母乳育児中にママが風邪などで体調を崩してしまうこともあると思います。ママが自分の体調の悪さに気がついたとき、赤ちゃんへの対応や直母乳をそのまま続けても大丈夫なのかなど、どう判断したらよいか困ってしまう人もいるでしょう。
そこで今回は、ママが風邪をひいてしまったかもしれないときの母乳育児について、産婦人科医の十倉陽子先生に話を伺いました。
体調が悪い、風邪ひいたかも!と思ったとき、まず何をしたらよいのでしょうか?
毎日の育児や家事で疲れがたまっていると、ママ自身が風邪をひいてしまう場合もあるかと思います。風邪をひいたかなと気がついた時点で、できるだけ赤ちゃんとの接触を控えた方がよいでしょう。
まずは、パパや周りの家族の方に自分の状況を伝えておき、いろいろとお手伝いをしてもらえるようお願いしておきましょう。
また、インフルエンザの場合は空気が乾燥し低い温度であると勢力を失いにくく赤ちゃんにもうつりやすくなってしまいますので、お部屋の温度を暖かく保って加湿しておくことも大切です。
その他のウイルスの風邪は、くしゃみや咳で出る分泌物を介して感染が広がりますので、ママはマスクをして手洗いをいつも以上にしっかりとしてから赤ちゃんのお世話をするようにしましょう。ママの鼻水など分泌物がついた可能性があるものは、赤ちゃんの手の届く範囲に置いておかないようにしましょう。
直母乳を続けていても大丈夫でしょうか?
医師に授乳中であることをお伝えいただいたうえで処方された薬に関しては、インフルエンザの薬を含め、ママが服用しても心配はないでしょう。また、母乳を介して風邪が赤ちゃんにうつることはないとされているので、直母乳を続けていただくことは問題ありません。
ただ、授乳している時に起こるママのくしゃみや咳の中には、ウイルスが含まれます。マスクや手洗いうがいをしっかりとしてから授乳したり、事前に搾乳しておいた母乳をパパや家族の方からあげてもらったりして、ママとのコンタクトをできるだけ避けるようにすることもおすすめです。
ママの体調が悪かったり、風邪をひいてしまったりすると、つい赤ちゃんへの影響ばかりが気になってしまいがちですが、こんなときこそママは体をよく休めていただきたいです。まずは、ママの体調が早くよくなるといいですね!
【著者プロフィール】
十倉 陽子
大学卒業後、総合診療、家庭医、地域医療を初期研修で学び、産婦人科医局に入局。
婦人科良性腫瘍手術、性感染症、女性医療、婦人科悪性腫瘍、周産期医療、新生児治療の研修を踏まえ、現在は不妊治療専門施設に勤務。体外受精を含む不妊治療を中心に、その他女性のトラブル全般に対応できる女性の全人的医療者を目指しています。二児の母。現在英ウィメンズクリニック勤務。