ママの乳首は、硬さや大きさなど人によって様々で、赤ちゃんにとっても吸いやすい・吸いにくいがあると思います。デリケートな部分なので、周りの人には気軽に相談できない…と悩んでいる人も多いのでは?
そこで今回は、吸いにくいとされる乳首の形や対処法などについて、小児科医の竹中美恵子先生に話を伺いました。
一般的に赤ちゃんが吸いにくいとされる乳首の形には、どんなものがあるのでしょうか?また、どう対処したらいいのでしょうか?
・陥没乳頭
乳房の内側に乳首が埋没した状態のことをいいます。最近はそんなに希なことではなく診察でもよく見かけますので、何も特別なことではありません。
陥没乳頭は、赤ちゃんがおっぱいを吸うときに余計な力を入れる必要があり、ママにも痛みが生じやすくなります。
軽度であれば、吸う、触る、といった刺激によって乳首が出てくるため授乳は可能です。重度のものになると何をしても全く表に出てこないため授乳がしづらく、胸が張るばかりで苦痛が伴うことが多いです。治療器具や手術などで早めのケアが必要になるでしょう。
また、乳頭に炎症を起こしやすいのでマッサージをしたり、乳腺炎にならないように定期的に搾乳器を使って乳汁を出し、乳首を外へ出すように心がけるとよいですね。
・扁平乳頭
乳首の出っ張りが短く、乳房と乳頭が平らの状態のことをいいます。
赤ちゃんがしっかりと吸いつくためには乳頭に舌を巻きつける必要があり、それができないため吸いにくくなります。
乳首の出っ張りを少しでも大きくしてあげるために、吸ってあげるとよいでしょう。
・巨大乳頭
どこからが巨大乳頭というのかはっきりしてはいませんが、乳首が赤ちゃんの口の大きさよりも大きい場合、一般的に巨大乳頭といってよいでしょう。
赤ちゃんはまだ骨格が未発達なので、自分の口よりも大きいものを、もっと口を大きくして吸い込むという力がまだ十分に備わっていません。
搾乳器を使用したり、乳頭に補助器具をつけたりして間接的に授乳をするとよいでしょう。
・長大乳頭
赤ちゃんが口で吸うのが難しいくらい長い乳頭のことを指します。
手術などで治す方法もありますが、出産後はそのような余裕もないため、補助器具をつけて授乳するか、搾乳器であらかじめ搾乳したものを授乳するのがよいでしょう。
最後に
私が初めて授乳した時は母乳があまり出ておらず、初めての授乳はやはり痛かったことを覚えています。
ですが、赤ちゃんに吸ってもらうことで乳首がだんだん柔らかくなり、授乳も楽になってくるのを経験し、産後のママの胸のケアはある程度赤ちゃんがしてくれるんだな、と感じました。
最初は苦労を伴うこともありますが、頻繁に授乳することによって乳首は赤ちゃんに適した形や大きさになっていくことが多いので、赤ちゃんの口に合う乳首になるよう、できるだけ頻繁に赤ちゃんに吸ってもらってくださいね。
【著者プロフィール】
竹中美恵子
小児科医。 2000年広島大学附属高校卒業 アナウンサーになりたいと描いていた矢先に小児科医であった最愛の祖父を目の前で亡くし、医師を志す。
2009年 金沢医科大学医学部医学科卒業
以後広島市立広島市民病院小児科などで勤務。
2016年12月 女医によるファミリークリニックを開業(院長)、現在に至る。
日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属
日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得
小児慢性特定疾患指定医、難病指定医
2013年6月1日 広島テレビ 子育て応援団 すこやか2013 に出演
2014年 広島リビング新聞社 園児とママのための情報誌 えんじいな 「お医者さん教えて」コーナー連載
2014年より東京レインボータウンFM 「上野淳の東京☆夜会」にたびたび出演し、子どもの心のトラウマ、アレルギー、子育て相談、母乳育児の大切さなどについて講話
2014年 日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める
また小児科医として臨床を行う傍ら数々の学会発表や論文執筆に尽力している