搾乳器を使用したあとは、早めに搾乳器を洗うことが推奨されています。それは、母乳にはたくさんの栄養が含まれているので、搾乳器などに母乳が残っていると雑菌などが繁殖してしまうから。清潔を保つために洗浄・消毒は大切なことなのです。
そこで今回は搾乳器の正しい洗い方、消毒の方法について「助産師サロン」を運営する助産師の高杉絵理さんに教えていただきました。
搾乳器は「洗浄+消毒」でしっかりケアを
搾乳器の洗い方ですが、基本は「洗浄+消毒」。消毒は赤ちゃんの免疫力の弱い生後3ヵ月~4ヵ月頃まででOKといわれていますが、赤ちゃんの体調がすぐれないとき、梅雨どきや夏場などの細菌が発生しやすいシーズンなどは月齢に関係なく消毒もおこなうと安心です。また、搾乳した母乳を冷凍保存して長期保存したい場合も、使う搾乳器は消毒しておきましょう。
なお、赤ちゃんを保育園に預けていて、日中、職場で搾乳した母乳を捨てるために搾乳する方もいると思います。その場合は搾乳した母乳を赤ちゃんに飲ませるわけではないので搾乳器を消毒する必要はなく、洗っておくだけで構いません。
搾乳器の洗い方
さっそく搾乳器の洗い方について説明します。
用意するもの
・赤ちゃん用洗剤または食器用洗剤
・やわらかいスポンジ
・細いブラシや小さなスポンジ
洗い方
1.搾乳後はすぐに搾乳器を分解して、びんやパーツについた母乳を水道水でよくすすいでからぬるま湯につけます。小さなパーツもあるのでなくさないよう気を付けましょう。
2.びんやカップの内側、外側を洗剤をつけたスポンジでよく洗います。また、その他のパーツもやさしく洗います。スポンジなどを使えず指でもみ洗いする場合もあるので、ガイドラインをよく確認しておきましょう。
3.びんも各パーツもよく洗ったら流水でしっかり洗い流して、水気を振り切ります。
4.最後に、使ったスポンジも洗って乾かしておきましょう。
消毒の方法
消毒方法はおもに薬液消毒と煮沸消毒の2種類あります。それぞれの方法は次のとおりです。
*薬液を使って消毒する方法
用意するもの
・消毒液
・水で薄めた消毒容液を入れる容器
・トング(必須ではありません)
消毒の仕方
1.すべてのパーツが完全に浸る大きさの容器を用意して消毒液のガイドラインに従い水道水で薄めて消毒容液を作ります。
2.溶液のなかに、洗った搾乳器のパーツのうち消毒可のものを入れます。このとき空気が入らないよう、気泡が残らない状態にして入れましょう。カップやびんの底の面を下にして入れるとかんたんですよ。
3.フタをして消毒液に記載された時間(1時間以上など)、溶液に浸しておきます。
4.搾乳器を清潔な手、またはトングなどで取り出して溶液を振り切ります。すすぐ必要はなく、そのまま使えます。
*煮沸消毒の場合
用意するもの
・大きめの鍋
・トング
関連情報:洗浄消毒ガイド「洗浄・消毒のやり方を知っておきましょう!」
煮沸消毒の仕方
1.水をたっぷり入れた大きめの鍋によく洗った搾乳器のパーツのうち消毒可のものを入れて、鍋を火にかけて沸騰させます。水が足りないとパーツが鍋のフチについてしまい、熱によって変形する場合があるので水はたっぷり入れてくださいね。
2. 沸騰したら3~5分ほどそのままにしておき、高温で消毒します。沸騰時間が長すぎると搾乳器をいためてしまうかもしれないので、長くなりすぎないよう注意しましょう。
3.やけどに気を付けて、清潔なトングで各パーツを取り出します。取り出したら水気をよく振り切りましょう。
関連情報:洗浄消毒ガイド「これも消毒できる!授乳・離乳グッズ」
まとめ
今回は、搾乳器の洗い方、消毒の方法をご紹介しましたが、実はわたしたちの手にも指先、指の間、手首などにバイ菌がひそんでいます。そのため、搾乳する際にはママの手をよく洗って清潔にしておくことも大切です。
母乳は栄養が豊富な分、使った搾乳器をそのままにしておくと菌が繁殖してしまいます。搾乳器を使ったらすぐに清潔にして赤ちゃんを細菌などから守ってあげてくださいね。
【プロフィール】
高杉絵理
看護師、助産師、保健師の資格を取得。国際ラクテーションコンサルタント。総合周産期母子医療センターの産科やNICU、産科クリニックで経験を積む。現在は世田谷区の保健センターで妊婦さんやママたちの相談業務に携わる。助産師にオンラインで相談できる「助産師サロン」も運営。自身も1児の母として育児に奮闘中。
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