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母乳育児を長期的に続けるメリットと懸念点とその対策法とは?【助産師が解説】

WHOでは2才まで適切な食事を補いながらも母乳育児を続けることを推奨していますが、長期で母乳育児を続けることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

母乳育児支援の国際ライセンスをもち、地域の母乳育児を支援されている助産師の榎本美紀さんにお話を伺いました。

ひと昔前は、1才を過ぎたら断乳・卒乳という考えが多かったのですが、最近は1才を過ぎてもお子さんのペースで母乳育児を続けているママも多くみられます。長期的な母乳育児のメリットを知って、母乳育児中の方や卒乳の時期に悩まれている方はぜひ参考にしてくださいね。

長期母乳育児における赤ちゃんの4つのメリット

眠っている赤ちゃん

【メリット1】感染症にかかりにくい

母乳には、ママが持っている病気の抗体、特定の病原菌の感染やアレルギーなどから赤ちゃんを守る免疫物質が多く含まれています。これにより母乳を飲む赤ちゃんは、感染症やアレルギーにかかりにくくなったり、重症化しにくくなったりするといわれています。また、太り過ぎや肥満になるリスクが低いことも、岡山大学大学院の研究により明らかになっています。

※参考:岡山大学大学院環境生命科学研究科「母乳育児は子どもの肥満を予防する」

【メリット2】善玉菌を増やし、悪玉菌から守る

赤ちゃんの腸内にもさまざまな細菌がすみ始めますが、母乳に含まれるオリゴ糖が、悪玉菌をすみにくくして善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌を増殖・定着させやすくします。この乳児期の腸内フローラのパターンは生涯続くといわれています。

【メリット3】病気のときでもおっぱいなら飲んでくれることも

赤ちゃんは具合が悪いときは機嫌が悪くなったり離乳食や水分さえも拒否することがあります。母乳は胃腸への負担が少なく、授乳時のスキンシップが赤ちゃんの安心感を与えてくれるためか、ママのおっぱいだけは飲んでくれた、という話はよく聞きます。

【メリット4】口腔発達に効果がある

母乳を飲むとき、赤ちゃんは舌を上下に波立たせるように動かします。この動きは口周りの筋肉や舌や顎を発達させる働きがあります。歯並びをよくするのに顎の発達は欠かせません。また、噛む筋肉が整うことで離乳食への移行をスムーズにするといわれています。

長期母乳育児におけるママの4つのメリット

ママと赤ちゃん

【メリット1】病気にかかるリスクを低下させる

母乳育児をしている女性は、女性特有のがんである乳がん、子宮体がん、卵巣がん、心臓病、糖尿病などの発症率が低くなるという報告があります。授乳期間が長期であればさらにリスクを低下させます。

【メリット2】赤ちゃんとの絆を深められる

授乳をすることで「愛情ホルモン」とも呼ばれるオキシトシンが分泌されます。オキシトシンには心身をリラックス状態にさせる働きがあるほか、脳に作用して赤ちゃんへの愛情を強め、絆を深めることができるともいわれています。

【メリット3】体重が減少しやすくなるなど母体の回復によい効果がある

母乳を作るためにカロリーを消費するので、妊娠中に増えた体重も減少しやすくなります。

さらに、授乳時に分泌されたオキシトシンがママの自律神経を整えて適度な眠気を促してくれるため、授乳後の入眠がスムーズになるといわれています。質のよい睡眠がとれると体力の回復にも期待ができますね。

なお、短期的なメリットとして、オキシトシンには子宮の収縮を促進させたり悪露の排泄を促したりする働きもあるので、産後の体が元に戻るのを早めるといわれています。

【メリット4】経済的かつ外出時も手軽

母乳はとくべつな道具もいらずに、費用がかからず経済的。また、外出先などでの授乳も持ち物が少なく、手軽におこなうことができます。

長期母乳育児の懸念点と対処法

赤ちゃんにとって母乳は最良の栄養源といえますが、ビタミンDや鉄が不足する場合があることが分かっています。正しい知識をもっておくことで、かんたんに対策ができるのでよく理解しておくことが大切です。

1)ビタミンD不足と対処法

ビタミンDは、骨と歯を丈夫にしたり、免疫力を高めたりする働きがある大事な栄養素ですが、母乳に含まれるビタミンD濃度が低いため、母乳のみで育った赤ちゃんはビタミンD不足になることがあるといわれています。ですが、ビタミンDは適度な日光浴で補うことができるので過度な心配は要りません。

具体的には、手の甲など皮膚の一部に紫外線があたるだけで体内で生成されます。日焼け止めを塗ると生成量が減ってしまうので塗らずに、1日に15分ぐらい日光にあたるといいですね。ただし、地域や季節や時間帯によっても必要な時間は異なります。東京の夏場なら3分ぐらい、冬場や紫外線量の少ない地域などでは1時間強ほどあたるといいと思います。

また、離乳食がはじまったらビタミンDが含まれる食材(しらす干し、鮭、きのこ、卵黄など)を月齢や発達に応じて意識して与えるようにしましょう。

2)鉄不足と対処法

母乳育児に限らず、生後6ヵ月を過ぎると胎児のときに貯蔵していた鉄分が減少します。また、母乳の鉄含量は低いため、とくに母乳育児の場合は鉄欠乏を生じやすい傾向があるとの報告があります。鉄は貧血予防だけでなく赤ちゃんの神経発達のために大切な栄養素なので、6ヵ月を過ぎたら離乳食で鉄分の補充をしましょう。

鉄分を多く含む食品は、赤身肉、まぐろ、かつおなどの赤身魚、あさりなどの貝類、ほうれん草や小松菜、卵、きな粉、納豆など。ビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップします。それぞれの食材を月齢や発達に合わせて離乳食に含めましょう。

また、育児用ミルクには鉄が含まれているのでミルクがゆやクリームシチューなど、育児用ミルクを離乳食メニューに活用する方法もあります。

授乳期間が長期間になってくるとママの鉄分も不足してくるので鉄分を意識的にとるように心がけましょう。

関連情報:母乳は鉄不足になるの?かんたんに鉄分を補う方法を管理栄養士が伝授!

まとめ

長期授乳にはメリットがたくさんありますが、1番大事なのはママと赤ちゃんの心身の健康です。おっぱいトラブルを繰り返すことによる精神的な負担や夜間の授乳による睡眠不足などにより育児が辛くなってしまうママもいます。このようなさまざまな理由で、母乳育児の期間は変化してくると思います。母乳育児の期間の長短にかかわらず、授乳はママと子どもだけのかげがえのない時間であり、ママがハッピーでいられることが赤ちゃんの安心につながります。

今回お伝えしたことを、ママと赤ちゃんが母乳育児をどのように進めていくかのヒントにしていただければ嬉しいです。

【プロフィール】

榎本美紀さん

榎本美紀
2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。病院勤務での経験を元に、母乳育児支援の国際ライセンスである国際ラクテーションコンサルタントとして、地域の母乳育児を支援している。訪問時の相談は、母乳だけではなく離乳食や抱っこひも、スキンケア、寝かしつけなど多岐にわたる。また、おむつなし育児アドバイザーとして、トイレトレーニングなどの相談も受け付けている。自身も一児の母として子育てに奮闘中。
「みき母乳相談室」

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