搾乳した母乳を冷凍保存しておくと、保育園や実家に赤ちゃんを預けたり、ママの外出時や体調が悪いときなどにパートナーが授乳を代わることができたりと便利です。ですが、「母乳はどうやって冷凍したらいいの?」「どうやって解凍して飲ませるの?」など分からない方もいると思います。
そこで、みき母乳相談室を運営する助産師の榎本美紀さんに、母乳を冷凍保存するときのポイントや解凍の仕方などを教えて頂きました。気を付けた方がいいこともあるのでぜひ参考にしてくださいね。
冷凍した母乳はいつまで保存できるの?
市販の冷凍用の母乳パックに、次の章でご紹介するポイントを守って保存し、冷凍庫の温度がマイナス18℃以下であれば、冷凍母乳はおよそ3ヵ月程度保存が可能です。冷凍庫の開け閉めの頻度が高いと冷凍庫内の温度が上がるので、できるだけ早めに使用すると安心ですね。
ちなみに冷蔵保存(4℃以下)の場合の保存期間は24時間以内です。冷蔵保存に比べると冷凍保存は長期間保存することができるので、活用の幅が広がるでしょう。
母乳を冷凍保存するときのポイント
清潔に搾乳、保存することが大切です。母乳を冷凍保存する際は次のことに気を付けましょう。
・搾乳前に手を洗う
手で搾乳する場合も、搾乳器を使用して搾乳する場合も、雑菌などが入るのを防ぐために手を清潔に洗ってから搾乳しましょう。また、搾乳した母乳をパックに入れるときにパックの内側に指を触れないようにすることも大切です。
・少量ずつ保存するのがおすすめ
飲み残した母乳は衛生上の観点から再利用できないので破棄します。そのため少量ずつ保存した方が無駄がありません。また少量であれば解凍時間も早いですね。
・母乳パックの容量を守る
母乳パックに定められた容量以上に入れてしまうと、チャックを閉めるときに母乳があふれてしまうことがあります。また、冷凍した際に母乳が膨張して漏れてしまうことも。母乳パックの目安のラインなどを見ながら容量を守って保存し、空気をしっかり抜いてから閉じましょう。
・搾乳した日付を記入する
冷凍保存する母乳バックに搾乳日を記入して、必ず保存期限を守って使用しましょう。冷凍庫の開け閉めの頻度などで冷凍庫の温度が変わるので、できるだけ早めに使用すると安心ですね。
・搾乳器は洗浄と消毒をする
搾乳器を使った後は各部品をバラバラにして毎回洗剤を使ってよく洗います。また、生後3~4ヵ月頃までは赤ちゃんの免疫力が低いため、雑菌などが残っていると問題になることがあるため洗った後に消毒もしてください。
消毒には消毒液につけたり煮沸したりする方法があります。梅雨どきや夏場など菌が繁殖しやすい季節、環境においてはこの月齢を過ぎていても「洗浄+消毒」をしておくと安心です。
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冷凍保存した母乳を解凍するとき
解凍から授乳までの流れ
1.「母乳パックに流水をあてる」または「40℃前後のぬるま湯が入った容器(ボール、お椀、大きめのコップなど)に母乳パックを入れて湯せんする」のどちらかの方法で解凍してください。急いでいるときは40℃前後のぬるま湯で湯せんし、こまめにぬるま湯を変えるとよいと思います。
2.哺乳びんに解凍した母乳を移し替えます。
3.哺乳瓶ごと40℃前後のぬるま湯で湯せんして母乳を人肌程度に温めます。冷凍したことにより母乳の中の脂質成分が分離していることがあるので、優しく振って混ぜてから飲ませましょう。
【注意すること】
・解凍した母乳を再度冷凍して利用することは衛生上の観点からできません。飲み残しがあった際は破棄しましょう。
・熱湯で湯せんしたり、電子レンジで温めたりして解凍すると、母乳の成分が破壊されることがあるのでやめましょう。
・外出時は保冷剤を入れた保冷バッグにいれて冷凍した状態で持ち運んでください。
・解凍したあとの母乳の保存時間は冷蔵庫(-4℃)で24時間、常温だと気温にもよりますが最大で2時間です。解凍したらなるべく早めに使用してください。
・常温で自然解凍するのは時間がかかり、室温が高い場合などは細菌が繁殖しやすいのでやめましょう。
まとめ
冷凍母乳があると、いざというときに授乳を代わってもらえたりして便利ですね。ただし、今回お伝えしたように安全上の注意点もあります。冷凍保存や解凍の仕方を正しく理解して安全に活用しましょう。
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【プロフィール】
榎本美紀
2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。病院勤務での経験を元に、地域の母乳育児を支援している。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたる。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受け付けている。自身も一児の母として子育てに奮闘中。
「みき母乳相談室」