「産後の生理はいつごろ再開するの?」「再開すると母乳の味は変わる?」「再開するまで避妊は必要ない?」など、産後の生理については気になることがいろいろありますよね。そこで今回は、産後の生理再開の時期、味の変化、妊娠の可能性などについて杏林大学の加藤千晶准教授に教えていただきました。
出産後に生理が再開する時期
生理はもともと脳、卵巣、子宮の3つの器官が連携することによって起こります。妊娠によってホルモンバランスが変わり、生理が止まります。出産後、胎盤が外に出ると元のホルモンバランスに戻ろうとしますが、卵巣機能や子宮が妊娠前の状態に回復するには個人差があります。また母乳が出ていることで排卵が抑えられ、結果、生理の再開に影響が出たりします。このように生理が始まる時期はママによってそれぞれ異なります。
産後5ヵ月後に始まる人もいれば、1年後や、もっと長い人も。母乳育児中は生理再開が遅くなる傾向があるものの、母乳育児中に生理再開する人もいますし、本当にさまざまです。また、卒乳や離乳食をスタートして授乳が減った頃に再開する人も多いようです。
生理再開後、母乳の量や味は変化するの?
生理が再開したことによって母乳の味が変わるのではないかと気になる方もいると思います。ですが、生理になったからといって味が変わることはないといわれおり、これまでどおり授乳を続けて問題ありません。
なお、生理で痛みがひどいときもあると思いますが、ママが鎮静剤などの薬を飲んで授乳しても、母乳を飲んだ赤ちゃんにはほとんど影響がないといわれています。ただし、なかには影響を及ぼす薬もあるので医師と相談しながら決めると安心です。
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生理が再開していなくても妊娠する可能性がある
生理が再開していなくても妊娠する可能性があります。生理が起こるしくみをみてみましょう。
生理が起こるしくみとは
まず、脳からホルモンが分泌されて、卵巣のなかの卵胞(らんぽう)が成長します。そして赤ちゃんのベッドとなる子宮内膜に厚みができます。やがて排卵期となり、卵巣から卵がひとつ飛び出して、卵管に取り込まれます。これが「排卵」です。排卵後は受精卵が着床しやすくなるよう子宮内膜はさらに厚くふかふかに。しかし、卵子が受精せず、受精卵が着床しなければ子宮内膜がはがれ落ちて血液とともに体の外に排出されることになります。これが「生理」です。
産後はじめての排卵が起こっていて、そのタイミングで性交渉をおこなえば、生理が来る前に妊娠するケースもあります。妊娠を望んでいない場合はもちろん、産後1年未満はからだの負担面から避妊を心がけましょう。
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まとめ
生理が再開されること、それはママの身体が妊娠前の状態に近づいてきているという合図です。次の妊娠を考えることも可能となります。どんな家庭を作っていくのか、パートナーと相談するきっかけにしてもよいでしょう。今の生活、今後の生活をパートナーとよく話し合って、素敵な家族を作ってください。次の妊娠を考えたとき、助産師に相談してください。きっと女性と家族の味方になってくれます。
【プロフィール】
加藤千晶
杏林大学保健学部看護学科 准教授
助産師として約10年大学病院にて勤務。その後、看護・助産教育に約15年携わり、産科病院にて看護部長を経験。現在、杏林大学保健学部看護学科准教授として助産師教育に携わっている。