搾乳器をつかって搾乳するときに覚えてほしい3つのコツ【助産師監修】

直接授乳することが困難になってしまったときなど、一時的に搾乳する必要が出てくることもありますよね。慣れない搾乳に戸惑ったり、搾乳器を買うなら手動と電動どっちがいいのかな?と迷ったりする方も多いと思います。

そこで杏林大学保健学部看護学科の准教授で助産師教育に携わっている加藤千晶先生に、手動式と電動式搾乳器のそれぞれの特長とメリットや、搾乳器を使って上手に搾乳するための3つのコツを教えて頂きました。

搾乳するのに搾乳器は必要?

搾乳は手でおこなうことも可能で、その場合は母乳を入れる容器以外の道具が何も要らないので準備や片づけがラクという利点がある半面、時間がかかったり、手に負担がかかったりと労力がかかります。搾乳器はそんな搾乳の時間や手間を大幅に軽減してくれるので、搾乳を頻繁にする方には便利でしょう。搾乳器にはハンドルを動かす手動タイプと、電源を入れると自動で搾ってくれる電動タイプがあります。

手動式搾乳器と電動式搾乳器、どっちを選べばいい?

それぞれ特長とメリットを理解して自分に合った搾乳器を選びましょう。

●手動式搾乳器の特長とメリット

手動式搾乳器

搾乳口(おっぱいに当てるカップ)をおっぱいにあててハンドルを握るとおっぱいが吸引されて搾乳ができます。ハンドルを握る力を自分で調整することで、吸引の強さや速さをコントロールすることができるのが特長。

また、電動式に比べて価格が安いこと、軽くて持ち運びがしやすい点などがメリットです。手で搾るよりも手の負担が軽減されますが、電動よりも疲れるため、使用頻度が少ない方やコストを抑えたい方におすすめです。

関連情報:手動式さく乳器とはこんなもの

●電動式搾乳器の特長とメリット

電動式搾乳器

搾乳口をおっぱいにあててスイッチを押すと自動で吸引してくれるのが電動式。コードレスで使えるハンディタイプとACアダプター電源付きの置き型のものがあります。手動式に比べるとコストが高くなりますが、ハンドルを何度も握ったりはなしたりする必要がないので、手動式よりも手に負担が少なく時間も短縮できるのがメリットです。

搾乳による腱鞘炎予防にもつながります。頻繁に搾乳する方やラクに搾乳したい方におすすめです。最初は吸引圧が強めに感じることもあるので、弱めの吸引圧から試してみてください。

関連情報:電動式さく乳器とはこんなもの

搾乳器で上手に搾乳する3つのコツ

搾乳器を使う際に覚えておいてほしい3つのコツをお伝えします。

【コツ1】搾乳口をおっぱいにピッタリあてる

搾乳口とおっぱいに隙間ができてしまうと圧力がかからず、うまく吸引されません。強く抑える必要はありませんが、思うように出ないときは隙間がないかチェックしてみてください。また搾乳口の真ん中に乳首がくるようにしましょう。

【コツ2】はじめは弱めの吸圧力にして射乳反射を意識する

赤ちゃんがおっぱいを飲むとき、はじめに「呼び出し吸てつ」と呼ばれるやさしく小刻みな動きをします。これによりママのからだは刺激を受けて「射乳反射」が起こり、母乳が勢いよく分泌されるようになります。

そこで、搾乳器を使う際にも射乳反射を起こすよう、最初は弱めの吸引圧で、小刻みに吸引圧を加えるのがポイント。電動式搾乳器の中にはこのような動きができるよう、「搾乳前の準備用のモード」が備わっているものもあります。

【コツ3】量が少なくても焦らずリラックスしておこなう

搾乳が思うようにできないと不安になってしまうかもしれませんが、母乳を分泌するオキシトシンというホルモンは、ママがリラックスしているときによりたくさん分泌されます。母乳の分泌や安定して出る時期には個人差があるもの。量が少なくても焦らずリラックスした気持ちでいることが大切です。

搾乳のコツを理解していざというとき役立てて

母乳バッグを取り付けた搾乳器

搾乳は便利である一方、冷凍保存などの手間がかかったり、搾乳しすぎるとおっぱいの分泌量が増えて張ってしまったりすることもあり、必ず必要になるわけではありません。ただ、赤ちゃんが入院中で母乳を届ける必要があるときや、乳腺炎や乳首に傷があって、直接おっぱいをあげることがつらいときなど一時的に必要になるママもいます。もし搾乳することになったら今回お伝えした搾乳のコツをぜひ取り入れてみてください。

それでも搾乳が思うようにいかないときや、搾乳の方法についてこれでいいのかな?と不安になることがあれば、一人で悩まず近くの母乳外来や母乳相談室などで助産師に相談してくださいね。

【プロフィール】

加藤千晶先生

加藤千晶
杏林大学保健学部看護学科 准教授
助産師として約10年大学病院にて勤務。その後、看護・助産教育に約15年携わり、産科病院にて看護部長を経験。現在、杏林大学保健学部看護学科准教授として助産師教育に携わっている。

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