母乳育児ケーススタディNo.3:『赤ちゃんがおっぱいを飲み続けてしまう…飲み過ぎても大丈夫なの?』 2018.06.15 放っておくと赤ちゃんがいつまでもおっぱいを飲み続けてしまう…母乳育児をしていると、こんなこともありますよね。元気なのはうれしいけれど、このまま飲ませ続けてしまっても大丈夫なものか不安に思うママもいるのではないでしょうか? 今回は、小児科医の竹中美恵子先生の実体験をもとに話を伺いました。 赤ちゃんがおっぱいをずっと飲み続けようとするのには、何か原因があるのでしょうか? 原因には個人差がありますが、主に以下のようなことが考えられます。 1.母乳は人工乳と違って代謝がよく、消化が非常によいため、赤ちゃんはすぐにおなかを空かせてしまうことがあります。 2.母乳の量が足りない可能性があります。例えば、授乳の間隔が短いとママのおっぱいに母乳が溜まりにくく、吸っても吸っても母乳が出てこないため、赤ちゃんはずっと飲み続けようとすることがあります。 3.赤ちゃんは母乳を飲む以外にも、精神的な安定を図れることから、コミュニケーションのひとつとして乳首を吸っている場合が考えられます。おしゃぶりを離さないのが、そのよい例ですね。 どう対処してあげるとよいのでしょうか? 私自身、生後1ヵ月間は授乳に専念し、夜間は早くて15分おきに授乳していたこともありました。 授乳の間隔が短いと母乳が吸いつくされ、乳首が痛くなったりしてイライラが溜まってしまうことも…。 多い時は1日1リットル以上も母乳を出すことがあり、授乳とは非常に体力が要るものです。赤ちゃんが寝ている時はママもできるだけ寝て、体力の温存に務めましょう。 また、家事はできる人がやる!罪悪感を捨て、「自分にしかできないこと=母乳を出すこと」に専念するとよいでしょう。 赤ちゃんは消化管がまだ未熟で、自分のおなかの空き具合をコントロールすることができません。 大人にも食欲に差があるように、赤ちゃんにもおなかが空きやすい子や空きにくい子、おなかが空きやすい時間帯や空きにくい時間帯があります。 もし、1度あげてもすぐにまたねだられるようであれば、母乳の出を確かめてマッサージなどしてみてください。しっかり出ているようであれば、赤ちゃんが飲みたい時に飲みたいだけ飲ませてあげるようにしましょう。 欲求を満たしてあげることが、赤ちゃんの心と体によい影響を与えることにもつながりますよ。 最後に 直接母乳をあげる目的は、栄養を与えるだけでなく、肌と肌をくっつけてコミュニケーションをとるという大切な目的もあります。 このスキンシップで、ママの心臓の音を聞かせてあげたり、肌の温もりを感じさせたりと、母子ともにとてもよいホルモンが出る時間でもあります。 幸せな時間を楽しんでくださいね。 【著者プロフィール】 竹中美恵子 小児科医。 2000年広島大学附属高校卒業 アナウンサーになりたいと描いていた矢先に小児科医であった最愛の祖父を目の前で亡くし、医師を志す。 2009年 金沢医科大学医学部医学科卒業 以後広島市立広島市民病院小児科などで勤務。 2016年12月 女医によるファミリークリニックを開業(院長)、現在に至る。 日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属 日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得 小児慢性特定疾患指定医、難病指定医 2013年6月1日 広島テレビ 子育て応援団 すこやか2013 に出演 2014年 広島リビング新聞社 園児とママのための情報誌 えんじいな 「お医者さん教えて」コーナー連載 2014年より東京レインボータウンFM 「上野淳の東京☆夜会」にたびたび出演し、子どもの心のトラウマ、アレルギー、子育て相談、母乳育児の大切さなどについて講話 2014年 日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める また小児科医として臨床を行う傍ら数々の学会発表や論文執筆に尽力している シェアする ツイートする LINEで送る マイリストに保存する 関連キーワード 医師・助産師監修 赤ちゃんの飲み方 母乳の基礎知識 授乳リズム