたての赤ちゃんはSSサイズの哺乳びん乳首を使い、徐々にサイズを切り替えていくのですが、どうして切り替えが必要なのでしょう。

ピジョンで赤ちゃんの哺乳に関する研究をしている赤ちゃんナレッジグループの阿部晃子さんに、哺乳びん乳首のサイズアップが必要な理由やサイズの切り替えの適切なタイミングについてお聞きしました。

赤ちゃんの発達や成長に合わせた乳首選びを

赤ちゃんは発達や成長によって、飲み方に以下のような大きな違いがあります。

0ヵ月~・SSサイズ

<新生児期>

生まれたての赤ちゃんは、本能で飲んでいます。原始反射の1つですが、とにかく生き延びなくてはならないので、唇に触れると乳首にくらいついて、グイグイっと飲むような力強さがあります。

一方、赤ちゃんもママもお互いが初めて同士で、授乳と哺乳を練習している時期でもあります。その慣れない哺乳でもきちんと飲めることが重要です。母乳実感哺乳びん乳首のSSサイズはママのおっぱいに近いやわらかさと流量になっています。

<1ヵ月健診を過ぎた頃>

赤ちゃんもママも授乳と哺乳に慣れてきて、少しずつ軌道に乗ってくる時期になると言われています。授乳と哺乳を楽しめる心の余裕も少しずつ出てくる時期ですよね。母乳実感乳首の1ヵ月頃からのSサイズは、やわらかいことに変わりはないのですが、SSサイズよりもしっかりとしたやわらかさになります。

<2、3ヵ月を過ぎた頃>

体がしっかりしてきて首も据わってくると、だんだん自分の意思でコントロールできるようになるので、自分のペースでときどき休みながら飲む様子が見られるようになります。

また、生後3ヵ月頃になると、遊び飲みが始まる赤ちゃんがいます。首が据わってくるので周囲のいろいろなものが気になり始めたりして、くわえていた乳首を急に口からはずすことがあるんですね。

そういったときに、哺乳びん乳首が丸穴だと、パッと口を離した瞬間に飲んでいた母乳やミルクがバーッとお顔にかかってしまうことがあります。そこで、母乳実感乳首の3ヵ月頃からのMサイズからは、乳首がきちんと赤ちゃんのお口に入って、舌運動をしたときだけに中身が出るよう、切り込みが入っています。

<6ヵ月頃>

6ヵ月頃からは離乳食が始まり、歯が生え始めます。そこで、母乳実感乳首のLサイズは乳首を噛みちぎられない強度になるように、丈夫なやわらかさに調整しています。

<9ヵ月頃>

9ヵ月のLLサイズの時期になると、卒乳に向かっていくママと赤ちゃんも増えて、食べ物と密接な関係になっていきますね。

こうした口腔機能の発達とともに、赤ちゃんのお口を開けたまま飲む状態から閉じて飲むようになっていくことが私たちの研究でもわかっています。そんなお口の機能や構造の変化があるので、哺乳びん乳首も切り替えていく必要があります。

サイズの切り替えの適切なタイミングって?

母乳実感哺乳びん乳首のパッケージには月齢による目安が書かれていますが、月齢はあくまで目安。母乳やミルクの出方が合っていないと赤ちゃんが嫌がるようになるので、それがきっかけの1つです。

ほかにも、飲むのに時間がかかったり、飲んでいるうちに疲れて途中で寝てしまったりして、いつもは飲める量が飲めなくなってしまう様子が見られたときも、サイズを切り替えるタイミングです。

乳首のサイズの切り替えの適切なタイミングには個人差があり、赤ちゃん一人ひとりまったく違います。正解は赤ちゃんが教えてくれるので、授乳時の赤ちゃんの様子を見ながら、サイズの切り替えの時期を見極めてくださいね。

哺乳びん乳首のサイズを変えたママやパパは、みなさん口を揃えて「赤ちゃんの成長発達に合ったタイミングで哺乳びん乳首を切り替えるのが大事なんですね」とおっしゃいます。

赤ちゃんの様子を見ていても、本当はもっと早く飲めるのに、母乳やミルクがゆっくりとしか出なかったために嫌がっていたのが、サイズを切り替えしたことで自分のペースで飲むことができて、ご機嫌なまま必要量を飲み切れたということはよくあるんですよ。

授乳の様子を哺乳モニターで見る

乳首のサイズの切り替えで注意したいこと

例えばSサイズからMサイズに切り替えるとき、Sサイズをすぐに捨てるのではなくて、SサイズとMサイズを交互に使ってみることをおすすめします。赤ちゃんのお口の中はとても敏感で、違いがとてもよくわかるんですね。

哺乳モニターをしていても「これはいつものと違う」というのを表情で見て取れることがあります。違うと感じても、それがよければ飲み続けますし、嫌な場合は赤ちゃんがちゃんと拒否してくれます。

そういう哺乳びん乳首は、その子には合っていない乳首なんだなということに気づきます。

普段の授乳時も、ぜひ赤ちゃんの様子を見ながらあげていただきたいですが、サイズを切り替えたときは、特にむせ込みがないか気をつけて見ていただきたいですね。

むせ込みがある場合は母乳やミルクの出る量が多く、ゴックンするのがついていけていない状態ですので、乳首のサイズを戻して様子を見てあげてくださいね。

飲み方や飲む量にも個人差がある

モニターを見つめる阿部さん

赤ちゃんの飲み方や飲む量も赤ちゃんによって異なります。
哺乳モニターをしていても、最初から終わりまでぐいぐい飲む赤ちゃんもいれば、最初はスローペースで、だんだんエンジンがかかって飲む赤ちゃんもいたりと、個人差は本当に大きいですね。

インターネットで検索するといろいろな情報が出てきてどれが正しいのか迷われる方もいらっしゃると思いますが、赤ちゃんがご機嫌で、必要な哺乳量を飲めていて体重の増加にも問題がなければ、教科書通りに飲めなくても大丈夫ですし、赤ちゃんに適した哺乳びん乳首を使えていると思って大丈夫です。

インタビューの中で「赤ちゃん一人ひとり個性があり、正解は1つじゃありません。大切なのは赤ちゃんの様子です」とお話しされていた阿部さん。このメッセージを、これから赤ちゃんを迎えるプレママやプレパパ、授乳中のママやパパにお伝えしたいと思います。赤ちゃんの様子を見ながら、赤ちゃんにとって最適な哺乳びんの乳首を選んでくださいね。

関連情報:
成長や発達に合わせてサイズが選べる「母乳実感」哺乳びんラインアップ

母乳実感バナー

小さなサイズの哺乳びんが教えてくれる育児の喜び

取材・文/羽田朋美(Neem Tree)

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